<ステキな義姉の正体は?>部屋に招待されてビックリ!部屋からあふれるゴミの山……【まんが】
私はヤヨイ。夫と娘と3人で暮らしています。夫のタカユキと結婚をしたのは5年前。結婚前にした両家での顔合わせで、初めてお義姉さんに会いました。おっとりした優しい雰囲気ながらも仕事がすごくできる人らしいのですが、そんなことを感じさせない気取らない姿に「この人が義姉になってくれるなら安心だ」と思った覚えがあります。
近居だからと私たちに干渉してくるようなこともない義姉。私たちは互いに良い距離を保てていると思っています。
義両親は遠くに住んでいますが、独身の義姉が近くに住んでいます。それからしばらくして……。
私たちは結婚してから義姉のお宅にお邪魔することになりました。しかしそこで衝撃の光景を見てしまったのでした。
私はきょろきょろと見まわすと、ある部屋に目が留まりました。ドアの前にはゴミ袋が置いてあり、何かが詰まっているであろう段ボール箱も高く積まれています。
私が思わず眉をひそめると、タカユキが「あそこの部屋だ」と言って歩き出しました。向かった先はなんと……そのゴミ屋敷のように見える部屋だったのです。 呆然とする私をよそに、タカユキはインターホンを鳴らしました。なかからは以前と変わらない様子の義姉が顔を出しました。
そのままドアを押し開けながら「どうぞどうぞ」と私たちを招き入れます。「おじゃましまーす」と言いながら、表情ひとつ変えずに家にあがるタカユキ。私は少し固まってしまいました。
義姉であるハナさんが優しそうでホッとしていたのもつかの間、なんとハナさんはゴミ屋敷、いわゆる“汚部屋”の住人でした。 初めてお部屋にお邪魔したときの衝撃はいまだに忘れられません。お茶すら手をつけるのを戸惑うという体験は初めてでした。 とはいえハナさんはいちいちこちらに干渉してくるタイプではありませんし、距離をとっていれば何も問題ありません。 安心した日々をすごしていましたが、タカユキからの「姉ちゃんの部屋、片付けにいってやってくれよ!」というひと言により、私は急に不安に駆られてしまうのでした。
私が片付けるの?イヤイヤ……頼まれたのはアナタでしょ!
タカユキからの突然の依頼に、驚きのあまり引いてしまいました。
私はだんだんとイライラしてきました。
まるで私のことを「人として失格」と言わんばかりに見下したかのようなタカユキの発言に、完全に頭に来てしまいました。
私は思わず大きな声を出してしまいました。そしてそのままの勢いでタカユキに詰め寄ります。
つまり、「頼まれてもいないのに部屋の片づけをやってあげたい」「でも実際に行動するのは面倒くさいから私を使って片付けたい」ということなのでしょう。私はついに、堪忍袋の緒が切れました。
おそらくタカユキは、実姉に対して良い顔をしたかったのでしょう。「姉ちゃんに頼まれる前に片付けてる段取りをつけてやった」とでも言いたかったのかもしれません。 しかしそもそも義姉が頼んでいないならば、ありがた迷惑という事態になりかねません。そのうえ、まったく関係のない私に片付けさせようとするなんて信じられません。 私なりにタカユキを説得したつもりでしたが、タカユキは黙り込むばかり。私の言葉は響いているのでしょうか……。
大量のゴミはいずこ?すっかりキレイになったワケとは!?
タカユキと話し合いをしてから何週間か経ったある日、私たちはバッタリ義姉に会いました。
久しぶりに会った義姉は、どこかスッキリした表情をしています。髪型やメイクなども少し変わった気がします。
私は義姉の散らかった部屋を思い出し、少しだけたじろぎました。しかも今日は幼い娘も一緒です。もし娘を連れてあの汚い家に入るとなると、母親として戸惑うのは当然のことでしょう。そんな私の心の内を見透かしたかのように、義姉はにっこりと笑いかけながらひと言付け加えました。
そして私たちは誘われるがままお宅にお邪魔することになりました。
アパートに着くと、以前玄関の前に置いてあったゴミ袋や高く積まれていた段ボール箱が見当たりません。一瞬「お義姉さんのお部屋、どこだったっけ?」と思ってしまうほどでした。あまりの変わりぶりに私は思わずきょろきょろしてしまいます。
以前のような足の踏み場もないほど散らかっていた様子は、微塵もありません。靴箱の上にある花瓶に飾られたお花は、私たちの来訪を歓迎してくれているかのようにもみえます。
義姉は嬉しそうに話しました。
義姉の部屋に再び訪れて、その変わりぶりに心底驚いてしまいました。自力で片付けたのかと思いきや、どうやら片付け業者さんに依頼をしたのだそう。 タカユキが小耳に挟んだ「片づけをお願いしなきゃ」という発言は、「業者に依頼しなきゃ」という意味だったようですね。 先走ったタカユキの言うことを鵜呑みにして、義姉の家に押しかけなくて本当に良かったです。家の雰囲気が変わったことで、今後はより仲良くできるかもしれません。
【夫の気持ち】デキる姉が俺に頼る!?「絶好のチャンス!」
俺はタカユキ。姉と2人きょうだいだ。姉は昔から何をやっても優等生。勉強や運動はもちろんのこと、習い事でも俺はまったく歯が立たなかった。社会人になったらなったで仕事ができ、どんどん出世している。しかもそれをまったく偉ぶる様子もなく、いつもおっとりニコニコ笑っているから憎むわけにもいかない。こう考えてみると、あたかも姉が欠点なしの完璧超人のように思えてくるが、姉にだって大きな欠点がひとつだけある。それは……「片づけがまったくできない」ということだ。俺は姉のその欠点を目にするたびに、「俺の方ができることもある」とホッとするのだった。
俺は無理やり姉ちゃんの家に招待するよう仕向けた。もちろん姉ちゃんはヤヨイを招待してくれたが、やはり恥ずかしそうにしていた。ヤヨイは少し引いていた。俺は内心、胸のすく思いだった。子どものころは俺が恥をかかされる側だったのだから、今になってこれくらいのことをやり返したってバチは当たらないだろう。
俺はなんだか少しだけ興奮した。完璧超人と囁かれた姉ちゃんが俺を頼ろうとしているのだとしたら……そんなプライドが満たされることはないじゃないか!
帰宅後にヤヨイに話を持ちかけたら、ものすごく怒られた。姉ちゃんに俺の方が優れていると見せつける絶好の機会なのに。片付けられる妻をもつ弟、一方自分は1人で片付けすらできない……そんなふうに思わせられたらどれだけスッキリするだろう。 それなのにヤヨイはどうしても言うことをきいてくれない。小さい男だと思われたくなくて、最もらしいことを言っても「まずは確認を」の一点張り。妻なら俺の自尊心を満たすために、手伝ってくれてもいいじゃないか……。
しばらくして偶然姉ちゃんの家に行くことになると、すっかりキレイになっていた。 すごく自分が恥ずかしくなった。姉ちゃんから業者に頼んだと聞いて、自分の苦手なことをよく知っているところ、そして他人に頼れるというところでやはり姉ちゃんはすごいと思った。一方の俺は自分の見栄ばかり。妻にやらせ、姉に見せつけようとして、自分の弱点を隠さない姉と正反対だ。器が違いすぎる……。これからは姉ちゃんとはおかしな張り合い方をせず、上手く付き合っていけたらと思っている。
何もかもよくできる姉ちゃんに対して勝手に対抗心を抱いていた俺。姉ちゃんは唯一片づけが苦手で、俺は得意。 その部分だけが劣等生の俺の心を慰めていて、そしていつの間にか「姉ちゃんは片づけができない点がダメなところだ、それができる俺はすごいんだ」とまで思いこむようになっていた。 だから姉ちゃんが「片づけを頼まないと」と言い出したとき、俺はついつい舞い上がってしまった。それが大きな勘違いだとも知らず、かえって器の違いを見せつけられたかたちになってしまった。 今となっては自分が恥ずかしい。これからは変な張り合い方をせず、上手く付き合っていきたい。