飼い主を求めて…釜石で保護猫の譲渡会 子猫の一時預かり ボランティア募集も
岩手県沿岸広域振興局(釜石市)による保護猫譲渡会は25日、釜石市民ホールTETTOで開かれた。釜石、宮古、大船渡の3保健所で保護した猫計8匹が集まり、来場した人たちが自由に見学して相性を確かめた。会場には適正飼育の普及啓発や、一時預かりボランティアの募集に関する掲示物も並び、大切な命をつなぐ心構えや協力を求めた。
猫たちは人慣れしているが、「甘え上手」「穏やか。ひとり遊びもできて手がかからない」「少し怖がり」などと個性派ぞろい。ゲージ越しに猫の様子を見て回った小川町の濱田遥可君(9)は、お気に入りの猫を見つけたようだった。すでに1匹飼っていて、「増やすのは難しいかな」と母親の由紀江さん(47)。地域には野良猫が多いと感じていて、「無責任な飼育はできない。保護猫たちがいい飼い主のもとに引き取られたらいい」と願った。
釜石保健所管理の保護猫は現在13匹。県の施設のほか、譲渡会を共催する動物愛護団体「人と動物の絆momo太郎」が運営する譲渡型保護猫ハウス「保護猫アンドゥ」(大渡町)でも一時預かりしている。今回は4匹を紹介。動物を飼う前の心構えや必要な準備を学ぶ講習も行われ、話を聞いた人はいたものの、「再考する」とのことだった。対応した同所獣医師の安田理(あや)さんは受け入れに前向きな様子を感じたといい、「猫と飼い主となる里親さんとの出会いを提供することで、次につながるはず」とうなずいた。
譲渡会は動物愛護思想の高揚、適正な飼養の啓発を目的に実施。6月8日午後1時、宮古市の地区合同庁舎でも予定している。
釜石保健所では保護された子猫を一時的に自宅で預かり、授乳などを行う「一時預かりボランティア」への登録を呼びかけている。募集人数は若干名。譲渡に適した月齢や体調になるまでボランティアの元で過ごし、譲渡時期が来たら、譲渡会や保健所で新しい飼い主を募る。
現在、子猫は収容されていないが、安田さんによると「年に数匹は保護される」とのこと。生後間もなくだったり、1カ月半程度の時もあるなど、やってくる時期はさまざまだが、離乳するまでの約2カ月程度、家で預かり数時間おきの授乳や排せつの世話、健康チェックと記録などをしてもらう。ミルクなどペットフード、哺乳瓶など関連物品、トイレ砂などは提供される。
ボランティアの条件は釜石市、大槌町在住の20歳以上の人で、▽ペット飼育が可能な施設に居住▽同居家族全員の同意があり、猫アレルギーの人がいない▽終日子猫の世話が可能▽完全室内飼育▽子猫の送迎、資材の運搬が可能―などとしている。応募者を対象に面談と講習会を実施する。
安田さんは「授乳は猫のタイミングに合わせたり、手間がかかることもあるが、愛情をかけて育ててほしい。譲渡につながる手伝いをすると思って、子猫たちの社会化、人慣れに協力してもらえたら。子猫の成長が実感できて楽しいですよ」と話す。
猫の一時預かりボランティアに関する問い合わせは、沿岸広域振興局保健福祉環境部(釜石保健所)環境衛生課(電話0193-27-5523)へ。