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プロバスケットボール・渡邊雄太選手「夢を追いかける子どもへ親ができること」【第5回】

ママスタセレクト

日本人2人目のNBA選手として活躍し、現在は男子プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)千葉ジェッツふなばしに所属する渡邊雄太選手(以下、渡邊選手)。渡邊選手といえば、パリオリンピックでの活躍が記憶に新しい方もいらっしゃるかもしれません。

今回ママスタセレクトでは、小学生3名のキッズ記者が渡邊選手にインタビュー。前回のインタビューでは、パリオリンピック出場後のお気持ちと子どもたちとの未来についてお話を伺いました。

第5回目となる今回は、夢を追いかける子どもを応援するママたちのお悩みにフォーカス。子どもの年齢が上がるにつれ、親からの声かけや寄り添いを疎ましく思うことも出てきそうです。そんなとき親としてできることとはなんでしょうか。

子どものために費やした時間の結果が出るのは、もう少し先のこと

――「うまくなりたい」と願う子どもに、親としてどんなことがしてあげられるのでしょうか?渡邊選手:シンプルに、子どものことを一生懸命応援してあげることが大事だと思っています。僕の場合は、両親共にバスケをやっていたこともあって、よく練習に付き合ってもらっていました。仕事をしているなかで、送迎をしたり練習や試合を見に来てくれたりするのは大変だったと思います。当時は子どもなので理解できていませんでしたが、今振り返ると、本当に僕のために時間を費やしてくれていたことがわかりますね。

忙しくてあまり関わってあげられないという親御さんもいらっしゃると思いますが、少しでも時間を捻出するだけでもすごいことです。親御さんのできる範囲でお子さんの好きなことを応援していれば、きっとお子さんが大きくなったときに親のしてくれたことの大きさに気づいてくれると思います。

――子どもが試合に出られないとき、どう声かけや寄り添いをしたらいいでしょうか?

渡邊選手:周りの子と自分を比べてしまう状況は、子どもとしては辛いですよね。「自分は一生懸命やっているのに」と思うかもしれません。そんなときほど、子どもの成長している部分に目を向けて、褒めてあげてほしいです。試合に出ることができないと、子どもも自分の成長を感じにくいので、だからこそ親が見ておいてあげてほしいと思います。

また普段の会話のなかでも、子どもたちから「練習でこうだった」「試合でこうだった」という話題が出てくると思いますが、そういうときに素直に褒めてあげてほしいです。僕の親は厳しい部分もあったのですが、たまに褒めてもらえるとすごく嬉しくて、またこれから頑張ろうと思えていたんです。

渡邊選手が思う、子どもの成長にもっとも必要な習慣とは

――子どもの健康や体づくりに関して、親がサポートできることはありますか?渡邊選手:栄養面が気になると思いますが、毎日細かく考えるのは大変な部分もありますよね。普段出している料理だけでも、じゅうぶん子どもたちにとってプラスになるのではないでしょうか。

個人的には栄養も大事ですが、睡眠が絶対だと思っています。睡眠をしっかりとることを、どれだけ子どもたちに言ってあげられるかです。僕の子どもの頃とは時代が違うので難しいところはあるとは思いますが、できるだけ夜更かしをせずしっかり睡眠をとるように促してほしいと思います。

「早く寝なさい」と親から厳しく言われた記憶はありません。うちの場合は親も寝る時間が早かったので、親が寝るから自分も寝ようという感じで、気づいたときには早く寝ることが習慣になっていました。

子どもは好きなことなら放っておいてもやるはず。だからこそ……

――子どもから「練習に行きたくない」と言われたら? 練習に前向きではない子どもに、親はどういう関わりができるでしょうか?

渡邊選手:練習に行きたくないのは、何か嫌なことがあったからだと思うんです。たとえば試合に出られなかったり、チームメイトとうまくいっていなかったり。子どもなりの理由があると思うので、まずはその声をしっかり聞いてあげてほしいです。

バスケをするうえでの悩みがあって練習に行きたくないのか、それとも本当は練習に行きたいのにバスケ以外の理由があって行けなくなっているのか。練習に行きたくない要因を親や周りの大人が見極めたうえで、練習に行きやすい環境づくりをしてあげられるといいですね。それでも練習に行きたくないという場合は、バスケが好きじゃなくなっている可能性もあるので、僕としては無理して行かせる必要もないんじゃないかと思います。

本来、子どもは好きなことなら放っておいてもするはずなので、そうではないタイミングで無理強いしても意味がないのではないかと思うからです。

――子どもの頃、ご両親とはどんなふうに過ごされていましたか?

渡邊選手:うちは家族で一緒に過ごす時間が長かったと思います。自分の性格もあると思いますが、とくに反抗期もありませんでした。友だちの話では、中学生にもなると基本的に自分の部屋で過ごしていたそうですが、僕の場合は、寝るとき以外リビングにいて……。逆に姉は反抗期だったのか、自分の部屋にすぐ上がっていた記憶がありますね。いずれにしても両親が自分のことをいつも気にかけてくれていることは感じていました。いつも話し相手になってくれて、どんな話も聞いてくれて。その心地よさは今でも覚えています。

どのお話もバスケットボールに限ったことではない、子どもへの寄り添い方のヒントに溢れていました。渡邊選手が何度も口にされていたのは「お子さんの声に耳を傾けてほしい」ということ。これはきっと、渡邊選手ご自身がご両親から話を聞いてもらったという経験に裏打ちされているものだと感じます。

さて最終回となる次回は、渡邊選手とご両親の関係性について、さらに深くお話を聞いていく予定です。お楽しみに!

取材、文・一ノ瀬奈津 編集・北川麻耶 撮影・中林香


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