介護職1日目、初日から辞めたいと思ってしまった…「入社1ヶ月の壁」を越えるためには?
本日のお悩み
未経験の新人で介護の仕事に就いて1ヶ月目です。入社初日からもう辞めたいと思ってしまいました。
まだ頑張りたい気持ちもありますが、どのように考えればよいでしょうか。
入社1ヶ月目の壁、多くの原因は「ミスマッチ」
介護業界だけにかかわらず、近年「入社初日で退職をした」という人が増えているのは事実です。
一方で、退職をするには1ヶ月前に申し出ることなどの定めが就業規則に明記されている事業所が多く、初日に出勤し、翌日から無断欠勤をしたなどはルール違反になってしまう場合もあります。
しかし、「入職してみたらイメージしていた業務ではなかった」「このまま働き続けると体調を崩してしまいそう」などやむを得ない場合もあると思います。これらが生じる原因は入職前の理想と、入職後の現実のミスマッチです。
この記事では、ミスマッチが起きないようにするにはどうすればよいか、ミスマッチが起きた場合はどうすればよいかなどを専門家が解説します!
回答1:働く前に抱いていたイメージとのギャップに悩まれていませんか?
回答者/専門家
大庭 欣二
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11
私は介護・福祉業界で20年、500名近くの方の採用に携わってまいりました。
「長く働いて欲しいな」と願い、採用したものの、1か月も経たないうちに退職された方もいらっしゃいました。
そして経験を重ねるにつれ、採用する際に防ぐことができる退職もあることに気づき、それを実践し、成果を出しています。
入職前にできる離職対策は、正しい介護のイメージを知ろうとすること
求職者の皆さんは「できるだけ長く働きたい」であったり、「楽しく働きたい」という希望をもって面接にいらっしゃると思います。
その気持ちは採用する側も同じです。
お互いが「一緒に働きたい」と思うことは面接内で実現可能ですが、「これから先長く働けそう!」と安心するのは意外とハードルが高いものです。
そこで、面接時や施設見学時にできることとして、介護の正しいイメージを持つことであると思います。とはいえ、ただ面接を受けていては知ることができないので、求職者の方はこちらから、「介護のイメージとしてこういうことを思っていますが、実際はどうでしょうか?」などと聞いてみましょう。
逆に、事業所側の方は面接時に求職者が抱いている仕事や職場のイメージを伺い、イメージと異なる点も含め、事前に正しく伝えることが必要となります。
お互いに正しく理解したうえで、理想と現実のギャップのない入職ができるとよいですね。
働き始めてから、介護のイメージとのギャップに悩んだ場合は一度そのギャップと向き合ってみましょう!
働き始める前に介護業界や職場のことを調べておけば、このギャップによる離職の大半は防げるのですが、ご相談者さんの場合は、すでに働き始めていますよね。
では、就労後に、このギャップが原因で悩まれているとすれば、どうすればよいのでしょうか?
私の経験からお伝えしたいと思います。
■イメージとのギャップを前向きに捉える
まずは生じたギャップが解決できそうなものか考えてみましょう。
一度、嫌だと思ってからプラスに捉えなおすのは難しいことです。しかし、今悩んでいることは学びや経験を重ねたら解決できそうなのか、何か努力をしたら解決できるのかなどを考えてみるとよいかもしれません。
工夫次第で理想と現実を近づけることができるのであれば、そこに挑戦してみることも一つの手です。
自分一人で解決できないのであれば、上司に素直に相談してみてもよいかもしれません。違う視点からのアドバイスが聞けると思います。
■イメージとのギャップを受け入れる
次に、そのギャップを「受容」できるか考えてみましょう。
私は、未経験ならなおさら、この経験を重ねることにより得ることができる介護の知識や技術が、今後の人生において糧となることは間違いないと断言いたします。
介護や福祉は、生きていくうえで避けることができないものです。そして、介護や福祉は自らを成長させてくれる尊い仕事です。
ギャップを受容したうえで、そこにいる価値を見出せるのであれば、もう少し続けてみてはいかがでしょうか。
それでも悩み続けるなら、転職も視野に入れてみて
そして最後に、そのギャップがどうしても「許しがたい」ものと捉えられるケースもあると思います。
例えば、労働条件、労働環境、人間関係などが挙げられますが、介護業界に限らず、前向きに捉えることも受容することもできない職場が存在するのが現実です。
介護や福祉は、対人援助職です。そのため自分自身の心が整っていないと、継続することが困難な仕事です。
明日に光を見出すことがどうしても難しく、辞めたいと悩み続けるのであれば、異業種や別法人への転職も考えてみていいと思います。
その際には、今回抱いたギャップを次こそは抱かないよう事前の情報収集を徹底し、理想と現実のギャップを小さくすることを試してみてくださいね。
回答2:入社1ヶ月の壁は皆さん悩むものです
回答者/専門家
伊藤 浩一
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14
ご質問ありがとうございます。
1ヶ月目、一番辛い時かもしれませんね。
そして「入社初日からもう辞めたいと思っていた」とのこと。
入社初日は特に慣れない環境のため辛いと思います。
では何が辛かったのか?
今までの経験を踏まえてそのロジックをみてみましょう。
入職初日は初めてのことが多く不安やプレッシャーで緊張しやすい
まず1日目は、初めての環境、初めて会う職員、初めて会うご利用者、初めて習う仕事。
初めてだらけです。まさに緊張の連続、緊張をストレスと捉えるとストレスマックスの初日です。
ではなぜ緊張するのでしょうか?
自分は新しい環境、人間関係に受け入れらえるのだろうか?
→受け入れてもらいたい
→受け入れてもらうためには好印象でいたい
→失敗は許されない…。
という感じで、1つの不安に対し多くの考えが生じ、心が引き締まって緩みのない状態で1日過ごします。これは疲れるし、こんな辛い状態が毎日続くのか?と考えてしまったら、「もう辞めたい」と思ってしまいますよね。
緊張状態の1ヶ月目、自分を認めてあげましょう
でも質問者さんは1ヶ月に頑張って出勤しています。 おそらく緊張状態を緩和できないまま過ごしていると思います。
そのような状況が続くと、ストレスは蓄積され、精神的な疲れも強まっていきます。
精神的な疲れが強まると、自分に自信がもてなくなり、周りの環境や人から受け入れてもらえていないように思え、孤独感が強くなります。
その結果、将来に対しても希望が持てなくなり「もう辞めたい」という状況に陥る。というのが今の気持ちではないでしょうか?
また、思考も負のスパイラルになっているため、ふと「なぜこのような嫌な状況なのか?」と考えてしまうと「そもそも初日から辞めたかったんだ!」「この仕事は合わないんだ!」と自分のマイナスな気持ちを正当化してしまいがちです。
しかし今、質問者様が向き合わなければいけないのは、そのような負の感情ではなく様々な気持ちを抱えたまま出勤するという選択肢を選んだ強い自分です。
自身の努力を認め、そのうえでこれからどうしたいか考えてみましょう。
「入社1ヶ月の壁」を越えるために自身や周囲をもう一度見てみましょう
このロジック、質問者さんだけでなくあらゆる業界で「入社1ヶ月の壁」として起こりうる話しですよね。ではどうすれば良かったのでしょう?
■自分でできること
まずは質問者さんの課題から。
自分を必要以上によく見せようと頑張りすぎてませんでしたか?
また、他の職員と自分を比べてしまうことはなかったでしょうか?
未経験で入職すると特に有資格者との動きや知識の差に自分自身を悲観してしまうことがあります。だれも最初からパーフェクトにできる人はいません。
未経験だからこそ見える客観的な視点があります。その視点を大事に経験を積み重ねていくことが大切です。
■入職した施設側に課題がある場合も
次に事業者さん側の課題。
未経験で入職した質問者さんを放置していませんでしたか?
契約時と全く異なる条件で働かせていませんでしたか?
事業所の理念や職員育成方針などをしっかり説明し、エルダー制(新入社員と年齢が近い先輩職員が教育係としてOJTを行う)などを活用して、メンタル面のフォローも含めた教育体制を実践していますでしょうか?
人材不足であるからこそ、事業所側は働きたいと選んでくれた人を大切にする必要があります。
悩んだ際は年次の近い先輩などに1年目のときの話を聞いてみるのもよいと思います。
もし放置されているなら、転職を。介護事業所は星の数ほどあります!
もし質問者さんが、私がご紹介した課題もなく、メンタルコントロールもしながら前向きに仕事にのぞんでいたにも関わらず放置されている状況でしたら、転職した方が良いかもしれません。
2021年の厚労省発表では、介護サービスの事業所数は、訪問介護が34825事業所、訪問看護ステーションが11580事業所、通所介護が24035事業所、小規模多機能型居宅介護が5502事業所、介護老人福祉施設が8234施設などなど星の数ほどあります。※
せっかく介護業界に飛び込んでいただいたのですから、ぜひその思いを捨てず、他の事業所さんも当たってみてください。人を大事に頑張っている事業所さんもたくさんありますよ!
出典:厚生労働省令和3年 介護サービス施設・事業所調査の概況
まとめ:辞めたい理由と向き合い、解決が難しい場合は転職も視野に入れましょう!
初日で緊張してしまうことは誰でもあるものです。辞めたいと感じた際には、「自分がやめたい理由は何なのか」「それは解決できるものなのか」を一度考えてみましょう。
それがどうしても解決できないものの場合は、転職を視野に入れることも選択肢の1つです。自分自身が生き生きと働ける環境を探していきましょう。
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