「東京大空襲80年特別展―空襲体験を記録する/伝える」が4月4日まで江東区『東京大空襲・戦災資料センター』で開催中
空襲体験がこの80年間、どのように表現され、伝えられてきたのか「東京大空襲80年特別展―空襲体験を記録する/伝える」が2025年4月4日(金)まで、東京都江東区の『東京大空襲・戦災資料センター』で開催されている。
東京大空襲から80年、人々の記憶に残る空襲体験がそこに
2025年3月、東京大空襲から80年を迎える。
『東京大空襲・戦災資料センター』設立の土台となった1970年代の「東京空襲を記録する会」は、空襲の実態を風化させずに伝えていくため、空襲体験記を中心に『東京大空襲・戦災誌』全5巻を制作。現在のセンターもその姿勢を引き継ぎ、2002年の開館以来、中核的なテーマのひとつとして「空襲体験」に向き合ってきたという。空襲体験はこの80年間、どのように表現され、伝えられてきたのか、また、空襲体験の継承など、近年のセンターの取り組みについても展示される。
学芸員の比江島さんは「空襲の炎のなかで、人々はどのような体験を強いられたのか。それを記録した当時の写真・映像はほとんどありません。その実態を伝えるのは、炎のなかを生きのびた人たちがさまざまな形で表現した空襲体験です。この特別展では、資料から具体的な空襲体験を紹介しつつ、そうした体験がこの80年間、どう記録され、伝えられてきたのかを振り返ります。そして、戦争や空襲を体験した人が少なくなるなかでの課題や取り組みについても紹介しています」と語ってくれた。
日本では戦争体験者が少なくなっている一方で、世界各地では空襲が続いている。80年前の空襲を知ること、学ぶことの意味がますます大きくなっている今こそ、ぜひ足を運びたい。
常設展示でより深く東京大空襲について学ぶ
2階常設展示室では、東京の空襲をメインテーマとして「戦時下の日常」「空襲の実相」「空襲後のあゆみ」「証言映像の部屋」という4つのコーナーで構成する展示が行われている。
関東大震災後の空襲前から現代にいたるまでの実物のモノ、写真、体験記や体験画、映像、証言などの資料とともに再現・模型の展示などを組み合わせ、空襲にあう前の人々の暮らしがどのようなものだったのか、またどのような体験をしたのかに迫る。また、空襲後に人々がどう生き、日本社会は空襲や被害者のことをどう受け止めてきたのかも合わせて展示されている。
開催概要
「東京大空襲80年特別展―空襲体験を記録する/伝える」
開催期間:2025年2月5日(水)~4月4日(金)
開催時間:10:30~16:00
休館日:月(祝の場合は開館、翌平日休)
会場:東京大空襲 戦災資料センター(東京都江東区北砂1-5-4)
アクセス:JR総武線・東武鉄道亀戸線亀戸駅からバス6分の「扇橋二丁目」下車10分、JR・地下鉄錦糸町駅からバス10分の「扇橋二丁目」下車10分
入場料:一般300円、中学・高校生200円、小学生100円
※未就学児、障がい者手帳をお持ちの方は無料。
【問い合わせ先】
東京大空襲 戦災資料センター☏03-5857-5631
公式HP https://tokyo-sensai.net/archives/2856
取材・文=前田真紀 画像提供=東京大空襲 戦災資料センター
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。