短編集『情熱』刊行記念!北海道が誇る直木賞作家・桜木紫乃先生に会ってきた
最も敬愛する推し作家は桜木紫乃先生ただ一人。ライターのLDです。
やっぱり嘘です。ほかにもいます。でも、一番には違いないです。
なぜなら、私は北海道の風景描写を書かせたら桜木先生の右に出るものはいないと思っているから。
雪深い大地や凍てつくようなオホーツク海、乾いた風。主人公の心はひどく冷たい社会の中を生き抜いているけど、時折ダイヤモンドダストが見えるかのような人物描写。
風景が感情のメタファーとなり、台詞は短く、言葉にしてしまうと壊れる感情を言わずに提示する天才的表現技法。
こういった桜木先生の描写に共感できるところが北海道で生まれ育ってよかったと思う理由の一つにもなっています。
ここで語り出すとそれだけで記事が終わってしまいますので今日はここまでにしてやりますけども、なんと!なんと私!
そんな桜木紫乃先生に会って参りました!サイン会で!
とある6月。見つけてしまったポスター。
見た瞬間、そのまま無言でカウンターへ行き『情熱』を予約してサイン会整理券をゲット。
それからというもの今か今かと指折り数えてその時を待ちました。
そしてサイン会当日…。
無事に遅刻。
何なのでしょうね。私のこの体たらくさ。あんなに毎晩眠れぬ夜を過ごしたのに。
そういえば私、高校受験当日も受験票を忘れて受験会場に行ったこともある人間だった(でも無事に合格!)
今回もサイン会は既に始まっていたけども無事に間に合いました。合格!
和やかムードのサイン会の列に並びながら桜木先生をチラ見。
おぉ!これが本物の桜木先生!
ていうか先生…。顔ちっさ!!
何あれ、顔ちっさ!!
そして華奢!分かってたけど実物を見るとやっぱり華奢。
いや、華奢オブ華奢!
先生の華奢っぷりに興奮しつつドキドキで順番を待ちながら前の人々を見守っていると、皆さんサイン中の桜木先生と仲良くお話をしているではないですか!
わー!お話できるの?自分のとき何を話そう。
ここは無難に「いつも楽しみに拝読しています。これからも頑張ってください」とかでいいのかしら。
いや、待って。いつも第一線で走り続けている先生に向かって頑張れってどうなんだろう。これ以上何を頑張れっていうのさ。
「頑張って!」と言ったところで私の中のジミー大西が「お前も頑張れよ!」と暴れ出してしまったところで私の番です。
ついに感動のご対面!幸せの瞬間
しばし無言。というか最初のほうは感動と興奮で覚えていない。先生はサインを書きながら文章を書くことについて少しお話してくださいました。
それから何を思ったか、私が桜木先生に言い放った言葉がこれ。
「先生と一緒にストリップを見に行くのが夢です!」(先生はストリップ鑑賞が趣味)
え?は?と固まる周りの大人たち。静まり返る会場。
やっちまったわ…。
私、心の中でバク転。アスファルトの床に着地失敗して無事に感情骨折。
もっと話したいことあったろ?よりによってこれかよ!と反省していたところ、先生は笑顔で「ロック座がおすすめ」と言ってくださいました。
みんなー!ストリップ行くならロック座だよ!先生はロック座をおすすめしているよ!
もらったサイン
先生と握手!手と手が触れ合う瞬間
差し出された先生の手…。
あの『ホテルローヤル』を書いた手が!(直木賞受賞作)
あの『ラブレス』を書いた手が!(島清恋愛文学賞受賞作)
あの『砂上』を書いた手が!(個人的に一番好きな作品。LD賞)
サツッターでアホな記事しか書いていない私の手に触れたぁ!!
先生の手、めっちゃやわらかいっす!優勝!感激!
なんか、すごいパワーもらった気がする!
急に文章うまくなった気がする!
どうしよう、今のところ何も変わってない!!
それから緊張で顔が引きつった写真を一緒に撮影。
もらったお土産のトートバック
サインと握手と写真まで撮ってくれて最後にお土産もくれるとは!
あなたは神か。菩薩か。桜木紫乃か。
こうして感動のサイン会は終わり、私はコーチャンフォーをあとにしたのでした。
短編集『情熱』に込められた静かな熱量
さて、ここで『情熱』の雑感をネタバレせずに少し紹介。
登場するのは、50代以上の少し大人の人々の物語。
私より上の年代の人たちの話なのに、どこか可愛らしさが滲みます。
情熱と聞くと、つい派手なものを想像してしまいがちですが、この本に描かれている情熱は、もっと静かに沸々と燃える、深みのあるもの。
『情熱』のカバーは青
そういえば、サイン会の日、先生の着ていたシャツも青でよくお似合いでした。
情熱って、本当は赤ではなくて、じんわりと心の奥で灯り続ける青い炎。
年代に関係なく、本来は誰もがこうして静かに抱えて燃やしているものなのかもしれません。
とても穏やかだけど確かに熱い、そんな読後感でした。
帰り道、先生の手の温度を回顧
しかし、大人の女性の手をあんなふうに握ったのは、いつ振りだろう。
桜木先生の手は、温かいわけでも冷たいわけでもない適温。だからこそ、ニュートラルな視点で人間の業や愛を静かに掘り下げた作品が書けるのかもしれない。そんなことを考えながら歩いた帰り道。
関係ないけど──
あの適温のやわらかな手を思い返してたら、その手で握るおむすびは、さぞ美味しいのだろうなと妄想した。きっと、ちょっぴり塩がきいててさ。
ふんわりと優しく握られた先生のおむすび。食べてみたいものです。
以上、おばさんがおばさんに会って興奮してるだけの話をここまで読んでくださってありがとうございます。
大人たちの静かなる『情熱』。
ご興味ありましたら、是非お手にとってみてください。
私も『情熱』をもってこの記事を書きました。
いつかまたコーチャンフォーでお会いいたしましょう!