犬にしてはいけない絶対NGな『ご飯の与え方』5選 誤った方法で愛犬が命を落とすことも…
犬にしてはいけない絶対NGな『ご飯の与え方』は?
愛犬の食事は毎日のことだからこそ、与え方に注意が必要です。与え方によっては、愛犬の健康に問題が生じ、命を落とすこともあるため、誤ったご飯の与え方は避けましょう。ここでは、犬にしてはいけない絶対NGなご飯の与え方を5つご紹介します。
1.不適切な量のご飯を与える
犬のご飯は、年齢や体重、体型などに合わせて、適量を与えることが大切です。
ご飯の量が多すぎると肥満になり、心臓病や糖尿病などの病気のリスクが高まります。反対に少なすぎると、栄養不足によって、成長の遅れや免疫力の低下、脱毛などを引き起こす恐れがあります。
愛犬が欲しがるままにご飯を与えたり、飼い主の判断でご飯を極端に減らしたりするのはNGです。
ドッグフードのパッケージに記載されている給与量を参考にしながら、獣医師にも相談して、愛犬に適した量のご飯を与えましょう。
2.栄養バランスの悪いご飯を与える
栄養バランスの悪いご飯は、犬の健康に悪影響を及ぼし、病気の原因になったり、栄養失調を引き起こしたりします。
犬に必要な栄養素は人間と同じですが、必要な栄養素の割合は異なります。犬と人間とでは、理想的な栄養バランスが異なるのです。そのため、人間の食事を犬に与えるのは絶対に避けましょう。
人間の食事は犬にとって栄養バランスが悪いだけでなく、塩分や脂肪分などが多いため、腎臓病や心臓病、肥満などを招きます。
また、犬の栄養に関する知識がない状態で作った手作り食は、栄養が偏りがちです。愛犬に手作り食を与える場合は、事前に犬の栄養についてしっかり学ぶ必要があります。
『総合栄養食』と表示されたドッグフードは、犬に必要な栄養素がバランスよく配合されています。しかし、子犬期、成犬期、シニア期など、ライフステージによって必要な栄養素のバランスは異なります。愛犬のライフステージに合ったドッグフードを選びましょう。
3.犬にNGな食材が入ったご飯を与える
犬のご飯に、味付けのされていない食材を適量取り入れるのは、基本的に問題ありません。ただし、犬にNGな食材は避ける必要があります。
例えば、玉ネギ、長ネギ、ニラなどのネギ類やブドウは、絶対に避けるべき食材です。これらは、犬に中毒症状を引き起こす可能性があり、摂取量によっては命に関わることもあります。
また、生の魚介類や生の卵白などは、衛生面の問題があるため、中毒症状は引き起こさなくても犬の健康を損なう恐れがあります。
うっかりNGな食材を与えないために、愛犬のご飯に新しい食材を取り入れる際は、与えてもよい食材かどうかを事前に獣医師に確認するか、信頼できる情報源でよく調べましょう。
4.運動の直前や直後にご飯を与える
運動の直前や直後にご飯を与えるのは、犬の健康を守るために避けましょう。特に、運動の直前にご飯を与えると、胃拡張・胃捻転症候群を引き起こすリスクが高まります。
胃拡張・胃捻転症候群とは、胃が膨張し、ねじれてしまう病気で、大型犬や胸郭が深い犬種に多く見られます。この病気を発症すると、吐こうとしても吐けない、お腹が張る、大量のよだれが出るといった症状が表れ、早急な治療が必要です。治療が遅れると、命を落とす可能性があります。
この病気の原因は明確には分かっていませんが、早食いや食後すぐの運動などがリスク要因と考えられています。そのため、散歩などの運動は食前に行うのが理想的です。ただし、運動直後の食事は消化に悪いため、運動後30分〜1時間ほど経ってからご飯を与えるようにしましょう。
もし食後に運動をする場合は、2時間以上間隔を空けるようにしましょう。これにより、胃拡張・胃捻転症候群のリスクを軽減できるとされています。
5.ご飯を置きっぱなしにする
愛犬がご飯を残すと、飼い主は「あとでお腹が空いたらかわいそう」と感じ、つい置いたままにしてしまいがちですが、これはNGです。食べ残しは時間が経つにつれて傷みやすくなり、愛犬が傷んだご飯を食べると、お腹を壊す可能性があります。
また、ご飯をいつでも食べられる状態にしておくと、だらだら食べる癖がついたり、食べムラの原因になったりすることもあります。
このように衛生面やしつけの観点から、ご飯を置きっぱなしにするのはよくありません。ご飯を与えて20〜30分経過したら、食べ残していても片付けるようにしましょう。
食べ残したご飯は、雑菌が繁殖して傷みやすいため、処分してください。ご飯を残した場合は、次の食事の時間までご飯やおやつを与えないようにしましょう。
ご飯を残すことが何日も続く場合は、病気が隠れている可能性もあるため、動物病院を受診しましょう。
犬にご飯を与える際に『マテ』は必要?
愛犬にご飯を与える際にマテをさせる飼い主は多いですが、このマテは必要なのでしょうか?実は、必ずしも必要とは言えません。
マテは本来、『OK』や『ヨシ』などの解除の合図があるまで、その場で動かずにいることです。犬にマテの指示をすることによって、危険な行動をやめさせたり、落ち着かせたりすることができます。
しかし、ご飯を目の前にしてのマテは、犬からすると、食べるのを焦らされている状態です。特に、マテをさせられる時間が長いと、ご飯を食べたい欲求が高まり、早食いを助長してしまいます。
また、食べ物への執着心が強くなり、フードアグレッシブにつながることもあります。フードアグレッシブとは、食べ物を守ろうとして、攻撃的になってしまうことです。飼い主が食器に手を伸ばしただけで、噛みつくこともあります。
犬にご飯を与える際は、オスワリの姿勢が取れたら、すぐに食器を置いて食べさせてOKです。食器を犬の目線より高い位置に持つと、自然とオスワリの姿勢になります。
ご飯を与える際にマテをさせてはいけないわけではありませんが、させる場合は、1〜2秒にとどめましょう。
まとめ
愛犬の健康を守るためには、ご飯の与え方に注意が必要です。間違ったご飯の与え方は、愛犬の健康に悪影響を及ぼし、命に関わることもあります。本記事でご紹介した絶対NGなご飯の与え方は、ぜひ避けてください。
また、愛犬にご飯を与える際は、長くマテをさせる必要はありません。早食いやフードアグレッシブを防ぐためにも、オスワリができたらすぐにご飯を与えてあげましょう。もしマテをさせるのであれば、1〜2秒程度のごく短時間にとどめてください。
(獣医師監修:後藤マチ子)