ジャイアンツ・コーズウェイ(イギリス)を訪ねて~作家・秋山秀一「旅の記憶(34)」
訪れた国や地域90以上、海外への旅は226回。旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。
秋山秀一さん
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』『旅にでる、エッセイを書く』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。
柱状節理をモチーフにした建物や展示
12月のイギリス、北アイルランドは日中も暗い。雨がよく降る。
2019年12月16日、空全体を重そうなどんよりとした雲が覆う天気のなか、ベルファストから北西へ約80㎞、アイルランド島北端のノース海峡に面した海岸線に位置するジャイアンツ・コーズウェイを訪れた。
ここは北アイルランドを代表する観光名所で、世界自然遺産に登録されている。
コーズウェイホテルに隣接して建つビジターセンターは、柱状節理を模した建物。
ナショナル・トラストの運営で、ジャイアンツ・コーズウェイの成り立ちについての詳しい解説展示があり、様々な土産物が販売されている。
6角形の柱状節理の形をした陳列台もあって、思わずニッコリ。
地名の由来は地域に根付く巨人伝説から
途中、強く吹く風を肌で感じ、岩肌に打ち寄せる波の音を聞き、北アイルランドの大地の風景を楽しみながら、ジャイアンツ・コーズウェイの海岸まで歩いた。
冬の激しい波を受ける玄武岩の海岸には、柱状節理の石畳や、上へまっすぐ伸びる石柱群、なかには「巨人のオルガン」と名づけられた石柱もある。
海にせり出した柱状節理の石畳の上に立ち、激しく吹く風、打ち寄せる波を体感する。
この地形は、約6千万年前の火山の爆発で噴出した膨大な量の溶岩が冷えて形成されたもの。
この「6角形をした約4万本の石柱が約8㎞にわたって連なる海岸」は、この地方に伝わる巨人伝説にちなんで、ジャイアンツ・コーズウェイ(巨人の石道)と名づけられた。(文・写真/秋山秀一)