労働時間を巡って価値観が二分、「短くすべき」「柔軟に調整すべき」がほぼ同数 Indeed調査
Indeed Japan(東京都港区)は2月14日、「労働時間に関する調査」の調査結果を公表した。その結果、労働時間を「短くすべき」と「状況に合わせ柔軟に調整すべき」と、労働時間に関しての価値観が二分していることがわかった。
将来的に想定されている就業者数の減少による労働力不足がより大きな課題となっており、同社はこの解決策の一つとして「労働時間」の増加を挙げる。この調査では、ここ30年にわたって減少傾向にある「労働時間」について、正社員の労働者がどのように捉えているかを明らかにした。
正社員の5.4人に1人は「労働時間を増やしたい」
まず、直近6か月における1か月当たりの残業の有無は、「残業なし(月160時間未満)」が約3割(30.3%)、「残業あり(月160時間以上)」が約7割(69.7%)であることがわかった。
この現状を踏まえ、「1か月あたりの望ましい労働時間」として、現在よりも労働時間を減らしたいか、または増やしたいかを聞くと、「今のままでよい」が46.7%で最多であり、「減らしたい」が34.9%、「増やしたい」が18.4%だった。
収入アップ以外の「労働時間を増やしたい理由」は、各世代で異なる
労働時間を増やしたい理由は、すべての年代で共通して「収入を増やしたいから」(67.1%)が圧倒的に多い。それ以外の理由は、世代ごとに違った特徴が見られた。
年代別に見ると、20歳代は、1位「収入を増やしたいから」(77.7%、全体より10.6ポイント増)、2位「キャリアアップ・昇進につながるから」(18.7%、同・8.1ポイント増)は、全体と比較して高く、キャリアアップに意欲的な姿勢が示されている。
30歳代は、2位「たくさん経験を積みたいから」(20.6%、同・5.9ポイント増)、4位「キャリアアップ・昇進につながるから」(16.0%、同・5.4ポイント増)、5位「仕事をすることが好きだから」(15.5%、同・5.1ポイント増)が全体と比較して高い割合だ。同社は、30歳代は「仕事に対して意欲的であり、もっと働きたいと感じている人が多い傾向」と分析する。
一方で40歳代は、2位「やるべき仕事が終わらないから」(31.6%、同・6.3ポイント増)が全体と比較して高い結果となり、「長く働かざるを得ない」という実感を抱いている人が多いことがわかる。
一方で、3割以上の「労働時間を減らしたい」人の理由
労働時間を減らしたい理由の1位は、全世代で「プライベートの時間を増やしたいから」(65.6%)だった。2位以下は「身体的・精神的な仕事の負担を減らしたいから」(48.6%)、「家族のための時間に充てたいから(結婚・出産・育児・介護など)」(28.4%)と続いた。
特に20歳代と30歳代に見られる年代的な特徴は、「仕事をすることが好きではないから」(20歳代では3位で37.2%、30歳代では4位で31.1%)、「副業の時間に充てたいから」(20歳代では4位で29.1%、30歳代では5位で17.6%)などの割合が高いことだ。これらの理由から、若手社員であっても本業への意欲が高くないケースもあることがわかる。
労働時間を「短くすべき」と「状況に合わせ柔軟に調整すべき」で、価値観が二分する結果に
「労働時間の長さ」の考え方についての回答は、「労働時間は常にできるだけ短くしたい」(52.7%)と「労働時間はライフステージや年齢の変化に合わせて柔軟に調節したい」(47.3%)とほぼ半々で拮抗(きっこう)していることがわかった。
また、「社会的に、一律して労働時間を減らす努力をすべきだ」(48.4%)と「個人の考えが尊重され、希望する人は長く働くことができる社会になるべきだ」(51.6%)もほぼ半々の結果となった。
この結果から、正社員は「労働時間はできるだけ短くすべき」という価値観を持つ労働者と「労働時間は個人の希望や状況に合わせて柔軟に調整できるべき」と考える労働者がほぼ同数の割合で存在すると、同社は指摘している。
この質問は、労働に関する価値観について「労働時間と収入」「労働時間の長さ」「業務の内容や質」「ワークライフバランス」の4つのテーマで相反する2つの考えを提示し、回答者の考えはどちらに近いかを尋ねたもの。
Indeed Hiring Labエコノミストの青木雄介氏は「今後の労働力不足の一つの解決策として、『労働時間の自由度を高める』視点に可能性を感じている」と分析している。
調査は現在就業中のフルタイム勤務の正社員(20歳代から50歳代の男女)2000人を対象に、2024年12月26日から2025年1月6日に実施。調査の詳細は同社公式リリースで確認できる。