「針のカエシは釣りには不要!」 バーブレスフックの圧倒的なメリットとは?
アジングで使用するジグヘッドやフック。今回は、その「バーブ(カエシ)」の話です。「バーブレスはバラしやすい」と言われることがありますが、実際にはアジングのような繊細な釣りこそ、バーブレスの利点を強く感じられるシーンが多いと筆者は考えています。今回は、長年バーブレスを使い続けてきた経験をもとに、その魅力を紹介します。
バーブレスフックの実力
私が釣りを始めたのは3歳前後のころ。親に連れられて通っていたのを覚えています。途中まったく釣りをしない時期もありましたが、再開してからも変わらず釣行を重ねています。振り返ってみれば、私の釣り歴はそのまま“バーブレスフック歴”でもあります。
バレやすい?
これまでアジングをはじめ、ルアー、エサ釣りなどさまざまな釣りを経験してきましたが、「バーブレスだからバレた」と感じたことはほとんどありません。
船釣りだけは、船体の揺れによるテンション抜けでバレやすいと感じることはありますが……。むしろ、バラす原因の多くは合わせのタイミングやテンション抜けなど、フックの形状とは関係のない部分にあると感じています。
しっかりとテンションを保ち、ロッドのしなりを生かしてやり取りすれば、バーブの有無に関係なく十分にキャッチできる――それが長年の実感です。
困ったことなし
とはいえ正直なところ、バーブ付きのフックをほとんど使ったことがないため、どの程度の差があるのかは分かりません。ただ、バーブレスで困ったことがないという事実こそが、すべてを物語っているのかもしれません。
バーブレスフックのメリット
アジは口が柔らかく、針を外すときにバーブがあると口を裂いてしまうこともあります。リリースを前提とした釣りでは、この点だけでもバーブレスのメリットは大きいでしょう。
手返しの速さがアップ
また、全て持ち帰る場合でも、群れを相手にするアジングでは「時合い中の手返しの速さ」が釣果を左右します。バーブがないことで針外しがスムーズになり、結果として1本でも多くのアジに出会える。このテンポの良さは、実釣の中で大きなアドバンテージとなります。
安全面でも優位
さらに、夜の防波堤や足場の悪い場所では、安全面のメリットも見逃せません。もしキャスト時にトラブルが起きても、バーブレスなら衣類や手に刺さっても簡単に外せます。自分や仲間を守る意味でも、バーブレスは“安全装備のひとつ”と言えるでしょう。
バーブ(カエシ)の取り方
よく聞くのが「ラジオペンチでつまむ」という方法。これは正解です。
ただ、先端部分で潰そうとする人を見かけますが、それではうまく潰れないこともあります。
バス用などの大きめの針ならラジオペンチでも問題ありません。
フォーセップの奥で潰す
ただ、アジングのような細軸フックだと、フォーセップの奥側で潰すのがおすすめです。その方が力も入りやすく、道具への負担も少なく済みます。
「外れやすい」ではなく「外しやすい」
バーブレスを使う際によく言われるのが、「テンションを切らないように」という基本。もちろんそれは正解ですが、実際にはテンションが抜けたことも多々あります。それでも、思ったほど外れていないというのが率直な印象です。
フッキング後は、ラインテンションをしっかり保ち、ロッド全体で魚をいなすようにやり取りすれば、キャッチ率はバーブ付きと比べても遜色ありません。バーブレスは“外れやすい”フックではなく、“外しやすい”フック。
魚にも人にも優しく、釣りのテンポも損なわない。アジングという「繊細でスピード感のある釣り」だからこそ、その利点が際立ちます。
漁師だった祖父の言葉
最後になりましたが、小学校中〜高学年だった頃に漁師だった祖父から言われた言葉があります。「カエシは、魚で生きている人には必要だけど、遊びの釣りなら無くても安全だし、魚にも優しいし、生活も困らない」。当時は深く考えませんでしたが、今になってその意味がよく分かります。
魚に優しく、自分にも安全で、釣りのテンポも落とさない。そんな“無くても困らないカエシ”が、私にとってのスタンダードです。次の釣行では、ぜひ一度バーブレスを試してみてください。その軽快さと気持ちよさに、きっと驚くはずです。
<刀根秀行/TSURINEWSライター>