シャウエッセンのストライプ柄が「位置商標」に登録 広がる企業のブランド保護と知的財産戦略
日本ハム(大阪市北区)は4月22日、あらびきウインナー「シャウエッセン」の象徴的なストライプ柄が、4月2日付で「位置商標」として登録されたと発表した。
位置商標は、商品の特定の位置に表示された図形などを保護する商標であり、模倣品の流通防止やブランドの識別性確保に資する手段として、近年企業の間で活用が広がっている。
40周年を迎える「シャウエッセン」のストライプ柄が位置商標に登録
日本ハムが位置商標として登録したのは、シャウエッセンのパッケージ上下に配された、薄い茶色と濃い茶色のストライプ柄の図形である。
シャウエッセンは1985年に発売され、今年で40周年となるロングセラーブランド。同社は「発売当時、ストライプ柄を基調としたデザインは非常に斬新で、40年経った現在もブランドの象徴として親しまれている」としている。
同社は今回の位置商標への登録を「長年にわたりデザインを守り続けてきた結果、ロゴやブランド名を除いた、上下に付されたストライプ柄の図形だけでも、お客さまにシャウエッセンと認識いただけるようになったことによるもの」とコメントしている。
2015年に導入された「位置商標」とは
位置商標とは、2015年に導入された新たな類型の商標である。特許庁はこれを、図形商標等の一種と位置づけ、標章とその付される位置との組み合わせによって構成されるものと定義している。
たとえ標章自体に識別力が乏しくとも、常に同一の位置に付されて使用されることにより、識別性を獲得し得る点が大きな特徴である。
特許庁は具体的に、以下のように位置商標を定義している。
・【法的位置付け】
・位置商標は、図形商標等の一種として扱われている
・位置商標は、標章と位置の組み合わせによって構成される
・【識別性】
・標章に識別力がない場合であっても、常に同一の位置に付されることによって、位置商標が識別力を獲得することがある
・位置商標は、位置だけでは識別力を発揮することはない
特許庁は、「標章の位置によって識別力を獲得し、商標登録が認められる場合がある」とし、たとえ「極めて簡単で、ありふれた標章のみからなる商標」であっても、その標章が特定の位置に一貫して付されることで、識別力を獲得する可能性があるとの見解を示している。
キユーピー、日清HDの位置商標事例 図形だけでも識別力が発生し、認められる
こうした位置商標を活用したブランド保護の取り組みは他社でも広がっている。
日清食品ホールディングス(東京都新宿区)は、主力商品「カップヌードル」の上下の帯型の図形を2018年に位置商標として登録した。同社は「帯型の図形だけでも消費者に『カップヌードル』と認識されるようになった」としており、図形そのものの識別性が評価された形である。
また、キユーピー(東京都渋谷区)も、主力商品「キユーピー マヨネーズ」のパッケージに用いられている赤い網目模様を2015年に位置商標として登録した。網目模様は通常、地模様として識別性がないとされるが、長年にわたり使用し続けた結果、商標としての識別性が認められた。
「音」や「動き」も商標に 新しいタイプの商標保護制度
特許庁では、位置商標に加え、音商標や動き商標といった新たな商標制度も導入している。音商標はCMや店内放送などの音を、動き商標はテレビ画面やコンピューター画面上で変化する図形や文字の動きを、それぞれ商標として保護する仕組みである。
月刊総務オンラインでも、「立体商標権」などが位置商標以外にもあることを伝えており、明治(東京都中央区)のチョコレート菓子「きのこの山」に関する知的財産保護の取り組みを紹介している。
日本ハムの発表の詳細は公式リリースより確認できる。
また、特許庁の商標の保護制度については公式サイトより確認できる。