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U18代表候補を“変化球三つ”で3球三振…沖縄尚学が誇る最速150キロ左腕「末吉良丞」の確かな進化、憧れの『宮城大弥』に近づく

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夏の甲子園、沖縄尚学が勝ち上がるための鍵を握る左腕エース・末吉良丞

沖縄高校野球界の怪物左腕が海を越え、満を持して夏の聖地へと乗り込む。 沖縄尚学が擁する左腕エース、末吉良丞。身長175cm、体重89kg。がっしりとした体格で、とりわけ足の両ももはユニフォームがはち切れそうなほど太い。まだ2年生とは信じ難い。安定した土台から放たれる直球は最速150キロに達し、本人が「あまり打たれない自信がある」と自負するほどの威力がある。 第107回全国選手権大会の沖縄大会では4試合で計29回を投げて40奪三振、防御率0.31。抜群の安定感で、沖縄尚学を2年ぶり11度目の夏の甲子園出場に導いた。 全国選手権大会は5日、兵庫県の阪神甲子園球場で開幕した。全国47都道府県から49の代表校が出場し、18日間の日程で日本一を決める。沖縄尚学は大会第2日の6日、第3試合(午後4時15分開始予定)の1回戦で、2年連続8度目出場の金足農業(秋田県)とぶつかる。 金足農業と言えば、2018年に巻き起こした「金農旋風」が記憶に新しい。エースの吉田輝星(オリックス・バファローズ)を中心に、秋田県勢として103年ぶりの準優勝を果たした。そして今夏、吉田輝星の弟である最速146キロの右腕エース・吉田大輝を筆頭に旋風の再来を誓う。 好投手を擁するチームが相手だからこそ、沖縄尚学の初戦突破に向けては末吉の出来が鍵を握るのは間違いない。

球数100球超えるも…勝負どころでイーマン琉海をピシャリ

夏の沖縄大会決勝。七回表、最大の勝負所が訪れた。 センバツ出場校のエナジックスポーツに対して1-4とリードしていたものの、末吉が2連続四球と暴投で2死一、二塁のピンチを招いた。気温は30℃超。この回の途中で球数が100球を超え、ボールが高めに浮き出していた。 ここで打順が回ったのは、それまで3打数2安打のイーマン琉海。長打力と俊足を兼備し、U18日本代表候補に選ばれた逸材だ。点差を考えると、当然歩かせる選択肢はない。投打で沖縄のトップに立つ二人が約18メートルの距離で向かい合った。 初球、スプリットをワンバウンドさせて空振りを誘う。次はアウトローの厳しいコースにスライダーを投じてファウルチップ。一球遊ぶかと思いきや、斜めに大きく曲がるスライダーを外角にズバッと放り、見逃しで3球三振に仕留めた。 さすがに直球無しの3球勝負は予想外だったはず。イーマンは脱力して感心したように笑みを浮かべ、ベンチに下がっていった。 試合後、30人近いメディアに囲まれた末吉。「イーマン選手との勝負ではいい感触がありました。七回のピンチを抑えたことで、チームに流れを呼び込むことができました。あの場面が(今日の試合で)一番良かったと思います」。堂々と、歯切れ良く言った。 八回以降も147キロ、148キロの直球で連続三振を奪うなど、さらに調子を上げていき、完投。攻撃でも4打数2安打4打点の活躍ぶり。大舞台でこそ、強い光を放つ。そんな千両役者ぶりをまとい始めた2年生サウスポーが、センバツ出場校同士の頂上決戦で9-1という大差を演出した。

練習に汗を流す沖縄尚学のメンバー=1月(長嶺真輝撮影)

貫禄のある風貌、“尻上がり”の球速…全国の主役へ

プロと見紛うような貫禄のある風貌、尻上がりに上がっていく球速、勝負所で精度が増す変化球のコントロール、大一番で発揮する打撃センス…。 これらの要素を見ると、ある沖縄出身の左腕を連想する人も多いはず。興南高校出身で、末吉自身が目標に掲げる宮城大弥(オリックス・バファローズ)だ。宮城も高校時代から150キロ近い直球と一級品の変化球を投じ、学年が上がるごとにギアの上げ下げの感度やスタミナを磨いていった。そして、4番に座るほどの打力も備えていた。 末吉も、この1年で着実に力を伸ばしてきた。 1年生だった昨秋の明治神宮大会では直球の安定感や制球力が全国レベルに追い付いておらず、初戦の敦賀気比戦で5回を被安打5の3失点で降板。今春のセンバツでは初戦で力のある青森山田に対し3失点完投勝利を挙げた一方、大会優勝校の横浜と当たった2回戦では7回を投げて被安打9の5失点を喫した。 春は追い込んでからの決め球に欠ける場面もあったが、イーマンを仕留めたスライダーはキレが増しており、バックスピンの効いた豪速球が絶妙なコースに決まることも増えてきた。相乗効果で打者が的を絞りづらくなっている。マウンド上での風格は「高卒・ドラ1」でプロ入りした高校生時代の宮城の姿に徐々に近付いてきた印象だ。 自信が深まってきたのか、取材に応じる姿勢は毅然としてきた。発する言葉も力強い。 「沖縄尚学として甲子園通算30勝の達成が目標です。春に負けてしまった横浜高校と対戦することがあればリベンジしたいです。夏に優勝する高校が一番強いと思います。一戦必勝で戦っていきます」 初戦で投げ合うであろう金足農業の吉田大輝は、直球とチェンジアップが威力抜群。昨夏も甲子園でマウンドに立っており、今秋のドラフト候補の一人だ。相手にとって不足はない。レベルアップした左腕の力を遺憾無く発揮し、跳ね返され続けてきた全国の舞台で主役に躍り出たい。

練習でノックする沖縄尚学の比嘉公也監督=1月(長嶺真輝撮影)

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