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『ゴールデンカムイ』にも登場、「なんこ」こと馬の腸を食べてみた! 北海道と秋田の不思議なつながりに震える

ロケットニュース24

日本は広い。芸術品のような本膳料理から昆虫食まで、土地ごとにさまざまな食習慣がある。『ゴールデンカムイ』は “グルメ漫画” の側面もあるほど、北海道各地の食文化や、登場人物ゆかりの食べ物を丁寧に描いている。

作品序盤、夕張で登場した「なんこ鍋」こと馬の腸の煮込みも実在の食べ物だ。北海道の歌志内(うたしない)名物「なんこの味噌煮」を食べる機会を得たのでレポートしたい!

【写真】冷凍状態で届くので解凍して使う

・「なんこ鍋」を作ってみる

手に入れたのは木村精肉店「なんこの味噌煮」冷凍品。やはりここは鍋にして食べてみたい。当地では家庭それぞれの味があり、決まった作り方はないらしい。一般的な鍋の具材ならなんでもOKと、大らかな言葉が書いてあった。

適当に用意してみた。鍋なので白菜がいいのかもしれないが、ここはキャベツで!

というのも、過去に岩手県岩泉で食べた「炭鉱ホルモン」や、秋田県花輪の「ホルモン鍋」。前者は小川炭鉱、後者は尾去沢鉱山があった地域だ。いずれも豚ホルモンだが、野菜はキャベツだったと記憶している。ホルモン×キャベツの組み合わせは鉄板。

すべてにつながるのが「鉱山」というキーワード。『ゴールデンカムイ』でも調理をした家永カノが「夕張を含む空知地方の郷土料理で、炭鉱夫の間で広まったらしいです」と解説している。

安く手に入り、スタミナがつくことから、鉱山労働者の日常食として親しまれてきたようだ。「食に歴史あり」とは、このこと!

しかも「なんこ鍋」、一説によると秋田から入植した屯田兵により北海道に伝えられた食習慣だという!

作中で秋田といえば谷垣源次郎。谷垣は阿仁マタギだけれど、阿仁にもかつて大きな鉱山があり、呼吸器疾患に効くと信じられて盛んに馬肉が食べられてきた。秋田では腸に限らず馬肉を「なんこ」と呼んだ。その名もズバリ「なんこ鍋」が現在でも郷土料理として残っているらしい。秋田から来たんか!

海をわたって阿仁と北海道をつなぐ「なんこ鍋」……うわぁぁぁ、不思議な符合!

具材を煮込んだら、味噌で好きなように味つけする。後から濃くも薄くもできるから失敗知らず。味噌の甘い香りがただよう鍋が完成した。

・完成した「なんこ鍋」

実際に食べてみたい。ここからは「モツそのもの」の画像が続くので、苦手な方はブラウザバッグ。

内臓的なヒダヒダがはっきりわかる。見た目にもかなり腸っぽい。苦手な方にはごめんなさいだし、筆者もいわゆる「珍味」は普段避けるほうなのだが、今回ばかりは好奇心が勝る。

歯ごたえがあるが、噛み切れないほどではない。味噌の風味が食欲を増し、ご飯が欲しくなる。粉塵を吸い込むことで発症する職業病「よろけ」に苦しむ阿仁の鉱夫が、馬肉で元気を回復したという伝承があるらしく、滋味が身体中に浸透するような気がする。

野菜にも馬の風味が染み込んでいる。やはりモツなので、独特のニオイがある。ストレートに表現すると「ドロくさい」というか「ドブくさい」というか、口の中に残るニオイだ。阿仁ではニオイ消しのショウガなどと一緒に煮込むそう。

小料理屋や居酒屋のモツ煮込みより、ずっと野性味あふれる味。心の準備なく口にしたらびっくりするかもしれないが、「こういうものだ」と思って食べるとかなり美味しく、クセになる。七味や山椒をかけると、一気に爽やかになって食べやすい。

馬を愛するキロランケは口から噴き出していたが、筆者は郷土食に限っては、ほぼなんでも倫理的抵抗感がない。命を食べて生きるのは生物の必然だし、選んだ食べ物が理にかなっていれば文化として残る。部外者がやんやと口を出すことではないと思っている。動物に対して最大限の敬意と配慮は必要だと思うけれども。

馬、ごちそうさまでした!

・レンチンでも食べられる!

なお、今回の商品はすでに煮込まれた状態で冷凍されており、実はレンジで温めるだけで食べられる。火の通りを気にしなくていいのでラク。煮立てないため味噌の風味が強く残り、弾力のある食感もそのまま楽しめる。酒のつまみにするならこちらも!

現在、木村精肉店の「なんこの味噌煮」を遠隔地からダイレクトに買える方法は見つけられないのだが、ふるさと納税の返礼品として各種サイトに登場している。ちょっと変わったご当地の返礼品、いかがだろうか?

参考リンク:さとふる、ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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