七福神ってどんな集まり?御利益や特徴を出身国別で紹介! えびす様【日本出身の神様編】
めでたさを象徴し、縁起物としても古くから人気のある「七福神」。掛け軸や置物で見かけたり、飲食店の名前になっていたりと、私たちには身近な存在ですね。しかし、それぞれの神様こと、ご存知ですか? 実は、日本だけでなくインドや中国の神様もたくさん混ざっているんです! 前々回と前回の記事では、インドや中国出身の神様をご紹介しました。後となる今回は、実は唯一の日本生まれの神様です!
七福神唯一! 日本生まれの神様「えびす」様
実は、七福神の中で日本生まれの神様は、たった1人(神様なので、本当は「1柱」と言います)!
それが、「えびす」様です。
東京やその近郊にお住まいの方なら、山手線の駅名「恵比寿」でもおなじみですね。また、漫画家の蛭子能収さんのお名前にあるような「蛭子」と書く場合もあります。
また、「戎」や「恵比須」など、さまざまな漢字が当てられる神様。それは、えびす様が多様な性格を持っており、いくつかの神様が集合した「概念」のような存在であるからなのです。
なかでも、もっとも知られているのが大漁を祈願する海の神様として。
釣竿と鯛を抱えた姿が、イメージとして浮かびやすいですね。大漁祈願から派生して、五穀豊穣や商売繁盛の御利益もあるとされています。
えびす様と大黒様は親子だった!?
『古事記』『日本書紀』にもえびす様は登場し、この世界を作ったイザナギとイザナミ夫婦の最初の子だったと記されています。また、出雲大社のご祭神で、出雲に神様の国を作ったオオクニヌシの子供であったともされています。
いずれにしても、日本神話の中心的な神様ですね。なお、オオクニヌシは大黒天と同一とも考えられているため、大黒天とえびす様は親子であるとも言えるのです。
七福神としてでなく、大黒様とえびす様がペアで祀られている光景もよく見かけます。
東のお酉様、西のえびす様
東京近郊に住んでいると、あまり存在の大きさを感じにくいかもしれませんが、西日本においてのえびす様は、トップクラスに人気のある神様です。
東京では「酉の市」が、商売繁盛を願うお祭りとして大きなにぎわいを見せますね。同じように、西日本では、「えびす講」や「十日戎」という行事に、商売繁盛を願うたくさんの人が集まります。
関東では、酉の市の熊手を飲食店などで見かけることがよくありますが、西日本ではえびす神社のお札やお守りがポピュラーです。「東のお酉様、西のえびす様」といったところですね!
七福神にラッキー7など、世界中で「7」が特別な理由はあるのか?
ところで、「7」という数字は世界共通で特別な数字というイメージがありますね。ラッキー7・7大陸・7つの大罪・春の七草・世界七不思議など、枚挙にいとまがありません。
それらは、七福神が7人であることと、何かつながっているのでしょうか?
例えば、ラッキー7という言葉。これは、明治18年(1885)に現在のシカゴ・カブスが優勝を決める試合で7回の攻撃中、平凡なフライが強風でホームランになったことから、流行した言葉だと言われています。
とはいえ、旧約聖書において「神様は世界を6日で創造し、7日目を安息日とした」とされているので、そもそも7が特別であるという意識は、西洋に広がっていたと考えられます。
一方で、七福神には、ヒンドゥー教や儒教など、アジアのさまざまな宗教の神様がラインアップされていますが、その「七」の由来は仏教にあるという説が主流です。
仏教のお経に書かれた「七難即滅 七福即生」(七つの災いを取り除けば、七つの福が生まれる)という一節からきていると言われています。
ここまで見ると、西洋の7の特別性と七福神の7は直接的には無関係のようです。
しかし、人間は古から月の満ち欠けに沿って7日を時間の単位として意識してきたという説もあり、「7」という数字は、洋の東西を問わず人間が無意識的に特別に感じる数字なのかもしれませんね。
さて、七福神の解像度は上がりましたか? 推しはできましたか?
七福神を詳しく知ることで、お散歩やお出かけ中に「おっ!」と思える機会が増えて、一層楽しくなるはずです。全国には、七福神を複数のお寺に散らして「七福神めぐり」ができる場所も多くあるので、お散歩がてら巡ってみるのもいいですね!
写真・文=Mr.tsubaking
Mr.tsubaking
ドラマー/放送作家/ライター
Boogie the マッハモータースのドラマーで、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌など担当。BS朝日「世界の名画」の構成、週刊SPA!、週刊プレイボーイなどに寄稿・執筆。温泉ソムリエ・仏教検定1級。