2025年に入ってシニアの仕事探しが急増!「65歳=引退」の時代は終わり。|求人ボックス【シニア世代の仕事探し・求人動向】
少子高齢化と人手不足が加速するなか、企業の間で「シニア人材」への注目が高まっている。
年齢を理由にした一律の引退ではなく、経験やスキルを活かして働き続けたいというシニア層の就業意欲は、年々確実に高まっている。さらに、法改正による雇用環境の整備や、無理のない勤務条件・柔軟な働き方を望む声の高まりを背景に、シニアを対象とした求人検索数は2025年に入って特に急増している。
今回は、シニアが求める仕事・働き方を探るため、求人ボックスの求人検索データをもとに本調査を実施しました。
シニア人材の活用が、今あらためて注目されている
少子高齢化と生産年齢人口の減少が進むなか、多くの企業が人材確保の課題に直面している。その打ち手として、60歳以上の就業者に対する期待が急速に高まっている。
就業率は年々上昇、意欲も高い
近年、60歳以上の就業率は着実に上昇している。エン・ジャパン株式会社の調査によると、60代の約8割が、65歳を超えても「働きたい」と回答した。実際、70歳以降の雇用機会を整備する企業も増加傾向にある。
総務省の「令和5年度 労働力調査」によると、65歳以上の高齢者の就業者数は931万人に達し、20年連続で増加している。2023年の就業率は、 65〜69歳で53.5%、70〜74歳で34.5% となり、就業者総数に占める高齢就業者の割合は13.4%で、長期的に増加傾向にある。
法改正で進む、シニア雇用の拡大
高年齢者雇用安定法の改正により、2025年4月からは継続雇用制度の適用範囲が広がった。これにより、企業は希望者全員に65歳までの雇用機会を提供する必要がある。
これは、高年齢者雇用安定法の経過措置が終了することによるもので、企業は以下のいずれかの対応を求められている。
定年制の廃止 定年年齢の65歳への引き上げ 希望者全員を対象とした65歳までの継続雇用制度の導入
「シニア」に関する仕事の検索数が、2025年に入って急増
2025年1-3月期は、 シニアが働くことを想定した仕事の検索数(※1)が過去3年間で最高 だった。新型コロナウイルスが5類移行する前の2023年1-3月期と比較すると197.27%と大幅に増加している。
検索ワードランキングの集計・算出方法:「求人ボックス」利用ユーザーが、「求人ボックス」上でシニアに関連するキーワード(シニア、60代、70代、65歳、70歳、75歳)で検索した数をもとに算出。(※1)
2022年3月の検索回数を1として指標化。
【検索キーワードTOP500調査】シニアの希望条件は?
シニア層の求人検索における傾向を把握するため、「シニア」とともに検索されたキーワードのうち、検索数上位500件を対象に分析を行った。
検索動向の集計・算出方法:「求人ボックス」利用ユーザーが、2024年1月1日から2024年12月31日の期間に、「求人ボックス」内で仕事探しを行う際に、「シニア」と合わせて入力された検索キーワードの検索数上位500ワードから抽出。(以下同様)
出典元:Adobe Analytics
年代、性別、就業形態
年代
検索された年代では 「60代」が81.3% と圧倒的に多く、次点の「70代」(17.5%)とは大きな差が見られた。
性別
検索者の性別では 「女性」が88.9% を占め、「男性」(11.1%)を大きく上回った。
就業形態
希望する就業形態では 「パート」が69.6% で最多。次いで「バイト」(20.2%)、「正社員」(4.0%)と続いた。
希望勤務条件
勤務時間帯
最も多かったのは 「夜・深夜」(61.4%) 、次いで「朝・早朝」(36.9%)、「午後」(1.7%)となった。
勤務日数
「週2日」が59.9% で最多、次いで「週1日」(22.4%)、「週4日」(13.7%)、「週3日」(4.0%)と続いた。
「無理なく、自分のペースで続けられる働き方」へのニーズが顕著
厚生労働省の調査によれば、正社員・正職員に占める男性の割合は72.8%と高く、正社員は一般的に65歳が定年で継続雇用制度の対象となりやすい。また、男性の方が平均勤続年数が長い傾向にあることから、シニア世代で再就職を希望する女性が多いと考えられる。(※2)
このため、シニア女性による「パート」希望が多く、「パート」の検索数が多い理由につながっていると見られる。
「夜・深夜」の検索数が多い要因として、 日中に家事・介護などの家庭内責任がある人が夜に働きたい と考えていることや、 コンビニや清掃業務など夜間にシフトがある職種を意識 していることなどが考えられる。
また、 「週1回」「週2回」を合わせて8割を超える ことから、体力やライフスタイルに無理のないペースで働きたいと考えるシニアが多いことが伺える。
シニア層の求人検索結果から、 生活リズムや体力に配慮しながら、社会参加・収入確保のために「短時間・少日数・柔軟な時間帯」での就労ニーズが高い といえる。
(※2)厚生労働省「令和5年の働く女性の状況」:正社員・正職員の女性は10.4年、男性は14.2年、正社員・正職員以外の女性は8.3年、男性は11.1年
【検索キーワードTOP500調査】シニアに人気の仕事は?
シニア層から注目を集めている仕事を調査するため、「シニア」と合わせて入力された検索キーワードの検索数上位500ワードから、職種に関するキーワードを抽出し、資格が求められる仕事とそうでない仕事に分けてランキング化した(1位の検索回数を100として指標化)。
シニアから人気のある職種ランキング
「シニア」と合わせて検索されている職種キーワード1位は「清掃」、次いで2位「事務」、3位「軽作業」と続いた。マンションや施設の管理人やコールセンター、受付など、座る時間のある仕事も注目されているのが特徴的である。
観光回復と都市化でニーズ拡大、「清掃スタッフ」の求人数トレンド
観光業の回復やホテルの新設により、 清掃スタッフの需要が拡大 している。さらに、日本国内では建物の高層化・大型化が進み、「特定建築物」と呼ばれる商業施設やオフィスビルの数が増加。こうした施設では定期的な清掃が必要とされており、清掃スタッフのニーズは年々高まっている。
清掃スタッフの仕事は、資格や特別な経験が不要で、短時間勤務や曜日を選べる柔軟なシフトが多い ことから、体力や生活リズムに合わせて働ける点がシニア層に支持されている。 「無理なく働きたい」「空いた時間を有効活用したい」というシニアのニーズ にマッチした職種として、今後ますます注目されると考えられる。
求人ボックスに掲載された、「清掃員 シニア」の30日以内の平均求人数は165,073件、平均時給は1,125円だった。(2025年4月掲載時点)
シニアから人気のある資格が必要な職種ランキング
「シニア」と合わせて検索されている有資格者職種キーワード1位は「ドライバー」、次いで2位「看護師」、3位「フォークリフト」と続いた。
免許を活かせて未経験でも始めやすい、「ドライバー職」の求人数トレンド
近年、 シニア層に「ドライバー職」が人気 を集めている。その背景には、 普通免許があれば未経験でも始められる 送迎や配送の仕事が増加していることにある。
EC化の進展と消費者ニーズの多様化により、 小口配送・多頻度配送の需要が拡大 。加えて、2024年4月から施行された労働時間の上限規制により、ドライバー不足がさらに深刻化している。このため、業界全体で人材確保に力を入れ、 賃金の見直しや勤務時間の柔軟化が進められており、働きやすさが向上 している。
体力に不安があっても比較的短時間で働ける仕事も多く、 自分のペースで社会参加をしたいシニア層にとって魅力的な選択肢 となっている。ドライバー職は今後も、シニア層にとって注目の仕事になると考えられる。
求人ボックスに掲載された、「シニアドライバー 運転手」の30日以内の平均求人数は51,870件、平均月収は34.7万円だった。(2025年4月掲載時点)
「65歳=引退」の時代は終わり
かつて「65歳=引退」とされた時代は、すでに過去のものとなり、少子高齢化が進むなかで、シニア人材は今や日本の労働市場に欠かせない存在である。企業側も今後の組織運営や人材戦略を考える上で、年齢にとらわれない柔軟な働き方の設計が求められている。
就業意欲の高まりや法改正による環境整備に加え、希望条件に合った柔軟な働き方が選択できるようになることで、今後もシニア層の活躍の場は広がっていくと考えられる。検索トレンドの変化が示すように、「年齢に縛られず、自分らしく働く」時代が本格的に始まっている。
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