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こだわりが強い、集団行動が苦手な小1息子。発達検査を受けたら「診断なし」、でも登校渋りは続いて

LITALICO発達ナビ

こだわりが強い、集団行動が苦手な小1息子。発達検査を受けたら「診断なし」、でも登校渋りは続いて

監修:初川久美子

臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち

初めての発達科

長男は1歳半ぐらいの頃から、こだわりの強さ、集団行動の苦手さ、同じ場所を行ったり来たりする常同行動などが気になり始めました。しかし私はあまり育てにくさを感じておらず、まだ長男が幼いのもあり、どう捉えたら良いのかとずっと悩んでいました。健診で相談しても特に指摘されることもなく、考えすぎだろうかと思ったこともありました。

しかし長男は幼稚園年中の終わり頃から登園渋りが始まり、年長になってもずっと続きました。そのことや以前よりもお友だちを避け自分の世界に入り込む時間が増えたことを担任の先生も気にしてくださり、話をする中で、入学も控えているし、一度発達検査を受けてみようと決めました。

もともと長男は甲状腺機能低下症で大学病院に通院していたため、同じ病院内の発達科を紹介してもらいました。本当は入学前に検査ができたら良かったのですが、検査予約が取れたのは長男が1年生の5月でした。検査の日の前に一度診察を受けた際の長男は、椅子に座ってくるくる回っており、少し落ち着きのない様子でした。

そして迎えた検査の日。長男には、「今どれくらい成長したのか知りたい」と話をして検査に連れていき、特に拒否することもなく落ち着いて私と別れ、部屋へ。2時間ほどあった検査でしたが、態度も良好で問題なく進められたと先生が話してくださいました。

やはり私の考えすぎだったのか…

後日伝えられた結果は、特に診断は出ないとのことでした。気になる行動等は年齢と共に緩和されていくだろうから長男の場合そんなに気にしなくても良いのではと先生に話をされました。

やはり私の考えすぎだっただろうか……たしかに年齢と共に変化してゆくのだろうとも思うのですが、内心はなぜかまだモヤモヤしていました。結局、具体的な対応も分からないまま、その後も気になることは生活の中でちょこちょこありましたが、悩みながらも様子を見ていくしかないのかなぁと過ごしていました。

検査後の日々も続く登校渋り

小学1年生の時に1番悩んだのは、やはり入学当初から続く登校渋りへの対応でした。これも年齢と共に緩和してくることなのだろうかと常に疑問でした。実際2つ年上の長女は月日と共に登校渋りが緩和していったのですが、長男はまたそれとは様子が違うようになんとなく思いました。温かく見守り寄り添ってあげたい自分と、自分のことや下の子のことがうまく回らずイライラしてしまう自分との葛藤でした。

小学1年生の10月頃、かなり悩んでいる私に担任の先生はスクールカウンセリングを勧めてくださいました。最初は私だけで。後に長男も一緒に相談へ行きました。

スクールカウンセラーの先生は大変親身になってくださり、長男の学校での様子を見てくださったり1人でいる時は声をかけてくださったりしました。しかし、長男はそれが嫌だったようで、私にそのことを話してくれました。また、常同行動についても長男は学校では我慢していたのですが、いつも手に持っているお気に入りの物はカウンセラー室に置いておいて、休み時間にカウンセラー室に来て走ってもいいよとおっしゃってくださいました。しかしそれも長男には違ったようで行くことはありませんでした。

スクールカウンセラーの先生が考えていろいろしてくださることも、長男はかまわれたくないことや注目されたくないことが理由で拒否。私自身も長男が望むことやスクールカウンセラーの先生にどう伝えてどうしてほしいのかよく分からなくなってしまい、進展のないまま何度も相談に行くのがつらくて途中でやめてしまいました。

その後スクールカウンセラーの先生に市の教育センターにある不登校専門の相談先を紹介してもらいました。そこでは学校に行けない子たちが利用できる場所を教えてもらいました。当時長男に話をしたのですが、長男はほかの場所には抵抗があり、「休みを挟みながら学校に行く今のままで大丈夫。それで頑張れる」と話してくれたので今のまま彼のペースを見守っていこうと当時は決めました。

休みがちでもたくさん成長した1年

休みがちだった小学1年生ですが、たくさんの成長が見られました。入学前まで字も読めず書けず筆圧も弱くひょろひょろの線しか書けなかったのに、濃いしっかりした字が書けるように。運動会ではみんなで協力し頑張ることの楽しさを私に話してくれたこともあったり、ずっと「友だちいない」と言っていたのに、たまにお友だちの家に遊びに行くようになったりと感動することもたくさんありました。

そんな姿を見て、検査を受けても手探りの日々でしたが長男が頑張っているところ、良いところにたくさん目を向けてあげたいと改めて思いました。しかし長男の気持ちには大変波があり、言うことがコロコロ変わることも多々あるため私も翻弄されることばかり。それでも、プレッシャーを与えすぎないように、良い意味で過剰に期待しすぎないように長男なりに一生懸命生きる姿を見守りたいと思いました。

執筆/ねこじま いもみ

(監修:初川先生より)
長男くんの発達科受診、検査の受検、しかし変わらず悩ましい様子、スクールカウンセラーへの相談などなど激動の小1時代についてシェアいただきありがとうございます。受診や検査受検によって、お子さんに診断が出たり、お子さんが困っている原因と思われるような得意不得意の大きなばらつきが分かったりすることはあります。ただ、一方で、それが分かったからといって、すぐにうまくいく方法もセットで分かるわけではないですし、今回のように診断も出ず、検査での結果もいまひとつしっくりこない感じに受けとめられるようなことも場合によってはあります。検査によって分かることはたくさんありますが、当然のことながら“全て”のことが分かるわけではないですし、検査室という教室や学校とは異なる特殊な環境でのパフォーマンスを測ることが多いのでそうした環境では大きなつまずきなくやれてしまう場合もあります(学校等での様子と大きく異なる結果が出たときは、例えば、環境によって左右されやすいのかもしれないといったように解釈していくこともあります)。

ねこじまさんがもやもやとひっかかられていた、長男くんの根強い登校渋りや、本当に年齢によって(成長によって)改善してゆくのかという不安に関しては一朝一夕に解決するものではなく、また不安に思う保護者の気持ちもとても自然なものだと思うので、スクールカウンセラーに相談するに至ったのもよかったとは思います。ねこじまさんや長男くんに親身になって関わってくださり、さまざま提案くださるカウンセラーの先生だったのですね。長男くんの思いとは少しずれてしまったようですが、まずは長男くんがそれをねこじまさんに伝えられたのは良かったと思います。我慢していいことは何もないので、それを伝えられる親子関係で何よりだなと感じました。ただ、ねこじまさんからすると、カウンセラーの先生が良かれと思ってさまざま提案くださっているのも分かるからこそ、長男くんへの直接的な働きかけを控えてほしいと伝えるのはなかなかにハードルが高く感じられたのかもしれませんね。(私はスクールカウンセラーとして勤務していますが)カウンセラーの立場からすると、本当はそうしたことをお伝えいただき、良き程度・度合いを一緒に図りながら模索できるほうがありがたいので、伝えてほしいなとは思います(ただ、それが言いづらいのもよく分かります。そういうことを伝えやすいカウンセラーでありたいなぁと改めて思うところです)。また、スクールカウンセラーのもとへ相談する際には、保護者のみで継続される方も多くいらっしゃいます。お子さん本人が望んだ場合はぜひ来てほしいと思いますが、低学年の場合だと特にそうですが、自分の困っている話をしたくないとか、質問されても困ってしまう、特別なことをしたくない場合もあります。ご本人の希望をまず聞いていただき、あまり気乗りしてなさそうであれば、まずは大人の間で環境調整等、工夫できることを模索することを先行させる、そんなイメージで相談を開始する、あるいは、地域の情報(不登校の児童生徒が利用できる場に関してなど)を情報収集するために話を聞いてみるといったところから始めてみるのもよいでしょう。

さて、最後に長男くんが小1の1年間で成長したところについても書かれていました。休みがちであっても、成長したところがいっぱいあったと振り返れるのはとても素晴らしいですね。気になること・心配なことはどうしても目が向きやすく、そしてそこに注目し続けると、成長しているところ・健全なところに目が向きにくくなってしまうものです。時には意識的に成長しているところを探してみたり、慌ただしい(あるいは波のある)毎日の中で、ふと立ち止まってお子さんが楽しそうに取り組んでいること・夢中になっていること等に目を向けてみることをおすすめします。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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