冬の疲労回復に。スパイスやハーブ、漢方食材を使ったお料理
今回は、手軽に楽しめるスパイスやハーブ、漢方食材を使ったお料理をいくつかご紹介します。体を優しくあたため、胃腸のサポートや冬場の疲労回復に。
このコーナーでは、香りを持つ植物の魅力に惹かれて、育てる、眺める、味わう―、日々の出来事をハーブ研究家のかりのあさのさんがつづります。「風葉香(ふうか)」は、風で葉っぱが揺れ香るハーブのことをイメージして。
プロフィール
かりの あさの
ハーブ研究家、ハーブ講座講師。ハーブのある暮らしの魅力を多方面から発信。
今年は暖冬、なんて予報にうなずいていたものの、1月後半にはドカ雪が数回あった札幌でしたが、皆さん除雪疲れがたまってきている頃ではないでしょうか?
今回は、手軽に楽しめるスパイスやハーブ、漢方食材を使ったお料理をいくつかご紹介したいと思います。
まずは、体があたたまり胃腸の働きをサポートしてれる、薬膳風スープです。入手しやすい漢方食材を集めてみました。陳皮(ちんぴ)、クコの実、ナツメ、生姜、ニンニク、小豆(あずき)、ゴマ、キクラゲ。ほとんどがスーパーなどで揃います。代謝をアップさせて老廃物を出し、疲労回復に役立てたいですね。
鶏手羽はとてもいい出汁(だし)が出るのでよく使います。鶏手羽はコラーゲンも豊富で、寒風でダメージを受けたお肌に役立ちそうです。味つけは鶏ガラや中華だし、塩・コショウで十分に美味しくなります。餅米を入れたら参鶏湯(サムゲタン)風に。
寒い時期は、黙っていてもカロリー消費が増えてお腹がすくのが早いような気がします。疲れを減らすために、私は除雪前にカロリーのあるものを食べておくように心かけています。
揚げたてのジャガイモにお塩とイタリアンパセリ、ローズマリー、バジル、オレガノ、ブラックペッパーなどをパラパラかけると、ついつい手が伸びてしまう味わいです。前回<第58回>紹介した「ハーブソルト」は、ポテトフライなどの揚げ物にもぴったりですよ。
冬は暗くて寒いところにジャガイモを保管しておくと、糖度が増していくことは皆さんもご存知だと思います。揚げ物など高い温度で調理する際には、ジャガイモを常温に戻してから油で揚げるなどするとよいですね。
ジャガイモ以外にも、サツマイモやカボチャもおすすめです。サツマイモは近年たくさんの品種が出ていますが、「夢ひらく」という品種の焼き芋を先日はじめて食べてみたら、黄金色でツヤがあって甘味が素晴らしく、ねっとり系が好きな私の中ではNo.1のサツマイモになっています。
そして、おすすめなのが「チャイ」。スパイスいっぱいのミルクティーは、皆さんきっと好きになると思います。入れるスパイスの種類、量によって無限に楽しめる飲み物です。
つくるときは、少なめのお湯に茶葉(いつもの2倍くらいあるとよい)とシナモン、クローブ、カルダモン、スターアニス、クミン、ディルシード、フェンネルシード、陳皮(ちんぴ)、生姜、黒コショウなど、手に入るものをブレンドして5分ほど煮詰めてから、牛乳や豆乳、アーモンドミルクや砂糖などを入れて甘味を足します。茶葉は多めにし、濃い目につくるのがおすすめ。また、コーヒーのような風味がする大麦が原料のオルツォを、茶葉の代わりに使っても美味しいので試してみてください。
チャイシロップも店頭で見かけることが増えたので、ミルクティーをつくってシロップを入れる簡単な方法もありますね。
スパイス全般には、内臓を温め代謝を促進する働きがあるものが多いので、寒い冬にはもってこいです。
また、私が冬の季節になると常備する一つに、ジンジャーシロップがあります。生姜(ジンジャー)は、加熱すると身体をあたためる作用が高まるハーブの仲間。寒い冬には日常的に取り入れてみるとよいでしょう。
薄くカットした生姜とハチミツ、くし切りにしたレモンとドライハーブのカルダモンを鍋に入れて、ひたひたに被る程度の水を加え、軽く熱してつくります。ハチミツの甘味は、お好みで量を調整するとよいでしょう。
ジンジャーシロップは、お湯で割って飲んだり、炭酸で割ってジンジャーエールのようにして楽しめるほか、豚肉の生姜焼きをつくるときにも役立ちますよ。つくったジンジャーシロップは、消毒した瓶などに移して冷蔵庫で保管し、糖度が低ければ10日程度で使い切るのが理想です。
そのほか、赤色ビーツの具だくさんスープや、ドライハーブをたっぷり使った手づくりソーセージ、ローズマリー風味のポトフやオーブンサンド、白玉粉をハイビスカスティーや緑茶で溶いて着色したお団子など、身近な食材とハーブやスパイスの組み合わせと、明るい色味の食材を利用して、寒くて真っ白い世界になる冬の間も、彩り豊かに楽しめるといいですね。
体をあたため味わい豊かに楽しめる、茶葉や紅茶を使ったアレンジドリンクをまた次の機会に詳しく紹介したいと思います。