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【年末特集】映画回顧2024後編。函館のコナン効果や道内ロケ作品、映画祭などを振り返る!

SASARU

まもなく2025年を迎えますね! キャプテン・ポップコーンこと矢武兄輔が、年越し直前まで2024年の話題作や北海道ロケ映画、映画界の動向を振り返る「映画回顧2024」です。
後編では「北海道内の動向」として、道内で撮影された作品や映画祭を振り返り、2025年に公開される映画を紹介します。

(text/photo|矢武兄輔[キャプテン・ポップコーン])

北海道内の動向

(C)2024「おいしい給食」製作委員会

今年は、北海道ロケ作品が飛躍した1年でした。
まずは4月に公開された北海道函館市が舞台の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』です。シリーズ最高の158.0億円を記録し、大泉洋さんがゲスト声優として出演していたことはもちろんですが、特筆すべきことは函館市が2000万円の予算をつけ、映画とタイアップしたことです。地方自治体と民間企業が「函館×名探偵コナン」特別イベント実行委員会を設置。舞台となった地域で映画と一緒にマチを盛り上げることは珍しくないですが、特定の作品に対しプロモーション費をかけて実行することは稀有なことです。
函館市によると、2024年度上期(4~9月)の観光入り込み客数(推計値)が前年同期比10%増の345万3000人と推計。コナンの聖地巡礼企画などで滞在時間が伸びた外国人宿泊客数は同37%増の20万2000人。経済・観光分野は新型コロナウイルスで打撃を受けましたが良い起爆剤となったようです。
また、『おいしい給食 Road to イカメシ』が5月に公開されました。1989年、函館の中学校を舞台に「給食絶対主義者」の男性教師と「給食マニア」の男子生徒の給食にまつわる闘いを描く物語です。主役の甘利田先生を演じる市原隼人さんが、3月に実施された北海道フードフィルムフィスティバルのプレイベントと公開時に来道。各舞台挨拶は満席、子どもから大人までかけつけ微笑ましい空間でした。

ほかにも、北海道内で撮影された劇場公開作品があります。括弧内は主なロケ地。
『ゴールデンカムイ』(札幌市)、『愛のゆくえ』(札幌市)、『おしゃべりな写真館』(鹿追町)、『シサム』(白糠町)、『ぼくのお日さま』(苫小牧市)、短編映画『運命屋』(名寄市)、『海の沈黙』(小樽市)などです。これらの誘致は、札幌フィルムコミッションのような行政、地元企業など地域のバックアップが不可欠です。制作チームが安心して、撮影できるのも、その地域で暮らす方々の優しさのおかけです。25年も、道内ロケで映画の撮影が決定している作品がありますので、近所で見かけましたら、スマホで写真などは撮らずに(笑)、温かい目で見守ってもらえると嬉しいです。
※タイトル「シサム」の「ム」は小文字が正式表記。

(C)2024動画工房ぞうしま

昨今、地方のテレビ局が制作するドキュメンタリー映画がミニシアターでヒットする傾向があります。道内でも製作されており、北海道文化放送(UHB)が制作した『無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語』と、北海道テレビ(HTB)の『奇跡の子 夢野に舞う』は共に1月に公開されました。

また、自主制作のあるドキュメンタリー映画が全国で話題になっています。それは『どうすればよかったか?』という作品です。内容は「面倒見が良く優秀な姉に統合失調症の症状が現れる。医者で研究者の父と母はそれを認めず、玄関に南京錠をかけてその姉を閉じ込めた。家族という他者との20年にわたる対話のドキュメンタリー映画」というもので、真の記録映画だと思いました。監督は札幌市在住の藤野知明さん。この記録映画は統合失調症を発症した理由を究明することを目的としてはいないし、どんな病気なのかを説明することも目的としていない、と冒頭でテロップが入ります。社会的メッセージや制作者の意見があからさまに含まれているわけではなく、本当の意味、言葉の意味、そのままの「記録」映画でした。
もう1作品あります。12月から順次公開中の『アイヌプリ』という作品です。白糠町で伝統的な鮭漁をはじめ、アイヌ文化を継承し、日常の中で「アイヌプリ(アイヌ式)」を実践する人々を追った内容です。監督は、エミー賞史上最多の18部門を受賞したディズニープラス配信ドラマ「SHOGUN 将軍」で1エピソードを担当した、伊達市出身の福永壮志さん。この作品も、制作サイドの想いというよりは「目の前にあるもの、そこで起こること」を自然に記録していて、映像も内容も美しいかったです。

北海道フードフィルムフィスティバルの斎藤工監督と安田顕さん

映画祭の話題も多かった1年でした。
「北海道国際映画祭」が8月から始動、映画館のない町で映画が観られる環境を届けるのが目的です。今年は、江差町、森町、倶知安町、名寄市、別海町、紋別市、大樹町の7町で実施されました。3月と11月には、クリエイティブオフィスキュー、札幌市、北海道新聞社が実行委員会の「北海道フードフィルムフィスティバル」が始動。北海道の食文化と映画を融合させた新たな文化祭典を構築することが目的です。札幌市内の映画館などを会場に、スペシャルサポーターの「TEAM NACS(チームナックス)」のメンバーをはじめ、多くのゲスト俳優や監督がかけつけ盛り上がりました。
一方、騒動も。10月に開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は、資金不足が深刻化し、過去の賞金などの未払い問題が表面化したことで、開催が危ぶまれました。

映画祭というのは準備時間が長く、収益化するのが難しいイベントです。しかし、役割は重要です。ゲストで訪れた映画関係者同士の交流で新しい企画ができるキッカケになったり、会場となった地域を好きになってもらえたら、次の映画の舞台になる可能性があります。また、多様な作品を上映、鑑賞機会があることで観客の育成につながります。

2025年注目映画!

(C)2024 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

映画回顧2024の前編で、外国映画のフランチャイズムービーが少なかったことにふれましたが、25年は多そうです。いくつかご紹介しますね!
まずは、2月公開『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』。正義の象徴を受け継いだ、新たなキャプテン・アメリカの物語です。予告編を観ると桜が映るので日本も関係するのでしょうか、ワクワクです。
そして、ディズニーの原点『白雪姫』の実写版が3月に公開です。『美女と野獣』『アラジン』をはじめ、数々のアニメーション映画の実写化を成功させてきたディズニーが、ついにその“原点”に魔法をかけるとのことです。
5月には『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』、12月には『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』が公開予定。

(C)2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

また、25年のゴールデングローブ賞作品賞にノミネートされている『セプテンバー5』も期待です。この映画は72年のミュンヘンオリンピックで起きたパレスチナ武装組織によるイスラエル選手団の人質テロ事件を、事件を生中継したテレビクルーたちの視点から映画化しています。

日本映画にも気になるタイトルは多いです。
2月公開の『大きな玉ねぎの下で』や5月公開の『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』です。北海道小樽市出身の朝倉かすみさんが原作の「平場の月」も秋に公開予定。

来年もたくさんの映画に出会ってほしいです。その際、必要な映画情報は「SASARU movie」をご確認ください! それではまたお会いしましょう、劇場で待ってます!

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