豆まきで追い払え!心の鬼 釜石・正福寺幼稚園 頑張ったら…来てくれた「福の神」
2025年はきょう2月3日が「立春」。あれ?と違和感を覚えた人もいたのでは―。3日は「節分」というイメージを持つ人も多いだろうが、今年は2日。日にちがずれた理由は、地球が太陽を1周する時間が365日ぴったりではなく、ずれを調整しているからだとか。いつもと違う感覚がありつつも、「邪気をはらう節分行事は早めに」と、釜石市甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児29人)では1月31日に「豆まき」。園舎内に現れた鬼を元気な声で追い出し、「福の神」を呼び込んだ。
同園では、日本の伝統行事に触れることに加え、子どもたちの健やかな健康を願って園行事として行っている。今年は、2日が日曜日で休園のため、前倒しで実施。誕生日会の“お楽しみ”という形にした。節分にちなんだ紙芝居で行事に親しみ、歌で心を一つにした園児たち。「負けないぞー」と気合を入れ、鬼退治の準備をした。
作戦その1。テーブルを使って、バリケードを設置した。その2。赤、青、黄などカラフルに色づけした鬼の面の装着。そして、新聞紙やチラシをちぎって丸めてテープを巻いた手製の“豆”を持ち、鬼を待ち構えた。
ドン、ドン、ドンと太鼓の音とともに、こん棒を持った赤鬼が登場。逃げ回ってバリケード内にとどまる子が多かったが、前に出て勢いよく鬼に豆を投げつける勇敢な園児も現れ、無事に鬼を園舎から追い出した。
子どもたちがつけた鬼面の裏側には、それぞれの心の中にいる「追い払いたい鬼」が書き込まれていた。泣き虫鬼、怒りん坊鬼、甘えん坊鬼、困らせ鬼など、さまざま。「鬼はそとー」と向き合うことで、心身のたくましさを手にした。
園児がほっと一息ついていると、続いて「福の神さん」がやって来た。驚いて泣き出す子もいたが、「頑張ったご褒美に」とプレゼントを持参していることを知ると、駆け寄って歓迎。頭をなでてもらい、「幸せ届けに来てくれて、ありがとう」と笑顔を広げた。
率先して豆まきしていた琴畑成太君(6)は「弱虫鬼をやっつけた」と胸を張った。間もなく小学生になり、楽しみを聞くと「プール。泳ぐの、好き」とにっこり。そして、「友達をいっぱいつくる」とうなずいた。
職員らは「お家にも鬼がくるかもしれない。その時は、今日やったみたいに追い払って、お家の人を守ってね」と子どもたちに語りかけていた。
節分は二十四節気の一つ・立春の前日。立春は春分や秋分とともに太陽と地球との位置関係で決まり、国立天文台が計算して前年に官報で発表している。国立天文台によると、地球が太陽を1周する時間は365日より6時間弱長い。4年経つとその累計がほぼ1日になるため、これを4年に1回のうるう年で調整。ただ、ずれは完全にはなくならず、立春が1日早まるのに伴い、節分も早まるということだ。実は、2021年も2日が節分だったことから、4年ぶりとなる。来年からは3日に戻るが、しばらくするとまた2日になる年が訪れるという。