住宅ローンは40年でも大丈夫?メリット・デメリットや向いている人の特徴
これまで、「住宅ローンは35年ほどで返す」というのが一般的でした。しかし最近では、返済期間を40年以上に設定できる住宅ローンが登場し、返済期間を長めに設定しようと考える人も見受けられます。この記事では、40年の住宅ローンを組むメリット・デメリット、返済期間による総支払額の違いなどをご紹介します。
住宅ローンを40年で組むメリット・デメリット
40年の住宅ローンには次のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
・毎月の返済額が軽くなる・団体信用生命保険を長くつけられる・繰り上げ返済で返済期間を調整できる・より多くの借入ができ、住居の予算をアップできる
【デメリット】
・金利が高い傾向がある・返済期間が長い分、総支払額が増える・取り扱い金融機関が限られる・年齢に注意が必要・定年後もローンの返済が続く可能性がある
ポイントについて解説しましょう。
メリット
・毎月の返済額が軽くなる
金利はかかるものの、借入期間が長くなれば毎月の返済額は軽くなります。くわしくは、後述の「返済期間35年と40年を比較!住宅ローンのシミュレーション」をご覧ください。
・団体信用生命保険を長くつけられる
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者に万が一のことがあった際、保険会社が金融機関へ保険金を支払うことで住宅ローンをゼロにするもの。団信の契約期間は住宅ローンの返済期間に準ずるため、借入期間が長い分、保険期間も長くできます。
・繰り上げ返済で返済期間を調整できる
一度組んだ住宅ローンの返済期間を延ばすことはできませんが、長めに組んだ住宅ローンなら、繰り上げ返済で返済期間を縮めることが可能です。
・より多くの借入ができ、住居の予算をアップできる
住宅ローンの借入可能額は、返済比率によって変わってきます。金融機関の審査にもよりますが、月々の返済額が軽くなることで返済比率は下がり、借入可能額が上げられる可能性があります。借入できる金額が増えれば、住宅の購入予算もアップできるでしょう。
借入金額を多めに設定するために40年ローンを組もうと考えている人は、こちらの記事もチェックしてみてください。
住宅ローンを多めに借りるのは可能?メリット・デメリットやリスクを解説!
デメリット
・金利が高い傾向がある
住宅ローンは、返済期間が短いものに比べて長いもののほうが、金利は高くなる傾向があります。フラット35の場合では、返済期間によって一般的な金利は次のように変わります。
借入期間20年以下(融資率9割以下)の場合:年1.470%
借入期間21年以上~35年以下(融資率9割以下)の場合:年1.860%
借入期間36年以上~50年以下(融資率9割以下)の場合:年1.960%
・返済期間が長い分、総支払額が増える
そもそもの金利が高くなることに加え、借入期間が長くなる分の利子が増えます。わずか数%の金利であっても40年間で考えると利息は大きくなり、総支払額に影響するため注意が必要です。
・取り扱い金融機関が限られる
40年の住宅ローンは、すべての金融機関で取り扱っているわけではありません。ネット銀行や地方銀行を含め、取り扱い銀行にどのようなところがあるかは、しっかり確認しましょう。
・年齢に注意が必要
住宅ローンの多くは、「80歳までに完済」という条件があり、40歳以下でなければ40年の住宅ローンは組めません。住宅ローンを組む際の年齢に注意が必要です。ただし、親が借りたローンを子どもが支払うという親子リレー返済を使えば、41歳以上でも35年以上の住宅ローンを組める可能性があります。
・定年後もローンの返済が続く可能性がある
20代前半~20代半ばで40年の住宅ローンを組めば65歳の定年前に完済できますが、20代後半~30代で40年の住宅ローンを組むと65歳以降もローンを返済し続けなければならない可能性があります。
繰り上げ返済するつもりで40年ローンを組んだものの、予期せぬ事態で返済計画が変わる可能性もあるため注意しましょう。
40年の住宅ローンが向いている人の特徴
次の点に当てはまるようなら、40年の住宅ローンもおすすめ。メリットデメリットを考慮しつつ、長期ローンを検討してみましょう。
20~30代で年齢が若い人
完済時の年齢が80歳までというローンが多く、40年の住宅ローンを利用できるのは40歳以下が基本。契約後、40年にわたってローンを返済していくことを考えると、40年の住宅ローンを組むなら20~30代の若い人がよいでしょう。
特に20代なら40年かけてローンを返済するとしても、65歳定年後70歳までの再雇用が見込め、仕事をしながら完済することが可能です。
収入の増加が見込める人
収入の増加が見込める人にも40年ローンは向いています。今は収入が少なく毎月の返済額を軽くするために40年の住宅ローンを組んだとしても、収入がアップすれば余裕が生まれます。収入がアップした分を貯蓄し、繰り上げ返済に回すことで返済期間を短縮できるでしょう。
お金の管理が上手な人
お金の管理が上手な人も、40年ローンを活用してみてください。借入期間を長めに設定して毎月の返済額を抑えることで、予期せぬ出費やライフイベントに備えられます。そのうえで家計管理をしっかりして貯蓄をすれば、繰り上げ返済が可能です。
また、月々の返済額の抑えた分を資産運用に回し、お金を増やしてローン返済に充てることを考えてみてもよいでしょう。
返済期間35年と40年を比較!住宅ローンのシミュレーション
40年の住宅ローンを組むデメリットとして、総支払額が増えることを挙げました。どれくらいの差が出るのか気になる人も多いことでしょう。
ここでは、フラット35を利用した場合の支払額をシミュレーションしてみます。
【シミュレーション条件】
・返済方法:元利均等・金利:1.5%・ボーナス払い:なし
わかりやすいよう、金利は一律1.5%として計算していきましょう。
住宅ローンを35年で組んだ場合
【借入金額3,000万円】
毎月返済額:9.2万円
総返済額:3,858万円
【借入金額4,000万円】
毎月返済額:12.3 万円
総返済額:5,144 万円
【借入金額5,000万円】
毎月返済額:15.4 万円
総返済額:6,430 万円
住宅ローンを40年で組んだ場合
【借入金額3,000万円】
毎月返済額:8.4万円
総返済額:3,992万円
【借入金額4,000万円】
毎月返済額:11.1 万円
総返済額:5,322 万円
【借入金額5,000万円】
毎月返済額:13.9 万円
総返済額:6,653 万円
同じ3,000万円の借入でも、35年に対し40年の住宅ローンでは毎月の返済額が8,000円ほど抑えられます。
しかし、総返済額は134万円多くなるため、月々の返済を軽くしたいのか、総返済額を抑えたいのか、よく考えたうえで借入期間を設定しましょう。
参考:住宅ローンを50年で組んだ場合
フラット50を利用すれば、50年の住宅ローンを組むことも可能です。参考として、50年のシミュレーションもご紹介しましょう。
【借入金額3,000万円】
毎月返済額:7.2万円
総返済額:4,267万円
【借入金額4,000万円】
毎月返済額:9.5 万円
総返済額:5,689 万円
【借入金額5,000万円】
毎月返済額:11.9 万円
総返済額:7,111 万円
実際は、利用する金融機関や返済期間などの条件に応じて金利は変わります。借入期間による総支払額の差はより大きくなると考えられるでしょう。
まとめ:40年の住宅ローンを活用して理想の家を購入しよう
金融機関にもよりますが、住宅ローンを40年で組むことは可能です。毎月の返済額が抑えられる、より多く借入できるなどのメリットはありますが、総返済額が増えるといったデメリットも考えられます。メリット・デメリットを考慮したうえで、自分に合った住宅ローンの期間を設定しましょう。