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算数のテスト、習っていないやり方で計算するとなんで怒られるの?

TBSラジオ

メインパーソナリティ・パンサー向井と愉快なゲストが、”いつもの朝“を”ワクワクする朝“に変える番組。

ふらっと こども電話相談室

2024年9月4日放送

長年親しまれた名物企画「全国こども電話相談室」のコンセプトを受け継いだコーナー。
パンサーの向井慧が「電話のおにいさん」となって、毎回、様々な質問に合わせた頼もしい先生をお呼びしています。
今回の質問は・・・

Q. 学校の授業やテストで、習っていない漢字や言葉を書くと「よく知ってるね、すごいね」と褒められるのに、暗算や習っていない工夫をした計算を使うと「習っていないやり方はだめ」と怒られたり減点されるのはなぜですか?(神奈川県 れなさん 12歳 中学1年生)

(回答した先生)恩蔵絢子さん/脳科学者

向井おにいさん:れなちゃん、こんにちは!

― こんにちは!

向井おにいさん:どうですか、夏休みって。

― 嬉しいんですけど、もう小学校より課題がめっちゃ増えて・・・。

向井おにいさん:そっかあ。

― はい、もう大量です。

向井おにいさん:ははは(笑)。れなちゃんの質問、これはれなちゃんの実体験なのかな。

― そうです。小学校のテストでよくあったやつです。

向井おにいさん:まだ習ってない漢字を書いたときは褒められた?

― はい、「いろいろ物知りなんだね」って言われました。そのときは塾に行ってたので、漢字とか言葉は先取りしてました。

向井おにいさん:そっか。そういうのは褒められるけど、算数や数学で習ってないやり方でやったら怒られたりしたんだ。

― そうです。1点ぐらい減点されました。

向井おにいさん:それ、なんでなんだろうなってやっぱり不思議だよね。

― はい、不思議です。

恩蔵先生:れなちゃん、こんにちは。本当に大事な質問をありがとう。日本全国の子どもの心を救う質問だと思います(笑)。

― えへへへ(笑)。

向井おにいさん:なにか思い当たることがある子も多いと思います。

恩蔵先生:れなさん、算数でどんなときに怒られてしまったんですか?

― なんか、簡単な計算だったので途中式をいくつか飛ばして暗算したんです。そしたら減点されちゃいました。

恩蔵先生:そうかあ、それは本当にひどい。計算を工夫したときも怒られたりしたの?

― そうですね。「これ、2学期にやる内容です」って言われました。

恩蔵先生:ええ~っ。

向井おにいさん:そうか。それもれなちゃんは塾で先にやってたのかな。

― そうです、そうです。

恩蔵先生:それは本当にれなさんが正しいと思うんです。100%正解っていうか、先生のほうが悪いって私は思ってしまいます(笑)。

― 漢字とか言葉だけじゃなくて、解き方を知ってるのも知識だと思うので、そこでも褒めていいじゃんって思います。

向井おにいさん:そうだよね。

恩蔵先生:その通りだよね。

― はい、そうです。

恩蔵先生:本当に。ひとつの解法だけが正しいなんていうことはないんだから。でも私もほかの小学生から聞いたことがあるのは、「3×5」って書くのが正解で「5×3」って書いたら間違いになったとか。そんな理不尽なことがあるだろうかって本当に思ってしまうから、れなさんの質問がすごくありがたいなって思ったんですね。

向井おにいさん:うん。

恩蔵先生:学びとか学問というのは本当に自由なものなんです。中学生になって算数から数学に変わったと思うんだけど、指を使えばできるような計算から、どんどん目に見えない計算に入っていって、大学ぐらいになるとどんなふうに解くか答えがない問題に挑戦するということも出てきます。

― わあ。

恩蔵先生:そう。だからね、決まったやり方だけでやりなさいって言ってたらもう誰も解けなくなっちゃうのが大学とかそこから先なの。でもそれが楽しいって思えるっていうのが学問なんだよね。

― うん。

恩蔵先生:そうそう。私、科学者なんだけどね、ここに問題があるということにすら気づいていない問題に挑戦しています。

― えーっ、すごい。

恩蔵先生:だから、そういうふうに解き方が決まっていない問題にどんどん挑戦するっていうことが本当に楽しくなるような学びであってほしいなあって思うから、れなさんが自分で工夫したり、先生に習っていないことをやってみたりっていう挑戦は、れなさんがすっごいすくすく育ってるっていう証拠だと思います。

― ありがとうございます。

恩蔵先生:本当に。もしかして算数とか数学って先生のほうが自信がないのかもね(笑)。

― あ、先生側が?

恩蔵先生:そうそう。小学校って、国語も算数も理科も一人の先生が教えていたりするじゃない。だから必ずしも算数が得意じゃない人もいるかもしれないから、違う解法が出てきたときに困っちゃう人もいるのかもね。

― うん、うん。

恩蔵先生:でも、それでも! 重要なことはね、先生たちのほうが子どもよりも間違っているっていうことがあるから、そういうときは、自分が正しいって思ったことは自分で信じていていいってことなの。

― うん。

恩蔵先生:でも減点されるのはばかばかしいから、テストのときは先生たちが言った方法で解いておいて、テストから離れたら自由に考えるっていうのがいいと思う。

― わかりました。

恩蔵先生:なんかご苦労をおかけします(笑)。

一同:はははっ!

向井おにいさん:だかられなちゃんも先生が減点しない解き方で、「先生がそっちがいいんだったら、別に私、そっちでもやりますけど」ぐらいの気持ちで。でも、そこはやっぱり先生が褒めてあげてほしいなという気持ちにはなりますけど(笑)。

恩蔵先生:なりますね。「いいじゃん、それ」「もっとこうしたら?」って話し合えたらいいよね、本当は。

― はい、そうですね。

向井おにいさん:れなちゃん、恩蔵先生のお答えはいかがでしたか?

― はい、もうめちゃくちゃ納得します! ありがとうございます。

恩蔵・向井:よかったあ(笑)。

向井おにいさん:勉強、頑張ってください。

― はい、頑張ります!

(回答者プロフィール)恩蔵絢子さん。脳科学者。人間の意識や気持ちの動きと脳の働きについて研究しています。著書に『なぜ、認知症の人は家に帰りたがるのか 脳科学でわかる、ご本人の思いと接し方』(中央法規出版。共著)、『脳科学者の母が、認知症になる』(河出書房新社)など。

(TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』より抜粋)

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