坂のまち越中八尾で毎週土・日だけ寺の本堂がうどん店に【こうどん常松寺】精進料理の小鉢など心と体がやすらぐ御膳も
昔ながらの家並みが続く坂のまち、越中八尾。
川の氾濫を避けて高台に作られたまちと石畳の街道は情緒が漂い、伝統行事の「おわら風の盆」や「曳山祭」には蚕糸業などで栄えたまちの豊かさが残ります。
そんな富山市八尾の旧町に、ちょっと変わったうどん店があります。
「こうどん常松寺(じょうしょうじ)」。
その名の通り、寺の本堂を使って土・日だけ営業するうどん店です。
こちらが外観。
立派な大屋根のお堂に、氷見うどんの幟が立っています。
1452年に創建された常松寺。
前の住職が県外に転出し、2021年、富山市内の別の寺で住職を務める本宮さんが管理を引き継ぎました。
「お寺の本堂をもっと活用できないかなという想いと、このあたりに飲食店が少ないっていう声もあったので…」
こう話すのは、本宮さんの妻でうどん店代表の京子さん。
観光客や地元の人にもっと気軽に寺を親しんでもらいたいと、2023年9月に「こうどん常松寺」をオープンし、檀家や地元住民らと一緒にうどんを提供しています。
「こうどん」1杯でも栄養バランス抜群!
うどんは、もちっとした食感とコシが魅力の氷見うどんの細麺を使っていて、量が少なめの「こうどん」と、一般的な量の「おうどん」があります。
「食が細い高齢のお客さんもいるので、うどんは少なめにしてるんです。だから、メニューにも店名にも “こうどん” とつけました。うどんの量は少なめですが、栄養バランスを考えて具材をトッピングしてます」と京子さん。
こうどんの上には、8銘柄ある富山県産ブランド豚の中でも流通量が少ない地元八尾の「おわらクリーンポーク」。ニンジンやしめじ、油揚げや青菜などのトッピングが器を彩ります。
どの食材も薄味ながら、ひと手間かけて調理したものばかりです。
うどんは単品でも味わえますが、「こうどん御膳」を頼むと京子さん特性の小鉢がついてきます。
どれも旬の味覚で丁寧にこしらえた精進料理や田舎料理です。
季節や日によって品が変わりますが、取材で訪れた5月半ばは、ごま油で炒めたウドの胡麻和え、タマネギたっぷりの自家製ドレッシングがおいしいアボカドサラダ、甘くてほろ苦いきゅうりのビール漬け、かぶの麹漬け。デザートには、八尾の蕎麦粉で作った蕎麦ようかんが添えられていました。
どれも食材のおいしさを活かしつつ、じっくりとかみ締めたくなるような奥行き深い味わいに仕上がっています。
「とにかく身体が喜ぶものを皆さんに食べてもらいたいなと思ってます。お寺にも気軽に足を運んでもらえたらうれしいですね」(京子さん)
飲食スペースの隣は、だれでも利用できる休憩所。
「休憩所には越中おわら節には欠かせない胡弓も置いてます。誰でもさわれるように、木製にしたの。八尾産の杉なんですよ。気軽に鳴らしていってください」(京子さん)
越中八尾は坂の町。
風情あるまちなみを歩きながら楽しんだあとのひと休みに、こうどんや手作りの料理で心と体をやさしくいたわるのもいいかもしれません。
店舗情報
【こうどん常松寺】
住 所 富山市八尾町東町2086
営 業 土・日曜 11:00~14:00
(営業期間 3~11月 ※冬季休業)
電 話 090-4687-0331
駐車場 有
記事編集:nan-nan編集部