劇団四季 オリジナルミュージカル『バケモノの子』が「名古屋四季劇場」にて上演中!蓮/九太役を演じる大鹿礼生さんにインタビュー
2025年2月9日(日)まで、劇団四季のオリジナルミュージカル『バケモノの子』が「名古屋四季劇場」にて絶賛上演中!
2015年公開の細田守監督によるアニメーション映画「バケモノの子」を原作に、2022年4月に東京で開幕した本作。2023年12月~2024年5月には大阪でも上演を重ね、これまでの観客動員数は45万人を超えます。
今回は、物語の重要人物となる主人公・蓮/九太役を演じる内の一人、大鹿礼生(おおしからいき)さんにインタビュー!2024年6月には、大須観音にて成功祈願を行い、公演の開幕前から名古屋に足を運んでくださっている大鹿さん。舞台への熱い想いだけでなく、名古屋での思い出についてもお話を伺ってきました。
▼大須観音での成功祈願の様子はこちら
日刊KELLY|名古屋の最新情報を毎日配信!2024.06.14
劇団四季 オリジナルミュージカル『バケモノの子』名古屋公演の上演が決定!...
https://kelly-net.jp/enjoytoday/20240614070045112028.html
STORY
バケモノの世界・渋天街(じゅうてんがい)に迷い込んだ一人ぼっちの少年・蓮は、乱暴者だが心に強い信念を持つバケモノ・熊徹(くまてつ)と出会い弟子となり「九太」と名づけられる。熊徹はバケモノ界を束ねる次期宗師を、強さも品格もある宿敵・猪王山(いおうぜん)と争うこととなり、九太と共にぶつかり合いながらも修行を重ねる。猪王山の息子で九太と同世代の一郎彦は、自分にはバケモノらしいキバが生えてこない悩みを抱えていた。
バケモノと人間のあいだで「自分は何者か?」と揺れ動く九太。ある日偶然人間界に戻った九太は高校生の少女・楓と出会い、自身の生きる道を探し始める。やがて人間とバケモノ、二つの世界を巻き込んだ地軸を揺るがす大事件が巻き起こる。
実は自信がなかった一次審査
大鹿礼生さん
――劇団四季では入団をしてからも、役ごとのオーディションがあるそうですが、『バケモノの子』のオーディションへは、メインキャストとアンサンブルを合わせて、300名以上の俳優の方々が参加したそうですね。手ごたえはありましたか?
正直、一次審査はあまり自信がありませんでした。とりあえず通過はできたけど、上手くできなかったなと。ですが、蓮/九太は自分に合っている役だと感じてはいました。
――では、出演が決まった時の率直な感想というのは?
嬉しかったですね。「よかった!」と思いました。主演を務めることはもちろんですが、オリジナルミュージカルということで、一から創作することに対して、自分の意識を高めないといけないなと感じました。
テーマは“思春期”!ブラッシュアップされた蓮/九太に注目
――原作の世界観もある中で、演じる時に意識されていることがあれば教えてください。
基本的に原作の役に寄せることはしませんでした。自分の声で喋ることで逆に役が寄ってきてくれるよう、セリフの話し方を構築しましたが、すでに映画として1つの正解があるので、仕草や姿勢といった身体表現を真似することで、よりリアリティを出せるよう研究しました。
撮影:阿部章仁
――物語の中でも、特に蓮/九太は成長と葛藤が描かれる非常に奥深い人物ですね。彼の人間性や成長過程を舞台で表現する際、特に注意したポイントはありますか?
役を演じる上で、“思春期”を1つの大きなテーマに感じていました。もちろん、バケモノに育てられた経験はないので、そこをリアルに表現するのは難しい部分もありましたが、17歳の思春期独特の青臭さみたいなものを出せるように意識しています。
僕はもう20代後半なので、普通にセリフを話してしまうとちょっと大人っぽく見えてしまいます。もし自分が17歳だったらどういう反応をしているか、反抗期はどうだったか、どういう気持ちで親と接していたかということを思い出しながら演じています。
今だったら言葉を組み合わせて怒りを伝えることができますが、 やはり思春期って独特の爆発感がありませんか?「ご飯いらない」「学校休む」みたいな、低い声で端的に喋る感じを、熊徹との会話でも取り入れるようにしています。
撮影:阿部章仁
――人間の世界では蓮、バケモノの世界では九太と呼ばれ、二つの顔を持ち合わせるキャラクターですが、演じる上で苦労したことや難しさはありましたか?
元々、役が自分の性格に合っていたからか、特段難しいと思ったことはありませんでした。稽古の最初の頃は、演出の青木豪さんに「こういう風に役を作っていきたい」「今のどうでしたか?」と聞いていましたが、途中から「自分の思っているようにそのままセリフを話してくれれば、それがきっと役に繋がるから、変に考えたりしなくていい」と言ってくださって。そこからは、役がこうだからといった悩みはなくなりました。
また、大阪公演に向けてブラッシュアップする中で、東京公演では出し切れなかった蓮/九太の二面性をより強調させました。これこそ思春期のあるあるで、友達と話す時と、親と話す時とでは全然違うというようなことを表現できればと。人間界で出会う楓や熊徹の旧友の百秋坊と話す時は明るい感じに対して、熊徹と話す時はどうしても育てられた親という認識があるのでギクシャクしてしまう。そんな感情をより鮮明に演じられるよう心掛けています。
稽古で築いた関係性を舞台にスライド
撮影:堀勝志古
――役名もたくさん出てきましたが、共演者も多い中で、稽古や本番で印象に残った出来事を教えてください。
初演の時はコロナ禍ということもあって、班ごとに別れて稽古をしていました。顔もほぼ合わせられない中、同じ班だった熊徹役の伊藤潤一郎さんとは1回お芝居をしただけで、相性が合うなと感じたのが印象に残っています。
考えながらお芝居をする俳優や、とりあえず考えないでどんどん交流を重ねる俳優もいる中で、僕たちはどちらかと言うと後者のタイプでした。それが初期段階で分かったので、稽古をしていてとても楽しかったです。毎回の稽古が印象的で、有意義な時間でした。
――稽古を重ねることで、絆も深まっていったんですね!
そうですね!これまであまり交流のなかった先輩とも、稽古を通じて関係性を築けたと思っています。その方は役としても年上のキャラクターだったので、先輩との関係性と役としての関係性が稽古の中で一緒に作られていった感じがありました。それがそのまま舞台に生きています。
歌うことで、自分も「一人じゃない」と思える
――稽古中や本番で、蓮/九太の感情が特に自分の心に響いた瞬間はありましたか?
いろいろありますが、「バケモノの子」というナンバーでは「自分も闇を持っている、みんなも闇を抱えながら生きている」ということを歌っていますが、長く出演していると、いろんな出来事がありますし、気分が落ち込むことが絶対にあります。そんな中でも、本番でこの歌を歌っていると「一人じゃないよな、そうだよな」と思えました。この役を通して、自分も理解させられる部分が多いので、自分自身にも言い聞かせながら歌っています。
――ご自身の葛藤や成長経験と重なる部分もありましたか?
“成長”という部分で、自分の人生と重なるところが結構あります。子役時代には『ライオンキング』のヤング シンバを演じ、大人になって再び劇団四季の舞台に立って、子どもだったはずの自分が青年役を演じていることにとても成長を感じています。葛藤はもちろん、子役時代に共演したことのある先輩方とこの作品で再共演を果たしたりと、個人的な成長もたくさんあります。
『バケモノの子』が俳優人生の転機に
撮影:堀勝志古
――舞台を通じてお客さんにどのようなメッセージを届けたいですか?
学校や会社に行きづらいと感じられている方たちから、「辛いことがあっても、この作品を観てがんばろうと思いました」というメッセージが届いているのをたくさん拝見しました。
この作品には「胸の中の剣を握りしめろ」という大きなテーマがあります。人は誰しもマイナスな面を持っていると思いますが、それを否定しながら生きようとすると、結局飲み込まれてしまう。「それはあなた一人だけじゃない。自分もそうだし、周りもそうかもしれない」と肯定すると楽になるような気がしていて。
お客様には自分の人生と照らし合わせていただきながら、闇や影といった葛藤の先に何があるのかということをメッセージとして受け取ってもらえたら、この作品がより面白くなると感じています。僕はこの作品を通じて、「明日も頑張ろう」と思えるので、そう感じていただけたらうれしいです。
――舞台俳優人生を振り返った時に、『バケモノの子』での経験は、どういう位置付けになりそうでしょうか?
昔、子役をやっていましたが、実は1度、俳優業をやめていて。大人になって劇団四季に入団して、僕自身、まだまだ未熟なところがたくさんあると思っています。ですが、初めて主人公を演じることができたこの作品は大きな 1つの転機になった気がします。主人公の役で舞台に立つのは、最初は楽しみが大きかった部分もありますが、やっぱり毎日公演を続けていくことの大変さは痛感しました。
来年2月に千秋楽を迎えますが、振り返ってみると、自分の成長のきっかけになったことがたくさんありました。これからも俳優をやっていく上で、この作品で培ったものを忘れてはいけないと思います。初めて一人で歌ったことも、みんなに支えてもらって主人公が演じられたことも。また別の作品で主人公を演じることになっても、「お前はこの時、みんなに支えられて、初めて主人公として東京で初日を迎えることができたんだよ」ということを忘れないようにしたいです。
――今後挑戦してみたいことはありますか?
僕は芝居をすることがすごく好きなので、いつかセリフや芝居のみで構成された“ストレートプレイ”をやってみたいです。
そして今20代で、この作品では青年役を演じていますが、ずっと若い役を演じる訳にもいかないので、自分の引き出しにない役に挑戦してみたいです。
イチオシの名古屋グルメが盛りだくさん!この冬は家族で観劇を
『KELLY』を手に取り、「おいしい海鮮料理が食べられるお店が知りたくて!」と話す大鹿さん。
――ここまでは舞台についての熱い想いを語っていただきましたが、千秋楽は2025年2月9日ということで、この先も名古屋を訪れる機会が何度かあるかと思います。大鹿さんの名古屋のイチオシグルメはありますか?
どれもおいしくて迷いますが、昨日ウナギを食べて、やっぱり焼きウナギっておいしいなと思いました。実は食べてみたいものもあって、とてもおいしいとおすすめされた、ふわとろの卵が入った「オムレツサンド」!あとは、演出の青木さんと食べた「あんかけパスタ」も、また食べに行きたいです!
――たくさん出していただいてありがとうございます! 最後にKELLY読者に向けて、すでに舞台を観劇した人も、そうでない人も、何度も足を運びたくなるような、お気に入りのシーンや注目してほしい場面を教えてください!
注目してほしいシーンはお客様それぞれに感じるものがあると思いますので、「ぜひ劇場まで観に来てください!」ということを伝えたいです。映画やドラマとはまた違う、“生”の緊張感は舞台でしか味わえません。
東京、大阪と続いた『バケモノの子』の初演シリーズは名古屋でフィナーレとなるので、冬休みなど、この機会に劇場にお越しいただけたら嬉しいです!親子の熱い物語なので、家族みんなで観ても心に残る作品になっていると思います。
劇団四季 オリジナルミュージカル『バケモノの子』
問い合わせ
0570-008-110(劇団四季 ナビダイヤル、受付時間10:00~17:00)
公演期間
9月11日(水)~2025年2月9日(日)
会場
名古屋四季劇場(愛知県名古屋市中村区名駅南2-11-11)
チケット
https://www.shiki.jp/stage_schedule/?aj=0&rid=0089&ggc=0919#202412
作品紹介サイト
https://www.shiki.jp/applause/bakemono/
※掲載内容は2024年12月時点の情報です