本物の鉄道車両を運転できる! 日本一寒い町・陸別で、廃線から約20年経っても走り続ける “りくべつ鉄道”とは【しろまる寄り道⑪】
WEBマガジンSitakkeで連載中の、ちょっと“距離感”がおかしい道民、白丸あすかが描く漫画『しろまるほっかいドライブ~白丸さんは距離感がおかしい~』から、寄り道スポットをご紹介します。
今回は、北見~池田をかつて結んでいた「ふるさと銀河線」跡地を巡る、鉄道好きも車好きも嬉しい旅をご紹介。その中でまず立ち寄ったのは…
寄り道スポットNo.11 陸別町「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」
Sitakke読者の皆さまこんにちは。
旅好き北海道民のしろまるです。
本コーナーは道内をドライブする連載企画『しろまるほっかいドライブ~白丸さんは距離感がおかしい~』の作中において登場したスポットを掘り下げて紹介する寄り道コーナーとなっております。ちょっとディープな北海道の世界へご案内!
北見を出発し十勝方面に向かって車を走らせていたしろまるは、出発から約1時間で陸別町に到着しました。内陸に位置する同町は冬場の冷え込みが厳しく、気温がマイナス30℃まで下がることがある「日本一寒い町」として知られています。今回は9月中旬の訪問ということで、夏のアクティビティを体験しに道の駅「オーロラタウン93りくべつ」へ寄り道をしました。
こちらの道の駅はかつて池田と北見を結んでいた「ちほく高原鉄道ふるさと銀河線」の陸別駅と一体になっており、町の交通拠点としての役割を担ってきました。2006年に銀河線が廃止された後も駅や線路の一部が保存され、「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」として名を改め、特別な体験ができる場となっています。
その体験こそが……
りくべつ鉄道ではふるさと銀河線で実際に使われていた10両の気動車のうち6両を動態 (動かせる状態)で保存しており、鉄道運転士のOBと運行支援ボランティアによる管理のもとで乗車体験・運転体験ができる観光鉄道として運営しています。
一番の目玉と言える運転体験には初級から上級までの様々なコースがあって、一番長いコースだと陸別駅から北見方面へ5.7km離れた分線駅までの区間を運転することができます。今回の取材では、一番初級のSコース(3,000円)を体験してきました。
運転をさせてもらったのは『銀河鉄道999』のイラストがあしらわれた「白メーテル号」と呼ばれる車体で、『銀河鉄道999』の作者である松本零士先生直々のデザインです。松本先生はふるさと銀河線の開業シンポジウムに参加したことをきっかけに銀河線関連の様々な企画に参加されており、2013年にはご自身がデザインした白メーテル号の運転体験もしているそうです。
本物の鉄道車両を動かせるだけでもすごいのに、偉大な方と同じ感覚を共有できると思うと胸が熱くなりますね!
また、ことし(2025年)はふるさと銀河線の前身である網走本線が開業してから115周年ということで、取材日(9月14日)は普段駅構内だけでおこなわれる乗車体験の区間が5.7km先の分線駅まで延長されていました。せっかくのチャンスを逃すのはもったいないので、当然こちらにも参加。特別乗車体験は所要時間45分で、料金は大人1名500円でした。
現在のりくべつ鉄道はあくまで観光鉄道であるため、踏切などでは交差する一般道の通行が優先されます。そういった箇所では乗車している運行支援ボランティアの方々が一度降車して、安全を確保しながら慎重に列車を進ませている姿が印象的でした。
陸別~分線の駅間を走行中の列車内には自然で穏やかな時間が流れていて、ここが廃止になった路線であることをつい忘れてしまいそうになりました。
廃線から20年近くが経った今でも、陸別の地に軽やかな線路のつなぎ目の音が響くのは、銀河線を愛するたくさんの人の支えがあるからです。 りくべつ鉄道にはこれまでの歴史とファンの想いを乗せて、末永く走り続けてほしいと思います。
残念ながら今シーズンのりくべつ鉄道の体験は10月で終了となってしまいましたが、陸別では厳冬期に寒さにちなんだ「しばれフェスティバル」も開催しています。季節ごとに見どころがある陸別町にぜひ足を運んでみてください。
今回のドライブコース
陸別町「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」
住所:北海道足寄郡陸別原野基線69-1
道の駅 オーロラタウン93内(ふるさと銀河線・陸別駅)
TEL:0156-27-2244
営業期間: 4月下旬~10月末(2025年)
※運転体験・乗車体験はコースごとに日時が決まっていますのでご確認ください
※駅構内の見学は無料です
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文・絵:白丸あすか
編集:Sitakke編集部YASU子
※掲載の内容は取材時(2025年9月14日)の情報に基づきます