「東京都の化石」に選定された化石って?【眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話】
トウキョウホタテ、タカハシホタテ
かつては東京でも見つかった化石採集の定番
アジア大陸の一部だった日本が大陸から分離し、日本海と日本列島の原型が形成されたのは、新生代新第三紀の中新世の半ばを過ぎたころです。それから現在まで、日本列島は海と陸の時代を繰り返し、海にはたくさんの貝の仲間が生息しました。そのことを実感できる存在が、トウキョウホタテの化石です。
トウキョウホタテは正式にはミズホペクテン・トウキョウエンシスといい、新第三紀鮮新世から第四紀更新世にかけての日本近海に住んでいた絶滅したホタテガイの仲間です。
日本では関東を中心に、九州から北海道まで広い範囲で見つかる、人気のある化石として知られています。その名の通り、以前は東京都内でもよく見つかっていました。
現在のホタテガイに似ていますが、トウキョウホタテは殻の表面にある筋(放射肋)の本数が少ないことで区別することができます。
2016年には、日本地質学会が「東京都の化石」に選定しました。
同じイタヤガイ科の絶滅ホタテガイ、タカハシホタテ(学名フォルティペクテン・タカハシイ)も北日本でよく見つかる馴染み深い化石です。こちらは新第三紀中新世から鮮新世にかけて、東北地方から北海道、カムチャッカ半島付近に生息していました。
現在のホタテガイとの違いは右殻がお椀のようにふくらんでいるところと、その重さです。大人になると両側の殻合わせて1キロを超えることもめずらしくありません。この重量のため、幼いうちは泳げたものの、大人になると海底に寝そべるようにしていたと考えられています。
日本列島ができるまで
アジア大陸の一部だった日本が現在の形になるまで、日本列島の周囲には多くの貝の仲間がいた。
「東京都の化石」トウキョウホタテ
トウキョウホタテ(ミズホペクテン・トウキョウエンシス)
軟体動物
二枚貝類
約17センチ
泳ぎかた
殻を開け閉めすることで、スイスイと泳ぐことができた。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 古生物の話』代表監修:大橋 智之