ペンネーム「生灯龍」でデビュー 17歳の新鋭漫画家・伊藤さん 名張
家族の応援も力に
「週刊ヤングジャンプ」(集英社)の8月1日号に掲載された18ページの読み切り作品「私の愛し方」で漫画家デビューを果たした、三重県名張市在住の17歳、伊藤龍大朗さん。新鋭作家として才能を開花させている。
5歳の時、漫画「ドラゴンボール」を読み、模写を始めた。細かい影なども精巧に描写し、周囲の大人たちを驚かせたという。小学生になると描くことは少なくなったが、中学2年の時に創作意欲が再燃した。
一昨年、「ティックトック」などのSNSに「一発描き」と称した模写を投稿し始めると、フォロワーが3万人以上に増えた。「作る側に行きたい」という感情が芽生えたという。
昨年、「誰かの生きる灯になれる作品を描きたい」という思いを込めた「生灯龍(いとう・りゅう)」のペンネームで初めて描いた53ページの作品「誘惑の花火」を完成。好きな漫画「東京喰種」が過去に連載されていたという理由でヤングジャンプの新人漫画大賞に初投稿し、6月期での佳作を受賞した。編集部には「せりふ回しや展開、演出に読者を楽しませよう、驚かせようといった意図を感じた」などと講評された。
受賞からデビューに向けては編集者のサポートを受けながら、いくつもの新作案を提出。「これで行きましょう」とゴーサインが出たのが、今回掲載された「私の愛し方」で、紹介文の通り「17歳の俊英が描くサイコスリラーショートストーリー」だ。
「読んだよ」と知り合いからの反響があり、家族も喜んでくれたという。ただ、「型にはめたくないし、かといって認められないと意味ないし」と、デビューに向けて生み出した作品には葛藤や悩みもあったそうで、「描くのは楽しい作業だけれど、今は基本を学ぶ時期」と冷静に自己分析する。
日常のアイデアと妄想
主にタブレットやパソコンで描くという伊藤さんは、サスペンス系の物語が好きで、怖い雰囲気を出すのは得意。日常でふと浮かんだアイデアに妄想を加え、膨らませていくそうで、今も頭の中は次回作のアイデアでいっぱいだ。
家族の応援を背に、「年齢に関係無く、面白い漫画を描けるようになりたい。自分の色も出していきたい」と目を輝かせた。
伊藤さんの作品は現在、ヤングジャンプ編集部が運営する無料のウェブ漫画サイト「となりのヤングジャンプ」で読むことができる。