北海道・小樽はランドセルではなく8800円の「ナップランド」が常識!坂のマチの工夫とは
小学校の入学式といえば、真新しいピカピカのランドセルが頭に思い浮かびますが、北海道小樽市では、独自に開発された通学かばんが長年愛用されています。
小樽で雪の通学路を歩く小学生たちが背負っているこのかばんは、地元では「ナップランド」と呼ばれています。
ナップザックとランドセルを組みあせた造語です。
小樽市内の老舗のかばん店「バッグのムラタ」には、当たり前のように「ナップランド」が並んでいます。
小樽市内の新1年生の約5割から6割がランドセルの代わりに購入するといいます。
村田達哉会長は「小学校の先生から『小樽は雪が多くて通学大変なので、軽いかばんできないものかな』と先代の社長に相談があって、軽いナイロン製のかばんを作った」とその経緯を話します。## 半世紀以上愛される
「ナップランド」が誕生したのは今から半世紀前の1970年代。
きっかけは、坂道も多く雪も多い小樽の子どもたちに、軽くて歩きやすいかばんで安全に通学してほしいという先生たちの願いでした。
1986年の「学校販売」のチラシ。
「背骨の変形を防ぐ」と書いてありますが…。
小樽市総合博物館の石川直章館長は「ランドセルは成長期の子どもたちにとってよくないという意見もあった」と話します。
当時のランドセルは高価な上、本革で重く、雨や雪にも強くありませんでした。
そこでランドセルに代わるものとして、価格的に安く、丈夫で軽いナイロン製の「ナップランド」が徐々に広まっていったのです。
「小樽市内であればナップランドのほうが主流、かつぐことに抵抗も感じず、買いやすい」
昭和から平成、そして令和のいまも小樽市で愛される「ナップランド」。
発売当初は赤と紺の2色だけでしたが、今では人気のラベンダーなども加わり、あわせて12色に増えました。
また、時代に合わせタブレットや水筒を収容するため、サイズもひと回り大きくなりました。
バッグのムラタの村田会長は「今後も改良を重ねながら、お客さまに寄り添ったかばん作りを目指していきたい」と話していました。
地域の事情がきっかけで誕生した「ナップランド」は世代を超えて愛され続けています。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年3月4日)の情報に基づきます。