原子力空母配備 賛否「どちらでも」が46% 市民団体が調査報告
米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母が今年中に交代することに関して、「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」は8月24日、配備の是非を問うアンケート調査の結果を報告する集会を横須賀市総合福祉会館で開いた。賛否については「どちらともいえない」が46・1%で最も多く、賛成は23・8%、反対は30・1%だった。
アンケートは今年4月から6月の間に街頭インタビューや調査会社などを利用して実施。内容は【1】横須賀に原子力空母が配備されていることを知っているか【2】米軍・日本政府・横須賀市の安全対策は十分か【3】横須賀への配備についてどう思うかの3項目を問うもので、合計4230人(うち横須賀市民3614人)が回答した。
「判断材料が不足」
配備の賛否について問う【3】では、半数近くが「どちらともいえない」と回答。これに対し同会共同代表の呉東正彦弁護士はその中の「判断材料が不十分」とする意見に着目した。米国内の造船所では放射能漏れなどの事故が発生している一方で、日本国内でのトラブルは情報が公開されずブラックボックス化していることを踏まえ、「市民に危険性が周知されにくい構造となっている」と分析した。
また、【1】では10代の78・2%が「知らなかった」と回答(全体では29・1%)。呉東氏は「原子力空母に関する市の防災対策や教育も限定的で、むしろ観光資源化しようとする政策が安全上の問題を無関心化させているのではないか」と市の姿勢に疑問を投げかける。横須賀に初めて配備された2008年頃は住民投票直接請求運動に当時の市長や議会も関わり、社会問題として議論されていたが、配備から16年が経ったことで、「母港化が既成事実化しているのでは」という記述も見られた。
呉東氏は「身近な場所に原子炉があることを、特に若い世代に知ってもらい、考えてもらうため活動を続けていきたい」と今後の方針を示した。