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筆おどる!?御朱印墨絵展 釜石の菊池錬城さん(日高寺住職) 躍動感あふれるライブペイントも

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 勢いで描いてはみたけど二度と描けない―。そんな気になるタイトルがついた展示会が、釜石市大町の市民ホールTETTOギャラリーで開かれている。並ぶのは白い紙に絵や文字を墨書きし、赤い印を添えた「御朱印(ごしゅいん)」や墨絵約50点。同市礼ケ口町にある日高寺(にっこうじ、日蓮宗寺院)の菊池錬城(れんじょう)住職(47)が筆を執り、独自の感性で来場者を魅せる。釜石・大槌在住の作家を紹介する同ホールの自主事業「art at TETTO(アート・アット・テット)」の第13弾。18日まで。

御朱印や墨絵を手がける日高寺住職の菊池錬城さん


 菊池さんは、1950年代後半に建立された同寺の第3世住職として寺院業務をこなす。「子どもの頃、癖だった」というのが絵を描くこと。「おもちゃや食べ物…欲しいものがあっても全てを手に入れることはできないから描いて、遊んだり味わったり楽しんでいるのを想像した。それで満足だった」。そんな少年の夢は漫画家だった。

 長男だったこともあり、寺を継ぐため立正大(仏教学部宗学科)を卒業して古里に戻った。寺院業務の傍ら、2008年から岩手県日蓮宗青年会の仲間と手作り紙芝居を披露する保育施設訪問ボランティア活動を開始。同じ頃、「お坊さんぽいから」と墨絵を描きだした。

 昨年、友人のために描いた「龍の御朱印」がSNS(交流サイト)で広がると、海外向けのテレビ番組でも紹介され、絵柄が入った御朱印を求める参拝者が国内外から訪れるようになった。「絵を描くことを仕事にしたい」という少年時代の夢を「思いがけず手にした」と菊池さん。会場には「文殊師利菩薩」「炎虎」など、要望に応える形で絵柄を入れて実際に手渡した御朱印の複製版を並べた。

寺院参拝者に手渡した御朱印の複製版を紹介


 同寺がまつるのは山の神「禮口山神(れいこうさんじん)」、水の神「八大龍王(はちだいりゅうおう)」、火の神「大聖不動明王(たいせいふどうみょうおう)」、鬼の神「鬼子母神(きじぼじん)」の四神。その神様たちをキャラクターデザインして描いた墨絵や御朱印、絵本風にまとめた作品も多く見せる。「4体の神様が力を合わせて、この地を守っている。人間も支え合っていこう」。そんな助け合い、「円満和合」を伝えられたらと菊池さんは願いを込める。

日高寺の歴史やまつる神様をモチーフにした作品もずらり


スマホを構えて好みの墨書を写真に収める人の姿も


 「商売繁盛」や「安全第一」といった願いを込めた墨絵、ラグビー選手など釜石ならではのモチーフを取り入れた作品も紹介する。お気に入りは「近所のバスケ少年」と題した一枚。バスケットボールのゴールリンクを設ける同寺境内で競技に熱中する中学生を描いている。そこに込めたのは、「頑張れ」と応援する気持ち。御朱印を書く時にも「誰かのために」という思いは共通する。檀家(だんか)、信者らと接する時間の多くは人生相談だといい、「粗末にしてはいけない仕事」と実感。寄り添い、背中を押す気持ちを投入している。

願い事を込めた墨絵、制作過程を見せる下絵なども並べた


お気に入り作品「近所のバスケ少年」を見つめる菊池さん


 11日は会場で墨絵のライブペイントを披露。音楽に合わせながら約2メートル四方の紙に筆をおどらせ、躍動感あふれる「寅(とら)」を生み出した。かけた時間は10分ほど。「御朱印は参拝している間に描き終える」と心がけていたら、字を書くように絵を描くことができるようになったという。そんな手際のよい筆さばきを来場者は食い入るように見入り、「ほ~」と感動していた。

多くの来場者が見入ったライブペイント


即興で完成させた「寅」も会場を彩る作品に


 描く絵はすべてオリジナル。「漫画っぽい」のが特徴だと菊池さんは話す。リクエストを受けても、既存のものを写すのではなく、参考にはするが、デザインを考えることからスタート。この作業が「素人だから時間はかかる」という。そのため、現在は御朱印のリクエストを休止中。少し落ち着いたら再開したい考えで、「希望の絵を持ち帰り、楽しんでもらえるようにしたい」と、“自己流”という“野良”の意地で精進を重ねる。

 個展も夢の一つだった菊池さん。作品を見てもらうことで、「日高寺を知ってもらいたいし、御朱印が釜石を訪れる観光の一助になれば」と期待する。御朱印や墨絵作品のほか、寺の近況をインスタグラムで公開中。「令和の神様がいたっていいじゃないか」と、独自のアート性を生かした発信を続ける。

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