猫に秋の味覚『きのこ』はあげても大丈夫?栄養素や与えるときの注意点を解説
猫にきのこをあげてもいいの?
日本には、約4000~5000種類のきのこが自生しています。
このうち毒きのこは200種類以上あり、国内に存在するきのこの大半は、食べられるものなのか判明していません。
一方で、食用きのこは100種類ほどで、市場に出回っているのは15~20種類程度といわれています。
血中のコレステロール値をコントロールする効果が期待されるビタミンB2や、腸内環境を整えるのに役立つ食物繊維などが豊富なきのこ。
健康や美容のために、積極的に食べている人も多いかと思いますが、食用のものであれば、猫に与えても問題ありません。
きのこの栄養価と猫へのメリットは?
スーパーなどでよく見かけるきのこを例に、多く含まれている栄養素と猫に与えると期待される効果について見ていきましょう。
しいたけ
しいたけには食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は、人間が摂取すると腸内環境を整える働きが期待できますが、猫にとっても、便通を整える助けになります。
えのき
えのきに含まれるカリウムは、体内の余分な塩分を排出するのに役立ちます。
また、ギャバという栄養素には、ストレスを軽減したり、気持ちを落ち着かせる効果があります。
しめじ
オルニチンが豊富に含まれているしめじ。その含有量は、しじみの5倍以上になるともいわれています。
疲労回復や肝機能のサポートなど、猫の健康維持に役立つ栄養素といえるでしょう。
まいたけ
まいたけに多く含まれているのが、β-グルカンです。体内の免疫細胞を活性化させて、ウイルスなどに対する抵抗力を高めてくれます。また、アレルギー軽減といった効果も期待できます。
猫に与える際の3つの注意点
きのこは、人間だけでなく猫にとっても嬉しい働きをしてくれます。
一方で、猫に与える際には注意してほしい点も。代表的な3例についてご紹介します。
1.必ず加熱し、味付けはしない
生のきのこは、消化不良などを引き起こす可能性がありますので、必ず加熱しましょう。
また、塩分や油分は猫にとっては消化器や腎臓などの不調の原因となる恐れもあります。塩や醤油、油は使用せずあげるようにしてください。
2.与える量と大きさに注意
本来、肉食動物である猫は、体の構造上、きのこを消化しにくくなっています。
主食は、栄養バランスのとれたフードにしたうえで、おやつやトッピング程度にとどめましょう。
さらに、丸ごと食べると嘔吐などの原因ともなります。少量を細かく刻んであげてください。
3.野生のきのこは避ける
先に述べたように、きのこの中には、毒性のあるものや、食べてよいのか判明していないものがたくさんあります。
人間はもちろん、猫にとっても命に関わる危険性がありますので、道端や山に生えているものや野生のきのこは与えないように注意しましょう。
まとめ
ヘルシーで栄養満点なきのこ。食用のものであれば、猫に与えても問題はありません。ただし、必要な栄養素は日ごろ食べているキャットフードでまかなえている場合がほとんどです。
一方で、きのこには、食物繊維やカリウムなど猫にとっても嬉しい栄養素が豊富に含まれていることは間違いありません。
生で食べさせない・調味をしない、少量を細かく刻む、野生のものは避ける―といった点に注意したうえで与えると良いでしょう。
与えても大丈夫な素材ではありますが、個体によっては消化不良などの体調不良を呈する場合もあります。食欲や排せつの変化などを見ながら、愛猫に適しているかどうか判断をしながら与えることをおすすめします。
猫の安全と健康を第一に考えながら、一緒に秋の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(獣医師監修:葛野莉奈)