Yahoo! JAPAN

「春の釣り堀は難しい?」食い渋り時の海上釣り堀の攻略法を徹底解説

TSURINEWS

カンパチゲット(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)

一時期のブームは去ったが、まだまだ人気の海上釣り堀。だが、ここ数年気候変動や平均水温の上昇、放流量の減少などもあり思うような釣果を上げられない人も多いと思う。ファミリーやカップルで気楽に楽しめる海上釣り堀だが、シビアになりつつあるのも事実。そこで今回はそんなシビアな釣り堀攻略の裏技を解説したい。

海上釣り堀を取り巻く環境

数10年前はあちこちに釣り堀ができて、一大ブームとなった海上釣り堀。一時期のブームは去った感じだが、まだまだ人気は健在で休日ともなると、波穏やかな湾内に浮かぶイケスには多くの釣り人が並んでいる。

だが温暖化による水温上昇や養殖魚の高騰による放流量減少で、満足のいく釣果を得るのが難しくなりつつある。特に今の時期、春先は天候が安定しない上、水温も激しく上下するので魚の活性もムラが大きくなる。

マダイで数を稼ぎたい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

海上釣り堀のエキスパートの桑原一幸さんに聞いても、「春の釣り堀が一番難しい」とのこと。最も厄介なのが澄み潮だ。イケスの底網まではっきり見えるような状況では、かなりの苦戦を強いられることが多いと言う。

また水温の急な変化もタフコンディションをもたらす大きな原因。変温動物の魚にとって、わずか1度の変化は重大だ。一気に食い渋りになってしまう。それが毎日のように起きてしまうのが、この時期なのだ。

釣り堀の基礎

ササミも有効(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ここで、海上釣り堀の基礎をおさらいしておこう。通常の釣り堀では開始直後、2度の放流直後の3度のチャンスタイムがある。このチャンスタイムにいかに釣果を伸ばすかがカギとなる。

大きさでフォールスピードを調整(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

エサは少量多種が基本となる。マダイ、シマアジ、イサキにはダンゴ、アマエビ、ササミ、シラサエビなど。やはり黄色に着色したものに反応がいいことが多い。

マーブル状にしてもいい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

青物には生きアジ、生きウグイなどのライブベイトのほか、においで誘うカツオの切り身、冷凍イワシ、冷凍キビナゴなど。

キビナゴ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

カツオの切り身は船釣りで使うような短冊ではなく、冷凍のメジカ(ソウダガツオ)1匹丸ごとをさばいて使う。これらのエサをローテーションしながら、狙う魚に応じて使っていく。

アマエビ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

仕掛けはウキ釣りとミャク釣りがあるが、現場を見ているとウキ釣りの方が多い気がする。マダイ狙いの場合はハリス2〜3号、チヌバリ5号でなるべく軽い仕掛けがお勧めだ。青物狙いならハリス5〜6号、伊勢尼15号。生きエサを使うなら、泳ぎ回らないように6号以上のオモリをかけて投入する。以上が海上釣り堀の基本となる。

エサのローテーションは基本(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

タックル&仕掛け

タックルはイケス中央を攻められる3〜4mクラスと足元(ネット際)を攻められる1.8〜2mクラスの2本用意したい。理由は後述するが、穂先が軟らかいものがお勧め。専用ザオがあればいいが、波止ザオやイカダザオで代用ができる。それに青物用として、強めの2.7〜3mが1本あれば完璧だ。

海上釣り堀のタックル(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

仕掛けは一般的にウキ釣りがポピュラーだが、今回はフカセ釣りを強くお勧めしたい。よほど風が強いか、潮が速い場合を除いては、オモリを一切打たない完全フカセがイチオシだ。マダイ狙いならハリス2〜3号を基本に、食い渋りに備えて1.5号も用意しておきたい。

具体的にはミチイトがPEラインなら、ハリスをミッドノットかFGノットで直結。その先にハリを結ぶだけの極めてシンプルな仕掛けだ。風が強かったり潮が流れているときは、ハリ上30cmにガン玉を打つが、できればない方がいい。

青物のチャンスは多くはない(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

青物も同じだ。PEラインの先に、ハリス5〜6号を結束しハリを結ぶだけ。ハリは伊勢尼13〜16号を使い分ける。

どんな釣りでもそうだが、渋いときほどタックルをライトに、仕掛けを細くするのが鉄則。エサの重さだけで自然にゆっくりと落としていく完全フカセは、理にかなった釣法といえる。

サオの本数

サオの本数は貸切の場合は1人2本まで、乗合では1人1本まで出せるという所が多いように思う。普通で考えればサオの本数を増やせば増やすほど、魚が釣れるチャンスは増えると思われがちだ。

サオは2通り用意したい(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

だが警戒心の高まっているイケスの魚に、これは逆効果になることが多い。ただでさえ警戒して食い気がないところに、いくつものエサが落ちてきたら捕食どころか、かえって警戒心を高めてしまうことになってしまうのだ。

短ザオは足元を狙える(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

貸切では2本出せるが、マダイならマダイ、青物なら青物と狙いを決め、常にイケスに出すサオは1本にとどめておこう。また使わないサオは、イケスにサオ影を落とさないよう後ろに立てかけるか、邪魔にならない所に置いておく。

釣り場に着いた時からが釣り

前述の通り、この時期の釣り堀は非常にシビアであることが多い。イケスの中の魚もシビアで、朝一のチャンスタイムですら、アタリが出ないこともある。

ではどうすれば貴重な1匹を手にできるのか。まず船で渡る釣り堀にしろ、桟橋続きの釣り堀にしろ、釣具をかついでイケスに渡った時点ですでに釣りが始まっていると考えよう。

まず水際に立たないこと。「魚がいるかな……」とのぞき込むのはもってのほか。こちらから魚が見えれば、向こうからもこちらが見えている。これで一気に警戒心が高くなるのだ。準備はなるべく水際から離れて行うようにしたい。

時期によってはイサキも(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

もし後ろにスペースがなければ、なるべく立たないようにする。水面に影を落とさないようにするのだ。もちろん釣っているときは、なるべく立たず座ったままが理想。足元に魚が固まっていた場合、立った瞬間に影を落としてしまうからだ。

また移動するときも、なるべく足音を立てないようにする。水の中は思った以上に音が伝わるので、イケスの上をドタドタ歩くだけでも魚の警戒心を高めていると考えよう。抜き足差し足で魚に気配を悟られないように忍び寄り、警戒心を与えないように軽い仕掛けでそっとアプローチする。まさに忍者釣法だ。

貸切と乗合

釣り堀は貸切と乗合に分かれている。貸切は仲間同士6〜8人で1つのイケスを貸し切り、他に気を使わずのんびり楽しめる。乗合は1つのイケスで、他の釣り人と一緒に釣りをする。少人数での釣行は、ほぼこの乗合になることが多い。

忍者釣法をするなら、断然貸切が有利。全員で息を合わせて、静かにイケスの魚にアプローチしたい。

クエがヒット(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

乗合であれば、なかなかこうはいかない。アングラーそれぞれの考えがあり、それぞれの釣り方がある。だが考え方を変えれば、例えば他の釣り人がイケスをのぞき込み、音を立てながら釣りをしていたとしたら、静かにそっと釣っている自分の前に魚が集まりやすい……とも考えられるのだ。

もちろん警戒心が高まっているので、簡単に釣ることはできないだろうが、少なくともチャンスは増えると前向きに捉えたい。

場を休ませよう

また、これは貸切でしかできないことだが、一定の時間一切の仕掛けを上げて水際から釣り人が姿を消すというもの。

決して安くはない料金を払って釣りをする以上、実行するのはなかなか勇気がいるが、人の気配を一切断ったイケスでは一気に魚が浮くことが多い。

食わせた後のバラシは厳禁(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

実際乗合イケスで終了時間がきて釣り人が続々と引き上げていくと、それまで姿を見せなかった青物やシマアジが、悠々と表層を回遊するようになる。その下にはマダイも警戒心を解いて泳ぎ回るようになる。そしてイケスに近寄ると、慌てて姿を消してしまう。

マハタをキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

これを見ると、人が接近すること自体がいかに魚にプレッシャーを与えることになるか、よく分かる。よって貸切イケスで全員が釣りをやめ、サオを引っ込めて休憩スペースで30分〜1時間ほどイケス全体を休ませると、それだけで魚の警戒心が解けてバタバタッと釣れることが多い。

もちろん釣りを再開するときも、なるべく音を立てず人影を水面に映さないように気をつけるようにしよう。

バラシは禁物

いうまでもないが、バラシはその場にいる魚の活性を一気に下げてしまう。放流後や朝一の高活性時は多少バラしても次々アタリが出るが、渋いときのバラシは致命傷になりかねない。

タモ入れは確実に(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

リールのドラグは事前に調整しておき、無理なやり取りは避けるようにしたい。

小バリ&小エサが効く

さらに食い渋ったときに効果があるのが、小バリに小エサだ。わずかに食い気が残っている魚はあまり大きなエサは食わない。それこそ米粒ほどのエサを食(は)むように食う。エサが小さければ小さいほど、食わせやすい。活性が高いときは大きめのエサで目立たせればいいが、低活性時はその逆。

大人気のシマアジ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

具体的にはチヌバリ2〜3号程度に、ダンゴであれば半分か3分の1程度にカットしたものをハリに付ける。もちろんハリスの号数も落とす。それまで2.5号を使っていたら、1.5号ぐらいまで落としてもいい。

エサが小さいので、アタリが出たら即アワセが基本。ハリをのまれることは少ないが、ハリ自体が小さいしハリスも細いので、やり取りは慎重に行おう。

青物も同じだ。食い気がなくなると、生きアジなどの活発に動くエサは食いにくい。カツオの切り身や冷凍イワシを小さめにカットして使う。また冷凍イワシを使うときは、なるべくハラワタがある部分を使う。においで食い気を誘うためだ。

最後に

以上がシビアな春の釣り堀攻略だが、時代の移ろいとともに釣り堀の状況も変化している。

渋い時ほど慎重に(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

特に今の時期は、水温の乱高下で何をしてもアタリすらないという日も多い。先に述べた攻略法を実践すれば必ず爆釣というわけではないが、引き出しの中に仕舞っておき困ったときに試してみてほしい。

<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>

【関連記事】

おすすめの記事