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【観光列車、どれに乗る?】岐阜県・明知鉄道の「食堂車」で行く!のどかな里山を走る和気あいあい宴の時間

さんたつ

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車内で食事を楽しめる、いわゆる“グルメ列車”の元祖といえる列車が岐阜の里山を走っている。その名もズバリ「食堂車」。季節に応じてさまざまな料理が味わえるとあって人気が高く、いまや明知鉄道の看板列車だ。

「食堂車」のルートはこちら!

リピーター多し。じねんじょ、寒天、きのこに冷酒……いろいろ走る食堂車

岐阜県の恵那から明智までを結ぶ明知鉄道が「食堂車」の運転を始めたのは、1987年。

沿線の恵那市山岡町が細寒天の生産量日本一ということから、寒天を使った懐石料理を車内で提供した「ヘルシートレイン(寒天列車)」がルーツである。

これが好評を博し、いまでは「じねんじょ列車」や「きのこ列車」など、季節ごとに6種類が運行するほどに。リピーターも多い食堂車の魅力とは、一体なんだろうか。

ホーロー看板が旅情を誘う恵那駅のホーム。
待合室では恵那市と明知鉄道のキャラクター、「エーナ」と「てつじぃ」がお出迎え。

この日乗車するのは「冷酒列車」。地のものを使った料理はもちろん、地元酒蔵の日本酒が2本呑めるとあり、小さな駅は高揚感でいっぱい。乗車してしばらくすると、発車前にもかかわらずさっそくアテンダントによる乾杯の音頭で宴がスタート。乗客のテンションも最高潮に!

お目当ての冷酒は女城主特別本醸造と、同じく辛口純米酒。天明7年(1787)創業の「岩村醸造」の銘品で、料理は山岡駅に併設するレストランが作った旬の食彩だ。

アテンダントの小崎聡美さんによると、「きのこ列車」や「じねんじょ列車」では3店舗が交代で料理を担当し、メニューは同じでも、味つけや細かい品は店ごとに異なるそう。

日によって味が違うとあればすべて食べてみたくなり、それがリピートにつながる一因だとか。確かにその気持ちはわかるし、複数の店舗が関わることで競争原理も働き、料理の質の向上にもつながるのではと思う。

至福の時間の始まりの合図に、気分も喉もクライマックス。
恵那どりの塩麴焼き、きなこ豚のロースト、カリカリ豆にピリ辛こんにゃく煮など、冷酒のおつまみになるおかずがぎっしりと並ぶ。
ユーモアを交えたガイドをしてくれた、名物アテンダントの小崎聡美さん。「秋は『きのこ列車』が人気です!」。

手作り感と車窓の里山風景が乗客の心をつかんで離さない

お酒も入り、車内は盛り上がってきたが、そもそもこの食堂車は新造や改造したものではなく、通常運行している車両で、ロングシートの前に会議室にあるようなテーブルを並べただけの簡素なもの。しかし逆に、それが素朴かつ手作り感満載で心がなごむ。

乗客に聞くと、隣の人と近いこの距離感がいいのだという。そういえば隣同士に座った初対面の人たちが、いまでは楽しそうに会話を弾ませているではないか。一人で参加しても和気あいあいとできる環境も魅力の一つなのだろう。

里山の中を列車はのんびりと走っていく。阿木(あぎ)~飯羽間(いいばま)間。
岩村駅でいつも手を振る駅長さん。この日はお客さんも飛び入り参加。
山岡~野志(のし)間では、田んぼdeアート(例年6~8月に開催)のそばを走る。

注目したい。明知鉄道の個性的な駅

駅舎がななめに? 飯沼駅

1000m進んで33m登る33‰(パーミル)という急坂の途中にある。駅舎が水平になるよう土台で調整されている。

駅に観音さまがいる! 極楽駅

待合室にはOK観音が置かれ、三波春夫による『極楽音頭』が流れる。
駅舎は屋根に觔斗雲(きんとうん)がのったにぎやかな装飾。

SLを見て、乗って、運転まで!

明知鉄道では月に1回程度、明智駅構内を往復できるSLの運転体験が行われている。実際にお客さんを乗せて走る復活運転も検討中。詳しくはホームページを確認。

列車information

取材・文・撮影=山﨑友也
『旅の手帖』2024年10月号より

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