「ご指導ご鞭撻」の意味とは?正しい使い方や例文、類語を紹介
「ご指導ご鞭撻」という表現は、相手に対して敬意と感謝を示しつつ、今後の指導をお願いする際に使われる言葉です。このフレーズは、自己紹介や異動の挨拶、上司への年賀状など、ビジネスやプライベートにおいてさまざまな場面で活用できます。
この記事では、「ご指導ご鞭撻」の意味や使い方、類似の表現について詳しく解説します。正しい使い方を学び、目上の人や取引先の人などとよりよい関係を築いていきましょう。
「ご指導ご鞭撻」の意味
「ご指導ご鞭撻(ごしどうごべんたつ)」は、 目的や方向に向かい教え導く「指導」と、強く励ます、厳しく指導をする「鞭撻」 を組み合わせた言葉です。「厳しくても構わないので、指導をしてください、教えてください」という意味を持っています。「鞭撻」にはこらしめるという意味もありますが、「ご指導ご鞭撻」では励ます、指導をするという意味合いで使われます。
「ご指導ご鞭撻」の使い方
「ご指導ご鞭撻」を使うシーンや付け加えられる表現を紹介します。
「ご指導ご鞭撻」を使うシーン
ビジネスでは、自己紹介、就任や異動の挨拶、新しい取引先への挨拶、プロジェクト終了後の挨拶、上司への年賀状など、さまざまなシーンで使うことができます。結婚式の新郎新婦のスピーチ、パーティや宴会での挨拶、地域の役員の就任挨拶など、プライベートでも使うことができる言葉です。
「ご指導ご鞭撻」に付け加える表現
「ご指導ご鞭撻」に以下の表現を添えると、強調したり、丁寧に伝えたりすることができるので、覚えておきましょう。
ご指導ご鞭撻の前に付け加える表現
これからも 引き続き 今後とも どうぞ 何卒
ご指導ご鞭撻の後ろに付け加える表現
のほどよろしくお願いいたします 賜りますようお願い申し上げます いただけますと幸いです よろしくお願い申し上げます
シーン別の「ご指導ご鞭撻」の例文
ビジネスからプライベートまで、さまざまなシーンで活用できる「ご指導ご鞭撻」。ここではシーン別の例文を紹介します。
ビジネスで使える「ご指導ご鞭撻」の例文
入社時や部署異動の挨拶
入社時の自己紹介では、早く仕事に慣れたいなどの意気込みを添え、指導をお願いするような挨拶にするとよいでしょう。部署異動の挨拶では、不慣れな部分があるということや未経験の業務に対しての意気込みなどを伝えます。「ご指導ご鞭撻」は、異動前の部署での挨拶、異動後の部署での挨拶のどちらでも使うことが可能です。
入社時の例
「新たに入社いたしました。皆様からのご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。」 「この度入社いたしました○○です。早く戦力となれるよう、日々精進しますので、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。」
部署異動の例
「新たな部署でも精進して参りますので、変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。」 「異動に伴い、新しい業務に挑戦いたします。未熟な点も多々あるかと思いますが、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」 新規の取引先や担当変更の挨拶
「ご指導ご鞭撻」は、新規の取引先への挨拶や担当変更に伴う挨拶でも使用できます。
例
「この度、貴社とのお取引を担当させていただくことになりました○○です。貴社のお力になれるよう努めてまいりますので、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。」 「この度、貴社担当になりました○○です。前任者に代わり、誠心誠意取り組みますので、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。」 プロジェクト終了時の挨拶
プロジェクトが無事終了し一段落した際に、関係者やサポートしてくれた上司などに対してお礼を伝える場合もあるでしょう。その際にも「ご指導ご鞭撻」を使うことができます。
例
「皆様のご指導ご鞭撻に支えられ、無事にプロジェクトを終えることができました。」 「プロジェクトの成功は皆様のご指導ご鞭撻のおかげです。心より御礼申し上げます。」
プライベートで使える「ご指導ご鞭撻」の例文
目上の人や上司への年賀状
目上の人や上司に年賀状を送る場合、旧年の感謝と今年も変わらぬご指導をお願いしたいという気持ちを「ご指導ご鞭撻」で伝えるのもおすすめです。
例
「昨年は大変お世話になりました。本年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。」 「旧年中は大変お世話になりました。本年もさらなる努力を重ねてまいりますので、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。」 結婚式のスピーチ
「ご指導ご鞭撻」は、結婚式の新郎新婦のスピーチで使用できます。当事者を代弁する、親族のスピーチでも使用可能です。
例
「ふたりで力を合わせ、明るい家庭を築いていきます。どうかご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。」 「結婚を機に新たな一歩を踏み出した私たちに、変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。」 地域活動の役員就任の挨拶
PTAや町内会、マンションの管理組合などで役員に就任した際の挨拶に、「ご指導ご鞭撻」を取り入れれば謙虚な印象を与えることができます。
例
「地域の支えになれるよう努めますので、ご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。」 「初めての役員活動に不安もありますが、全力を尽くしますので、ご指導ご鞭撻をお願いします。」
「ご指導ご鞭撻」を使う際のポイント
ここでは、「ご指導ご鞭撻」を使う際のポイントを紹介します。
シーンや相手を選んで使う
「ご指導ご鞭撻」は今後も関係があり、指導してほしいという気持ちを表す言葉のため、関わる機会が減る人に対して使うのはあまり望ましくありません。しかし、別れの挨拶でも、今後もお世話になる相手であれば使用することができます。また、ややフォーマルな固い印象の言葉のため、同僚などの近い関係性の人や親しい間柄の人に対して使うのも不適切です。なお、顧客などに対して使う際は、ソフトな表現として「ご支援」「ご愛顧」など異なる言い回しにするとよい場合もあります。
自分を主語にしない
「ご指導ご鞭撻」は自分が指導される側、受け身側で使える言葉のため、新入社員に対して「今後厳しい指導をしていく可能性がある」といった内容を伝えたい場合、違う表現が適切です。例えば、「皆さんの成長を促すために、時には厳しい指導をさせていただくことがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。」「これからスキルアップを目指して、時には厳しく教えることもありますが、お互いに頑張りましょう。」などと言い換えるとよいでしょう。
具体的なアドバイスがほしいときには不適切
「ご指導ご鞭撻」は格式ばった挨拶に使われる言葉で、中長期的な指導をお願いしたい場合に使えます。具体的なアドバイスがほしい、短期間の指導がほしいなど、日常的に使うのは不適切です。例えば、作成した書類に修正箇所がないか知りたい、企画書の意見がほしいなどのときには使用しません。そういった場合には、「書類の内容について、何かお気づきの点がございましたら、ご指摘いただければと思います。」「お時間をいただき恐縮ですが、企画書に関してご確認いただき、不備がないかお知らせいただければ幸いです。」などと言い換えてみてください。
「ご指導ご鞭撻」の類語や言い換え表現
「ご指導ご鞭撻」の類語や言い換え表現を例文とともに紹介します。シーンに合わせて使い分けてみてください。
ご教授
「教授」は学問、技芸を教え授ける、学生に知識、技能を授けることを指す言葉で、専門的な知識を継続的に教えるために使われる表現です。
例
「貴社が専門とされている〇〇の分野について、ぜひご教授いただければと考えております。」 「長年にわたるご教授のおかげで、このような成果を出すことができました。」
ご教示
「教示」は知識や方法を教え示すことを指します。専門的な知識を教える「教授」と異なり、簡単な手順や手続きなどを教えてほしい場合にも使うことができます。
例
「今後のスケジュールついて、ご教示いただけますと幸いです。」 「新しいシステムの操作手順について、ご教示いただけますでしょうか。」
「ご教示」と「ご教授」については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
「 「ご教示」と「ご教授」の違いとは?正しい使い方を例文付きで解説」
ご指南
「指南」は、武術、芸能などを人に教え、導くという意味を持っています。車の上に人形を取り付け、その人形が常に南を指さしているような仕掛けが施されている、中国古代の指南車からきている言葉です。現代の方位磁針である指南車が常に一定の方向を示すことから、「教え導く」という意味で使われるようになりました。
指導と同じ意味合いでビジネスシーンに使われることもありますが、指導が幅広い分野に使われるのに対して、本来指南は武術、芸術などの分野で使われる言葉のため注意が必要です。
例
「新しい技術の習得に向け、ぜひご指南いただければと考えております。」 「長きにわたりご指南いただき、心より感謝申し上げます。」
ご支援
「支援」は力を貸して助けることを意味する言葉です。「ご支援ご鞭撻」とも表現でき、一般的には社外の人に対して使うことができます。
例
「今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。」 「これからの挑戦に向け、より一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。」
お導き
「導く」は、正しい方向に手引きをする、指導をするという意味を持っています。「ご指導ご鞭撻」と同じ意味合いで使うことができ、「ご指導ご鞭撻」よりも柔らかな印象を与えられる表現です。
例
「未熟な点も多々あるかと思いますが、どうぞお導きくださいますようお願い申し上げます。」 「〇〇に関して多大なるご支援をいただき、感謝申し上げます。今後ともお導きくださいますようお願いいたします。」
お力添え
「力添え」は他人の仕事を手助けすること、力を貸すことを指します。援助やサポートをお願いしたい際に、「お力添えくださいますよう」と表現すれば、丁寧に伝えることができます。「力添え」は相手からの手助け、支援を指す言葉のため、「手助けしたい」という自分の行為には使わないため注意しましょう。
例
「お力添えをいただき、無事にプロジェクトを完了することができました。心より御礼申し上げます。」 「今後とも変わらぬお力添えを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」
まとめ
この記事では、「ご指導ご鞭撻」の意味や使い方、具体的な例文を紹介しました。また、類義語や言い換え表現についても解説し、それぞれのシーンに合った使い方もまとめています。
「ご指導ご鞭撻」という言葉は、相手に対して指導や助言をお願いするための表現であり、フォーマルな場でも使うことができます。相手に対して謙虚な姿勢を示し、今後の指導を乞うことで、よりよい関係を築けるでしょう。この記事を参考にして、ビジネスやプライベートでの挨拶などに役立ててください。
「仕事術」記事一覧