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攻撃力アップへいよいよ本腰!静岡県高校総体サッカーで初の4強入りを果たした富士市立は“実り多き秋”を迎えられるか

アットエス

>>>“3軍暮らし”から這い上がってきた富士市立のボランチ岩﨑翼に注目

静岡県高校総体の男子サッカーで初の4強入りを果たした富士市立。テクニックを重視するスタイルは今年も健在だが、悲願の全国出場を果たすにはもう一皮向ける必要がありそうだ。冬の全国選手権出場に照準を合わせる県東部の雄は、どんな夏を過ごしているのか。

「裏インターハイ」に出場

富士市立は8月4日までの5日間、「第2のインターハイ」の触れ込みで全国の強豪29チームが磐田市に集った第1回コネクティングコミュニティ杯に出場していた。

予選リーグ初日は聖隷クリストファーに3−1、安芸南(広島)に6−0と連勝したものの、2日目以降は滝川第二(兵庫)に2−2、関東第一(東京)に2−2、武南(埼玉)に1−1、岡山学芸館(岡山)に1−2と苦戦。全国区のチームからは白星を挙げることができなかった。

ただ、杉山秀幸監督は悲観的には捉えていなかった。「インターハイに出ていてもおかしくない強豪校と勝ち負けにこだわる戦いができた。いい経験ができてよかった」

選手たちによると、フィジカル面では圧倒される場面が多かったが、マイボールになれば自分たちの戦術が通用するという手応えを感じたという。

(左から)トップ下の伊藤隼麿、FW山﨑絢心、ボランチ岩﨑翼


県総体後、センターラインの安定感が増してきたのは明るい材料だ。

FW山﨑絢心(けんしん)のスピードと足技を組み合わせたドリブル突破には、常に何かが起こりそうな気配が漂う。エースをサポートする10番伊藤隼麿のキープ力、ワンボランチ岩﨑翼の展開力、桶川陸と細谷蒼太の両センターバックの気の利いたカバー…。

今年は静岡県内に飛び抜けたチームが見当たらず、どんな相手でも一発勝負ならチャンスがありそうな戦力に見える。

杉山秀幸監督


プリンスリーグ東海は現在3勝1分け5敗で7位。下位の浜名高や名古屋グランパスBにしっかりと競り勝ち、残留争いから一歩抜け出した状況だ。

チームがリーグ前期で重視してきたのは守備の強度を高めることだった。杉山監督はテクニック集団に足りなかった“戦う意識”を植え付けることに注力。徐々にボールを奪う回数やマイボールの時間帯が増えてきたという。

県東部から全国へ

リーグ後期に入ったこれからは、いよいよ攻撃力アップに本腰を入れる。「順繰り順繰りに、です。攻撃をやると、守備の強度がまた落ちることがある。守備をやれば、今度はまたマイボール時の判断力が落ちたり」。指揮官は丁寧にチーム作りを進めていく考えだ。

今年の富士市立は例年に比べて力が落ちると見られていたが、選手たちはそんな外野の雑音をバネにして県総体初のベスト4入りを果たした。県東部の関係者の悲願「県東部から全国へ」は決して夢物語ではないだろう。

杉山監督の言葉からも手応えがのぞく。「リーグ戦も、いい試合をやれている。残留争いではなく、もっと上に行ける可能性もある。成果につなげたいですね」。夏を経て、今年こそ実り多き秋となるか。

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