大衆酒場 福山バット 〜 定番から肉にこだわった料理、フレンチテイストの料理もそろうネオ大衆酒場
大衆酒場といえば、昭和をイメージするノスタルジックな印象がありませんか。
少し入りにくそうなイメージもあるかもしれません。
しかし福山駅前には、そんな印象とはちがった新しい大衆酒場 “ネオ大衆酒場”があります。
それが「大衆酒場 福山バット」。
大衆酒場や居酒屋でよく見かける定番メニューのほかに、フランス料理出身の料理長がつくったフランス料理の要素を取り入れたメニューがあるのが特徴です。
さらに肉料理の肉やタレには、強いこだわりがあります。
そんな大衆酒場 福山バットの魅力やこだわりを探っていきましょう。
福山バットは福山駅前・伏見町にあるネオ大衆酒場
福山バットはJR福山駅前・伏見町にある大衆酒場です。
伏見町は2018年(平成30年)ごろから、古い建物をリノベーションした店舗が続々と登場している、注目のエリア。
伏見町を東西に貫く、通称「ゴッサム通り」と呼ばれる道沿いに福山バットはあります。
ちょうど映画館「シネマモード」やゲストハウス&カフェラウンジ「AREA INN FUSHIMICHO」、コワーキングスペース「halappa」などがある藤本ビルディングの北側です。
また福山バットから北へ延びる道沿いには、ワインショップ「CHOISIR(ショワジール)」もあります。
福山バットは、懐かしい雰囲気のなかに新しい要素を取り入れた「ネオ大衆酒場」と呼ばれる業態です。
こぢんまりとした店内にはカウンター席やテーブル席が並び、昭和の大衆酒場のように楽しくお酒や料理を楽しめます。
福山バットは、ワイワイと楽しみたいかたにピッタリ。
いっぽう出張で福山に来たかたや一人飲みしたい人なども、気軽に立ち寄れるのが特徴です。
なお福山バットは、喫煙可能店です。
二十歳未満は入店できませんので、注意してください。
福山バットのメニュー
2024年(令和6年)4月時点の情報。 価格は消費税込
福山バットでは大衆的な居酒屋料理に加え、フランス料理の要素を取り入れたオリジナル料理もラインナップしているのが特徴です。
福山バットのもうひとつの特徴は、肉料理には強いこだわりがあること。
厳選した肉を使った料理や、焼肉店で長年使用しているタレを使った料理などをラインナップしています。
レギュラーメニューのほかにも、日替わりの「本日のおすすめメニュー」もあります。
「本日のおすすめ」のなかにも、おいしそうなメニューが多数ありました。
福山バットに来たときには、「本日のおすすめ」メニューも要チェックです。
日替わりメニューのなかで、人気が高い商品はレギュラーメニューに昇格することもあるそうです。
注目は福山バットという店名にちなみ、バット(コウモリ)からドラキュラを連想させて生まれた「ドラキュラ酎ハイ」。
ドラキュラ酎ハイは、トマト風味の酎ハイです。
さらに「おやじのレモンサワー」も人気。
おやじのレモンサワーは、シジミ100個分のオルニチンが入ったレモンサワーです。
また2022年(令和4年)3月、福山市と漫画・映画『バットマン』シリーズに登場する街「ゴッサム・シティ」は、友好都市提携を結んでいます。
福山バットの前の通りも「ゴッサム通り」の愛称が付けられました。
それにちなみ福山バットでは、バットマンやゴッサム・シティに由来したメニューが登場しています。
そのひとつが、黒ビール「ゴッサム・ダークラガー」。
ゴッサム・ダークラガーは、福山バットと同じゴッサム通りにある「備後福山ブルーイングカレッジ」がつくっています。
国際ビール審査員で、ビールの醸造家である、備後福山ブルーイングカレッジの小畑昌司(こばたけ しょうじ)さんが開発しました。
ほかには「バットボール」や「ゴッサムボール」も。
バットボールとゴッサムボールについては、のちほど詳しく紹介します。
さらに福山バットには、こだわりのデザートもあり注目。
「手作りプリン」(308円)は、飲み喰いしたあとの最後に、口直しとして食べたいメニューです。
料理はスマホでオーダー
福山バットのメニューは、原則としてスマートフォンで注文するのがユニークです。
席に着くと、QRコードの記された紙を渡されます。
QRコードをスマホで読み取りましょう。
するとスマホの画面が変わり、スマホ画面でメニューを選択できるようなります。
注文したいメニューを選び終わったら、注文確定画面へ移り、注文を確定させましょう。
しばらくすると料理が運ばれてきます。
福山バットの人気・イチオシ
多数ある福山バットのメニュー。
そのなかから、お客さんから人気のあるメニューや、料理長・喜多村さんのイチオシのメニューを紹介します。
牛スジ煮込み
「牛スジ煮込み」(385円)は、人気メニューのひとつ。
牛スジ煮込みは大衆酒場や居酒屋の定番料理ですが、福山バットの牛スジ煮込みはひと味違います。
牛スジ煮込みで使われている牛スジ肉は、和牛肉。
福山バットは老舗焼肉店「孫悟空」と同じ系列店になります。
焼肉店ならではの、選りすぐりの牛スジ肉を使っているのがポイントです。
さらに味付けに使っているのは、焼肉 孫悟空で伝統的に使っている味噌ダレ。
タレは、甘めの甘辛味です。
赤身はホロホロとしていて、タレの味がシッカリ染みており、肉のうまみも濃厚。
脂身はプニプニとした食感で、脂身特有の甘味が広がります。
これは酒がすすむ味わいです。
ごはんもすすむ味だと思います。
福山バットの牛スジ煮込みは、肉も味付けも焼肉店ならではのこだわりが詰まった、味噌風味の絶品牛スジ煮込みです。
懐かし浜だれ焼いか
「本日のおすすめ」からレギュラーメニューに昇格した「懐かしの浜ダレ焼いか」(550円)。
細かく縦長にカットされたイカが、タップリと盛りつけられています。
タレは、甘味と塩味のある濃厚で奥深い味わいです。
イカは、一口か二口ほどのサイズにカットされています。
イカを一口食べてみると、ムチムチとした歯ごたえのある食感。
噛みしめると、歯の動きに連動するような歯ごたえを楽しめます。
タレの味わいと淡白なイカの味わいが、よく合うと思いました。
噛みしめるごとにおいしい味を楽しめ、酒がすすむメニューです。
玉ねぎバター醬油
福山バットの特徴のひとつが、フランス料理の要素が楽しめるメニューがあること。
その中で、ぜひ食べてほしいのが「玉ねぎバター醬油」(418円)です。
淡路島はタマネギの全国的な名産地として知られています。
その淡路島産タマネギ半玉を惜しげもなく使い、フランス料理のノウハウを生かしたソースを上からかける料理です。
フランス料理は、ソースが重要だといわれます。
玉ねぎバター醬油は、料理長・喜多村さんのフランス料理の経験が、存分に生かされた料理といえるのではないでしょうか。
シンナリとしたタマネギは、とろけるような柔らかさ。
そしてタマネギのやさしい甘味とみずみずしさ、さらに香ばしさも同居します。
そこにソースの甘味と塩味とバターの風味とが合わさり、絶妙なバランスの味わいを楽しめました。
タマネギのおいしさとソースの味わいが楽しめる、シンプルながら奥深い料理だと思います。
バットボール、ゴッサムボール
2022年(令和4年)3月、福山市と漫画・映画『バットマン』シリーズに登場する街「ゴッサム・シティ」は、友好都市提携を結びました。
それにちなんで生まれたメニューが「バットボール」(528円)と「ゴッサムボール」(891円)です。
バットボールはいわゆるコークハイ(コーラハイ)で、コーラ味のハイボールのこと。
そしてバットボールの量を2倍にしたものが、ゴッサムボールです。
定番のメニューからオリジナルのメニューまで、リーズナブルでおいしいメニューがそろう福山バット。
料理長・喜多村陽一さんへインタビューをしました。
福山バットの料理長・喜多村 陽一さんへのインタビュー
定番のメニューからオリジナルのメニューまで、リーズナブルでおいしいメニューがそろう福山バット。
料理長・喜多村陽一(きたむら よういち)さんに開業の経緯や店のこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2022年8月の初回取材時におこなった内容を掲載しています。
福山の中心部を盛り上げたいという思いで出店
──福山バットの開業の経緯を教えてほしい。
喜多村(敬称略)──
福山バットは株式会社 F-crew(エフ クルー)という会社が運営しています。
F-crewはもともと、焼肉店「孫悟空」がメインでした。
店舗は郊外中心だったので、福山駅前・福山中心部に出店して街を盛り上げたいという思いが会社にはあったんです。
そして2018年(平成30年)にまず焼肉店を中心部に出し、翌2019年(令和元年)8月に伏見町に福山バットをオープンしました。
ちょうど伏見町は新たな店がドンドン生まれていたときです。
当店はリノベーション・スクールには関わっていませんが、当店もほかのお店とともに伏見町を盛り上げていこうとがんばっています。
──店名の由来は。
喜多村──
福山バットという店名は、「福山」という地名の由来からいただきました。
福山中心部を盛り上げるために出した店ですので、福山にゆかりのある名前にしたかったからです。
福山城ができる前、福山城の本丸がある場所は「蝙蝠山(こうもりやま)」と呼ばれる丘でした。
福山城を建てた水野勝成は、蝙蝠山の「蝠」の字が「福」に似ていて縁起がいいとし、「福山城」という城の名と「福山」という城下町の名が生まれたといわれています。
そこで蝙蝠(コウモリ)を意味する英単語「BAT(バット)」を店名に採用しました。
また当店は、ネオ大衆酒場という業態です。
懐かしさ・ノスタルジーと新しさ・珍しさも感じる業態ですので、名前も同じようなイメージにしたいと思っていました。
「福山バット」という名前は、ありそうでない、古そうで新しいイメージかなと思います。
──ネオ大衆酒場という形態にした理由は。
喜多村──
大衆酒場は息の長い店が多いんです。
東京では昔ながらの懐かしい大衆酒場に、新しい要素をもたせたネオ大衆酒場が多くなっています。
福山中心部にはネオ大衆酒場はまだ少数ですので、福山にはネオ大衆酒場が定着する余地があると思いました。
当店はスマートフォンで注文するスタイルですが、これはコロナ禍だからやったのではなく、開店時からやっていたシステム。
このような新しいシステムは、今後も取り入れていきたいですね。
料理長はフランス料理の道で活躍した実力派
──喜多村さんが福山バットの料理長になった経緯を知りたい。
喜多村──
もともと私はフランス料理の調理人でした。
調理の専門学校卒業後、フランス料理の世界でずっと働いてきました。
そして、料理コンテストに出場して最優秀賞を受賞したんです。
それを期に今度はジャンルにとらわれずに料理を勉強したくなり、新たに働き始めたのが焼肉店「孫悟空」でした。
その後は会社を離れて料理の仕事をしていたのですが、福山中心部に焼肉店を出店するタイミングで、F-crewの代表から直々に協力してほしいと要請があったんです。
出店予定の焼肉店は「焼肉ビストロ」をテーマにしたものだったので、フランス料理の経歴をもつ私に声をかけていただけました。
そして焼肉ビストロの料理長として、F-crewでふたたび働くことになったんです。
翌年に福山バットがオープンするタイミングで、福山バットの料理長として異動しました。
料理長としてのF-crewでの仕事は、自身の経験を生かした新たなメニューの開発や改良などです。
新たなメニューの開発・改良は、現在でも常におこなっています。
レギュラーメニュー以外のメニュー「本日のおすすめ」などには、開発・改良したメニューなども出すことがあり、好感触なら新レギュラーメニューにすることもありますよ。
「本日のおすすめ」について、みなさまの感想をお聞かせいただけると、助かります!
大衆酒場にフレンチの要素と焼肉店ならではの肉へのこだわりをプラス
──福山バットのこだわりや特徴は。
喜多村──
ズバリ、大衆酒場らしい定番の大衆的な料理と、フレンチの要素を取り入れた料理、そして肉へのこだわりです。
ネオ大衆酒場ですから、大衆酒場の定番の料理・大衆的な料理が多いです。
それに加えて私がフランス料理出身ですから、フランス料理の要素を取り入れたオリジナルのメニューがあります。
フランス料理の要素がある大衆酒場は、めずらしくておもしろいんじゃないでしょうか。
フレンチ要素を楽しめるメニューとしては、グラタン系やオムレツ系のメニューや、ソースにこだわった「淡路島玉ねぎバター醬油」などを食べてみてほしいですね。
あと肉へのこだわりですが、老舗の焼肉店のノウハウがあるので、肉に関しては強みがあります。
昭和の大衆酒場や居酒屋は、肉より魚介系の料理が多い印象があるかもしれません。
しかし、当店は魚介よりも肉料理が得意なのが特徴ですね。
選りすぐりの肉を使っていますし、こだわりの自家製タレを使うメニューもあります。
肉料理のおすすめは、「牛スジ煮込み」、一番人気の名物「ハラミステーキ」などですね。
「鶏タタキ刺し 柚子胡椒添え」もおすすめです!
それと当店では、量は少なめにして値段も抑えめにしております。
多くのメニューを少しずつ楽しめるようにしました。
今後もさらに福山を盛り上げていく
──今後の展望ややってみたいことを教えてほしい。
喜多村──
「福山バット」を名乗っていますし、福山を盛り上げるために出した店です。
ですから、福山をさらに盛り上げていくのが目標ですね。
開店した2019年は順調でしたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症の流行に影響されて大変でした。
2022年に入り、徐々にではありますが回復傾向ですので、このまま盛り上げていきたいです。
周年祭も一度もできていないので、次はぜひ周年祭をできればいいなと。
あとは市外に支店を出せればいいなと思います。
たとえば広島市内とか。
「福山バット」という店名のまま出店して、福山の存在感を市外にもアピールできれば最高ですね。
伏見町の大衆酒場 福山バット
懐かしい雰囲気でありながら、新しさもある大衆酒場 福山バット。
福山駅から徒歩ですぐの場所にあるので、一人でも仕事帰りにフラッと気軽に立ち寄れるのが魅力です。
肉にこだわり、フレンチの技術が生かされた料理が楽しめる、ユニークな大衆酒場を楽しんでみてはいかがでしょうか。