福岡は愛犬に優しい街?ペット共生住宅管理士が紹介、後悔しないエリアとマンション選びのポイント
犬は外の小屋で番犬…ひと昔前はそんな飼い方が多くみられましたが、現在の犬の飼育場所は約8割以上が室内。散歩以外は家で過ごす“室内犬”が主流になり、都心部ではマンションで愛犬と暮らす家庭も増えています。そこで今回、ペット共生住宅管理士でもあるライター山本さんが、福岡で愛犬との生活を豊かにするためのマンション選びのポイントを、地域の特性を踏まえてご紹介していきます。
はじめに〜福岡は愛犬に優しい街?
福岡県における犬の登録頭数は令和5年においては約25万3千頭で、前年度(令和4年)の登録頭数約24万6千頭からおよそ7千頭増加(※)。全国的に見ると犬の飼育頭数は年々減少傾向にあるのですが、福岡県で犬と暮らす人は増えているようです。
福岡市内で見ると各区にはそれぞれ犬の散歩に適した大きな公園が整備され、公共のドッグランがある公園も(西区・西部運動公園ドッグラン、中央区・県営西公園ドッグラン)。医療施設では日中診察の動物病院の他、「福岡夜間救急動物病院(博多区月隈)」で受診ができるので万が一の時にも安心です。その他のペットサービスとして、ペットサロンやペットホテル、ドッグカフェが点在する福岡市は愛犬に優しい街と言えます。
※厚生労働省発表の「都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成26年度~令和5年度)」を参照
ペット共生住宅管理士が解説!福岡市内で愛犬と暮らすエリア選びのポイント
愛犬と暮らしやすい街の条件
車通りが少ない道や足への負担が少ない緑道など、愛犬の散歩に適した散歩道が整備されていることが理想的。自然に触れられる公園やのびのび運動ができるドッグランがあると愛犬のストレス解消にも繋がります。ペットOKのカフェやレストランなどの飲食店があれば、いつでも愛犬と一緒に過ごせるというメリットも。
また、地域住民の犬に対する理解や配慮がなされているかも重要です。まちに犬と暮らしている人が多いか、自治体が犬の飼い方教室やしつけ相談会などのペットに対する取り組みを行っているかを確認するのも良いでしょう。
福岡市で愛犬と過ごしやすい街をピックアップ
【中央区】
都心でありながら、大濠公園や舞鶴公園などの大きな都市公園があり散歩に便利。西公園にはドッグランが整備されています。福岡市動植物園の周辺は緑が多く公園も点在しているので、愛犬と暮らしやすいエリアです。犬連れOKのカフェやレストランもあり豊かなドッグライフを満喫できますが、家賃相場はやや高め。
【西区】
海に近く自然が豊かで、愛犬とのアウトドアを楽しみたい飼い主さんにおすすめ。西部運動公園のドッグランや民間のドッグラン施設も点在しています。ペットショップのある大型商業施設も充実しているので、買い物ついでにペットグッズを揃えるのにも便利。海沿いを中心に犬連れOKのカフェやレストランも充実しています。
【南区】
閑静な住宅街が多いベッドタウンで、公園や緑地、川沿いの散歩道が点在しているので愛犬とゆったりと散歩を楽しめます。中央区に隣接しているので、犬連れOKのカフェやレストランの利用にも便利。ペットと暮らす世帯も多いことから、動物病院の数は福岡市内でも南区が最も多くなっています(山本さん調べ)。
愛犬と暮らすためのマンション選びのポイント(立地編)
愛犬と一緒に快適に暮らせる環境かどうか、判断するポイントは安全性と利便性。交通量の多い大通りに面していると、万が一愛犬が飛び出してしまった際に交通事故に遭う可能性があるため、エントランスに面した通りの交通量をチェックしましょう。
定期的に利用する動物病院やペットホテルが近隣にあるかどうかも、場所選びの重要なポイントになります。特に愛犬の体調が急変した時に駆けつけられるよう、1km以内にかかりつけとなる動物病院があることが理想的です。
快適に暮らすための設備〜愛犬との暮らしをサポートするマンション設備とは
ペット共生マンションに多い設備〜共用部
・ペット用足洗い場…散歩やドッグランで汚れた犬の足を洗う専用の洗い場。
・ペットの乗車を知らせるエレベーター…他の人にエレベーターに犬が乗っていることを知らせる機能が付いたエレベーター。
・ドッグラン…敷地内や屋上にドッグランがあると、犬を運動させることができ便利。
・汚物ダスト…散歩中の犬の汚物を捨てられるダストボックス。
・リードフック…エントランスやエレベーター、玄関ドア前などに愛犬を一時的に繋ぐためのフック。鍵を出し入れする時などに便利。
ペット共生マンションに多い設備〜専用部
・ポーチ…玄関前に門扉やゲートを設けることで、犬の飛び出し防止や脱走防止に繋げます。
・ペット対応床材…犬の関節を痛めないように、滑りにくい加工をした床材。
・ペット対応壁材…消臭効果のある素材や、汚れにくい素材を使った壁材(クロス)。
・ペット用ドア…ドアの下に設けたペットが出入りできる扉。
・コンセントの位置…誤って犬が電気コードを齧って感電しないように、コンセントの位置が高めに設定されている部屋も。
・換気システム…犬特有のイヤな匂い対策として、空気清浄機やオゾン発生機を常設している部屋もあります。
設備選びのポイント
他の犬を見ると吠えたり攻撃的になったりする愛犬がいる場合は、ペットの乗車を知らせる機能がついたエレベーターがあると安心です。股関節に負担がかかりやすい大型犬や、膝蓋骨脱臼になりやすい小型犬は、滑りにくい床材を採用する物件を選ぶといいでしょう。
災害時は多数のペット連れが一時的に屋外へ避難することから、マンションの敷地内に一定以上のオープンスペース(駐車場や緑地など建物が建っていない土地)があるかどうかもチェックすると安心です。
ペットと暮らすマンション選びの注意点〜後悔しないために〜
マンションの管理規約で確認するべき点とは?
各物件のペット飼育規約には以下のような項目が定められているので、愛犬が該当するかどうかをチェックしましょう。
・飼育可能な動物の種類、サイズ、数
「成犬または成猫時の体重が10キロ以下の犬、猫、小動物(ウサギやハムスター、小鳥など)を1頭まで」などと定められているので、愛犬の種類やサイズ、頭数がオーバーしていないか確認しましょう。
・予防接種の義務
犬や猫を飼育する場合、ワクチン接種や狂犬病予防注射の証明書、犬鑑札の提出が求められることもあります。
・去勢や不妊手術の有無
去勢や不妊手術が済んでいるか、もしくは将来的に受ける予定があるかを細かくチェックされることもあります。
・しつけの有無
愛犬のトイレトレーニングの状況や無駄吠えの有無などを見て、入居審査が行われることもあります。
ペットの暮らしで注意すべきマナー
居室の外へ行く場合、廊下やエントランスなどの共用部ではケージに入れる、もしくはリードに繋ぐなどして愛犬の行動を制御できるようにしましょう。飼育は室内に限り、事故や脱走を防ぐためにベランダや専用庭で飼育したり自由に放したりしないように。ペットに関する近隣住民のクレームで最も多いのが鳴き声なので、無駄吠えのしつけや防音対策に配慮しておくと安心です。
鳴き声に次いでクレームの多い臭い対策については、定期的に愛犬のシャンプーやブラッシングに努めて衛生管理にも配慮しましょう。部屋の中が毛まみれになるからと、ベランダや専用庭でブラッシングをすると近隣に毛が舞うので絶対にNG。
ペット可物件を選ぶ際の注意点
まず、ペットと暮らせるマンションには大きく「ペット可マンション」と「ペット共生マンション」の2タイプに分けられます。
前者は動物が苦手な人も居住しているため、相互理解がないとトラブルが発生することがあります。
一方、後者は建物や居室にペットと暮らすための設備や工夫がなされている住宅のことで、全ての居住者がペットに理解があることが前提に建てられているのでトラブルが発生しにくいというメリットがあります。ただし、ペット可物件に比べて家賃が高めに設定されていることが多いのでよく検討しましょう。
居室を選ぶ場合、南向きの部屋は日当たりが良いことはメリットですが、夏場は室温が上昇して愛犬の熱中症のリスクが高まるので日除けや空調で対策ができるか確認を。
ダックスフンドやチワワなどの吠えやすい犬種、もしくは吠え癖のある犬は、エレベーターホール前など人が行き来するスペースの前の居室に住むと常に人の気配に反応して吠えてしまうことも。角部屋などの周囲の音が聞こえにくい部屋を選ぶと、愛犬も安心して過ごせる可能性があります。
福岡で愛犬と幸せに暮らすためのヒント〜地域コミュニティとの繋がり〜
福岡市には愛犬が安心して快適に暮らすためのコミュニティやペットサービスが充実しています。今回はその一部をピックアップしてご紹介します。
愛犬思いのペットホテル〜「マザーズドッグス(中央区平和)」
プードルカットに定評のあるペットサロン。約20年前に九州初の生食ドッグフードの専門店として多くの愛犬の健康に携わり、現在では“心の健康”にも貢献するためデイケア(犬の保育園)にも力を入れています。一人暮らしや共働きで1日の大半は1匹で留守番していたり、他の犬に触れ合う機会が少なかったりする犬を日中預かり、他の犬たちと過ごすことで社会性を育み、運動不足や問題行動の改善をサポートしています。
住所:福岡市中央区平和3-20-23 1〜2F
アクセス:西鉄バス平和3丁目バス停から徒歩2分
営業時間:9:00〜18:00
定休日:火曜日、水曜日
TEL:092-534-8001
駐車場:あり
Instagram:@mothersdogs
まとめ〜愛犬のことを知り、快適に暮らす最高の「福岡の住まい」を見つけよう
犬に対する住まいやサービス、コミュニティが充実している福岡は、愛犬家にとって暮らしやすい街。ただしそれらのメリットを最大限に生かすために大切になるのは、“愛犬のことを知ること”です。しつけはどの程度できているか、どんな時に問題行動を起こしやすいか、どんな場所が好きか。常に愛犬のことを観察して、個性を理解しておきましょう。
この記事のアドバイザー
ペットライター 山本佳世
ペット雑誌編集部に10年所属し、ペットに関わる記事の編集企画やペットイベントの運営に携わっていました。現在はペットライター(フリーライター)として活動し、ペット関連の記事執筆や監修に携わります。愛玩動物飼養管理士、ペット共生住宅管理士の資格を有し、犬や猫と快適に暮らすためのアドバイスも提供しています。