公立中学校の「部活動」がすべて終了へ。地域の団体が主体となる「クラブ活動」に全面移行、政令市で初
神戸市は、平日・休日ともに学校単位での「部活動」をすべて終了し、地域のスポーツ団体などを運営主体とする「クラブ活動」に移行することを発表しました。
部活動は2026年8月までに終了し、9月にはクラブ活動を開始するとのこと。
これまでにも神戸市では休日の部活動を対象に段階的にクラブ活動を実施してきましたが、平日も含めた全面移行は、政令市では全国初の試みです。
中学部活動の状況
従来の「部活動」は、学校の教員が顧問として指導し、学校内で同じ学校の生徒とともに活動します。
この学校単位での部活動では、少子化による生徒数の減少で部活動の種目数が減るなど、生徒にとって活動の選択肢が少なくなってきているのだそう。
指導する教員側としては、休日勤務や、指導経験がない教員が指導に当たらざるを得ないといった課題も。価値観が多様化するなかで、本来の技術指導よりもトラブルなどへの対応が増加するなど、神戸市は「教員が顧問を担う仕組みは限界に近づいている」という考えです。
また子どもたちや保護者のニーズも、より「楽しみたい」という意向に変わってきていて、ニーズに十分に応えることができていないという現状もあるようです。
中学校生徒アンケート「部活動に入部した理由」では、「良い成績を残したい」という回答に比べ、「楽しみたい」「うまくなりたい」「学校生活を楽しみたい」といった回答が多い結果に。
小学校保護者アンケート「学校部活動に期待すること」でも、「交友関係を拡げる」「学校生活の充実」「チームワークや協調性」「楽しむ」という回答が多く見られました。
神戸の地域クラブ活動「KOBE◆KATSU(コベカツ)」
クラブ活動の名称は「KOBE◆KATSU(コベカツ)」。コンセプトはこんな感じです。
・校区を越えて子供たち自身が「やりたいこと」を選んで活動します。
・これまでの部活動になかった新種目や気軽に取り組める活動などニーズに合った活動の場を提供します。
・子供たちが活動の主役となり、大人の価値観を押し付けません。
子どもが校区を越えてやりたい活動に参加できる、新種目や気軽に取り組める活動の場をつくるなど、現在の部活動が抱えている課題を意識したコンセプトになっているようですね。
スポーツ・文化芸術団体、大学、民間企業、NPO、地域団体など幅広い団体が、神戸市教育委員会の登録を経て活動主体となる仕組み。希望する教員も参加できるそうですよ。
「コベカツ」についての発信の強化
神戸市は取り組みについての発信を強化するため、キービジュアルを制作し、専用ホームページを開設しました。
コベカツのロゴマークは、子どもでも大人でもない「中学生」を生き生きとしたトーンで表しているのだそう。
ビジュアルデザインはアーティストの「AYAKA FUKANO」さんに依頼し、コベカツの楽しさやワクワク感を表現。上部には神戸の山並み、下部には神戸港をイメージしたカラーが配置されてます。
専用ホームページでは、「生徒・保護者」「参画を検討中の方」「企業」などそれぞれの立場の人々に向けて、わかりやすい情報を届けていくとのこと。
今のところ次のようなコンテンツが用意されてます。
①KOBE◆KATSUニュース
「コベカツ」に関する最新情報をお届けします。「コベカツ体験会」のレポートも順次掲載します。
②概要説明動画
「生徒・保護者」と「参画を検討中の方」向けに、「コベカツ」への理解を深めていただくため、動画を掲載しました。
③アンケート結果の活用
活動団体としての参画を検討される際に参考となるよう、本年7月に実施したアンケート結果をもとに、小学校区ごとのニーズを可視化したデータを掲載しました。
活動団体「コベカツクラブ」の募集もスタート
活動団体「コベカツクラブ」の募集も来年1月中旬からスタートします。
年度ごとの更新制で、神戸市教育委員会の登録を経て活動できる仕組み。団体の代表者は18歳以上(高校生は除く)とし、学生だけでの構成は不可。
活動開始までに全スタッフは必要な研修を受講し、今回策定された「方針」に則って活動・運営していくそうです。
クラブ活動への全面移行は2026年9月を予定されてますが、可能なクラブにおいては2025年9月頃から先行実施していくみたい。
全面移行によって、社会問題となっている教員の負担が減少したり、生徒の活動の幅が広がったりというメリットがありますが、一部懸念点も残ります。
地域団体が少ないエリアではむしろ選択肢が減ってしまう可能性もあり、学校や家から活動場所への距離がある場合には移動手段も課題となってきそうですね。
神戸市は「『コベカツ』が子供たちにとってワクワクするような活動となるよう、多くの皆様の積極的なご参画をお願いします」としています。