もしも海外で拘束されたら?まさかの事態に備える本、その著者に話を聞いた
国が違えば法律も違います。
「日本ではOKだから」という安易な考えで他国を歩いていると、思わぬ落とし穴にハマってしまうかもしれません。場合によっては“拘束”されてしまうことも。
しかしもし“拘束”されてしまったらどうすればいいのでしょうか?そんなときはXユーザーの「大熊杜夫/DAVIDOFF−辺境レポーター」が制作した同人誌「もし海外で拘束されたら−拘束の流れ・対策・心構え−」が役に立つかもしれません。
■ 「海外拘束バー」で配布された同人誌「もし海外で拘束されたら」
大熊さんがこのほどXに投稿したのは、人気ガイドブックシリーズ「地球の歩き方」を真似た装丁の本の画像。
上部には「地球の歩き方」ならぬ「『敏感な地域』の歩き方」とあり、国・地域名の代わりに「海外で拘束されたら−拘束の流れ・対策・心構え−」と書かれています。さらに下部には「今こそ知りたい海外拘束のことをまとめました」とも。
ワードからなんとも不穏な雰囲気が漂うこの本は、大熊さんが「海外拘束バー」というイベントで配布した同人誌。か、海外拘束バー……?
本やイベントのタイトルに「海外拘束」という単語が当たり前のように使われている状況に、困惑を禁じえません。筆者は人生で一度も使ったことがないです。
「もし海外で拘束されたら」とはどんな本なのか、「海外拘束バー」とはどんなイベントなのか。大熊さんに詳しくうかがいました。
■ 大熊さん自身も拘束経験あり!
−− 大熊さんは普段、どんな活動ををされている方なんですか?
普段は大学生として、中国と北朝鮮の外交関係や国境地帯における両国の活動について、実際に現地に赴いて調査し、それを元にレポートをまとめたり、メディアで配信しています。
また趣味の方で同人サークル「清華人民共和国外文出版社」の代表として、中国旅行に関する同人誌などを執筆しています。
−− だ、大学生……!?「もし海外で拘束されたら」は「海外拘束バー」で配布する冊子とのことですが、そもそも「海外拘束バー」というのは……?
海外拘束バーというのは、イベントバー「エデン蒲田」で私が一日店長として開いたイベントで、海外拘束経験のある方を招いて、その経験についてお話ししたりしました。
このイベントバーでは他にも中国や北朝鮮に関係するイベントなども度々開催させていただいております。
−− 「もし海外で拘束されたら」はどのような目的で書かれたのでしょうか?
コロナが明けて多くの人が海外に行くようになりました。
しかし一方でいまだに情勢不安な地域は多くあり、実際に東欧では旅行していた邦人が拘束されたニュースがあったり、それでなくても現地警察に短期間拘束されたりする旅行者の投稿なども見かけるようになりました。
−− ありましたね、邦人拘束のニュース。
それを踏まえて、「海外拘束とはどういう状況なのか」を知って、少しでも安全に海外旅行をする補助になってくれれば良いと思い、作成しました。
−− ちなみに大熊さん自身は、海外で拘束された経験はおありなのでしょうか?
私自身、渡航先の警察に色々伺われたり、短期間の経験はあります。
−− あるんだ……一般人が拘束される可能性というのは、高いものなのですか?
一般人といえど、その国では簡単に身分を証明することは難しい外国人ですし、国によっては写真撮影などに関しての感覚が違うので、警察に色々話を聞かれたり、拘束される可能性というのも確かに存在しています。
−− ずばり海外で拘束された場合、本書を一読しておくことで、トラブルを最小限に抑えることは可能でしょうか?
国によって基準や拘束時の流れは千差万別ですので、一概にどうとは言えませんが、本誌に書いてある心構えを知っておけば、落ち着いて行動できるとは思います。
−− 実際に読者からはどんな反応があったのでしょう?
特に心構えの部分に関しては参考になったという話をいただきました。また海外に持ち運びやすいように電子化も検討して欲しいという話もありますが、警察にスマホを検められた時に、このような本のデータが見つかったら困ると思うので、そこは検討中です。
−− 見つかったときのことを想像するとゾッとしますね……これは「エデン蒲田」に行けば手に入りますか?
イベントバーエデン蒲田にはイベントで余った残部が数部だけありまして、今後増刷をかけて対応していく予定です。
予想外の大反響を頂いており本当に驚いておりまして、増刷版については、実際に私の経験についても大幅に加筆して提供する予定ですので、今しばらくお待ち下さるとありがたいです。
増刷版は通販のほか、エデン蒲田で私が主催するイベントや、同人誌即売会などで頒布予定です。
−− 大熊さんの体験談が大幅加筆されるの、すごく気になります。
* * *
その国でのタブーは、実際に現地にいかないとわからないことがあります。
筆者の両親は新婚旅行でギリシャに行った際に、美術館の彫像と同じポーズをし写真撮影をしようとしたところ、警備員さんにものすごい剣幕で怒られたそうです。
幸い拘束されるような事態にはなりませんでしたが、国が違えば、もしかしたら……ということも十分にありえます。
「海外拘束」に備えるためには本を読むのがベストだとは思いますが、頭の片隅に「海外で拘束される可能性はある」ということを置いておくだけでも、だいぶ違うのではないでしょうか。
中身が気になる人はぜひ、大熊さんの投稿をこまめにチェックしてみては。
<記事化協力>
「大熊杜夫/DAVIDOFF−辺境レポーター」さん(@ak_prc_dprk)
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025030404.html