妻に子供3人を殺害された夫「僕はモンスターと結婚したわけではない」と妻を擁護(米)
昨年1月、産後うつで苦しんでいた妻に3人の子を殺害されたアメリカ在住の男性(33)が現地時間14日、米ニュースメディア『The New Yorker』のインタビューで「僕はモンスターと結婚したわけではない」と語って妻を擁護し、悲劇の事件の背景について明かした。米ニュースメディア『New York Post』などが伝えた。
【写真】幸せだった頃の一家。妻は第3子を出産後、産後うつに苦しむようになった
昨年1月24日、パトリック・クランシーさん(Patrick Clancy、33)は、妻リンジー(Lindsay)にコーラちゃん(Cora、当時5歳)、ドースン君(Dawson、当時3歳)、 カラン君(Callan、当時生後8か月)の世話を任せ、マサチューセッツ州ダックスベリーの自宅を後にした。リンジーに頼まれて、コーラちゃんの薬とテイクアウトの夕食を取りにいくためであったが、リンジーはこの間、我が子3人の殺害を試みた。
当時32歳だったリンジーは、第3子を産んだ後にうつに陥り、2022年の11月中旬頃から不安と不眠が続いて人との接触を避けるようになり、看護師としての仕事復帰を遅らせていた。そして、彼女は産後にメンタルヘルスの専門家に助けを求め、重度の全般性不安障害と診断を受けて複数の薬を服用していた。
事件の数週間前、2022年の大晦日にはパトリックさんに「命を絶ちたい衝動に駆られる」「感情が麻痺している」「3人の子供たちに危害を加えたくなる」と告白し、翌朝にボストン郊外のマクリーン病院に入院した。しかし数日後、パトリックさんに「ここは私がいるべき場所ではない」とメッセージを送り、入院から5日後には新たな抗うつ剤を処方されて退院した。
退院の2日後に、夫妻はコーラちゃんの5歳の誕生日会をトランポリン公園で開催したが、少しずつ明るさを取り戻し、よく眠れるようになった妻にパトリックさんは希望を見出した。
事件が起きた1月24日の朝も同様で、パトリックさんがいつものように「気分はどう? よく眠れた?」と質問すると、リンジーは「気分は良いしよく眠れた」と答え、胃痛を訴えるコーラちゃんを病院に連れて行ったほどだった。
そして午後5時頃、パトリックさんは「長女の薬とテイクアウトの夕食を買ってきて」と頼まれて車で出かけ、しばらくしてリンジーに薬の名称を確認するために電話をかけたところ、応答がなかった。その1分後にリンジーから電話がかかってきたが、パトリックさんは当時のことを「14秒間の通話中、彼女は何かをしているようで忙しそうだった」と明かし、次のように続けた。
「午後6時頃に帰宅すると、家の中が静まり返っていた。主寝室に行くと鍵がかかっていたので、こじ開けた。すると窓が開いていて、ナイトテーブルの上に血が付着したナイフが置かれ、床に血が飛び散っているのを発見した。」
パトリックさんが驚いて外に出ると、2階の窓から飛び降り、地面の上で意識が朦朧としたまま倒れているリンジーを発見した。「何をしたんだ?」と尋ねると、彼女は自殺を試みたと答えた。
パトリックさんは、緊急通報をしながらリンジーに子供たちの居場所を尋ね、示唆された地下室へ向かった。そして子供たち3人が首にエクササイズバンドを巻かれたまま横たわっているのを発見し、妻が3人を殺害しようとした後に自殺を試みたことを悟った。
救急隊が到着した時、パトリックさんは地下で「彼女が子供たちを殺した」と泣き叫んでいたそうで、コーラちゃんとドースン君は現場で死亡が確認され(一部報道では、その夜に病院で死亡が確認されたとも伝えられている)、カラン君は3日後に病院で息を引き取った。
子供たちを埋葬し、両親のもとでしばらく過ごしていたパトリックさんには、リンジーから罪状認否の数日前に電話があったそうで、その時のことを「彼女らしくなく、パニックに陥っていたようで、『子供たちを殺せという声が聞こえた』と語っていた。1分ほどで話を終えた」と明かした。
パトリックさんがリンジーに連絡を取ったのは、事件から6か月後の彼女の誕生日のことで、父親に勧められたという。リンジーは「毎日が人生最悪の日。子供たちがいなくて寂しい」と話しており、パトリックさんは「クレイジーに聞こえるかもしれないけどそれが現実。それ以来、彼女とは定期的に話をするようになった」と述べた。
パトリックさんがリンジーに最初に質問したことは、「殺人を計画していたのか? だから私を買い物に行かせたのか?」ということで、リンジーは「違う。あれはまるで一瞬でスイッチが入ってしまったかのような出来事だった」と答えた。そのほかにもリンジーは当時、通常よりも遠くのレストランでのテイクアウトを頼み、往復にどれくらい時間がかかるかを調べていたことも分かり、その理由について「渋滞を心配したからよ」と答えたという。また、パトリックさんが「グーグルで殺害方法を調べたのか?」と聞くと、「2か月間、自殺願望に駆られていたから、自分のために調べていた」と返答したそうだ。
パトリックさんは今年4月、マサチューセッツ州のボストンマラソンに参加し、カラン君が亡くなる前にお世話になった病院のために1091万円(7万3千ドル)以上の寄付を集めた。また、家族で暮らした家を売り、ニューヨーク市マンハッタン、ミッドタウンのアパートに引っ越しをしたそうで、「事件に関する様々な嘘と間違った情報を打ち消すために今回のインタビューに応じた」と語った。
一方、リンジーは自殺を図ったことで下半身が麻痺し、今も精神科病院に入院中で、パトリックさんは事件について次のように述べ、妻を擁護した。
「もう家もないし、子供たちもいない。残っているのは僕とリンジーだけだよ…。あの日、なぜ地下室に先に行かなかったのかと思うと悔やまれる。10分でも早く駆けつけていたら、とね。」
「ただ、もし彼女が本当に殺害を計画していたとしたら、もっと傷つくことになるだろう。でも、もう誰を信じていいかわからないんだ。まあ、今となってはそんなことは関係ないけど。」
「それに僕はモンスターと結婚したわけではない。僕は病気になった人と結婚しただけなんだ。」
裁判の日程は未定だが、リンジーは絞殺による3件の殺人罪、および危険な武器を使った暴行と傷害罪で無罪を主張している。裁判では「抗うつ剤の過剰投与による影響があったのか」「精神障害による責任能力の有無」「殺人は計画されたものだったのか」などが焦点になると考えられている。
なお、このニュースには、次のようなコメントが寄せられている。
「3人の罪のない子供たちを殺害した時点で、彼女はモンスターだよ。」
「子供たちが母親に一人ずつ傷つけられるのを想像するだけでつらく悲しい。」
「彼女は看護師で、自分が何をしていたのか分かっていたはず。計画した殺人だよ。」
「なぜ、父親は子供たちを一緒に連れて行かなかったのか。彼女が子供たちを傷つけたいと告白した時点で気づくべきだった。」
「精神疾患の治療は非常に困難なうえ、患者の症状を適切に管理するのが難しい。」
「私も産後うつに3年苦しんだ。人生で最悪の時期だった。」
「心が痛む。夫の思いやりは信じられないほど。この事件から医療関係者やほかの家族が学び、同じ悲劇を繰り返さないように祈っている。」
画像は『Boston.com 「5 takeaways from Patrick Clancy’s interview with The New Yorker」(GoFundMe)』『Fox News 「Husband of Boston nurse Lindsay Clancy accused of killing their 3 kids says he wasn’t married to ‘monster’」(Lindsay Marie Clancy/Facebook)(David McGlynn for Fox News Digital)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)