「はやくしなさい!」つい言っちゃう大人にグサっとくる…子どもの気持ちを代弁した泣ける絵本
子どもだけでなく大人も楽しめる絵本を、絵本セラピスト協会認定「大人に絵本ひろめ隊員」、そして2児の母でもある、HBCアナウンサーの堰八紗也佳(せきはち・さやか)がご紹介します。
先日まで札幌市の中央図書館で、「大人にも読んでほしい絵本」が展示されていました。
“大人に絵本ひろめ隊員”の私としては、見逃せない展示です!
『100万回生きたねこ』などの名作も並ぶ中、私の目に留まった一冊は、可愛らしい“ブタ”が表紙に描かれた絵本でした。
軽く笑える内容を想像して開いてみると…、まるで今の私を描写したかのようなリアルな育児のようすが、“子ども目線”で表現されていました。
これは、思いがけずグサッと心に突き刺さる……。
子育てに関わるすべての人にぜひ読んで欲しい絵本です。
『コブタの気持ちもわかってよ』(幻冬舎)作・小泉𠮷宏
私が図書館で借りたものはベネッセからの出版でしたが、こちらは絶版となり、現在は幻冬舎から復刊されているようです。
表紙には、白い背景の真ん中にたたずむ、寂しげなコブタが一匹。
おそらくコブタは、小学校低学年くらいのお兄ちゃん。
コブタは、周りの虫や花を見たいのに、「早く歩きなさい!」と言われて残念なようです。
せっかくできるようになった逆上がりを報告したのに、聞いてもらえなくて寂しいようです。
大きな声で泣き始めたら、「泣くな!」と言われて、悲しみを吐き出す場所がなくなり、困っているようです…。
「お兄ちゃんなんだから」
「早くしなさい!」
「こんなことで泣かないの!」
「いま忙しいの」
子育て経験のある人なら、つい口にしてしまったことのある、ドキッとするような言葉ではないでしょうか。
恥ずかしながら、我が家では日常茶飯事で飛び出すワードです。
特に、長男(5歳)に対して……。
思い返してみると、二男が産まれて以降、長男には色々と我慢させることが多くなってしまっています。
例えば、長男が一生懸命作ったブロックを二男に壊されて怒っているとき…。
私が「そんなの仕方ないでしょ。」と言ったことがありました。
長男は黙って違う遊びを始めました。
こんなとき、「せっかく作ったのに、壊されて悲しいよね。でもちゃんと見たからね!」など、もう少し長男の心に寄り添った発言ができたかもしれません。
悔しい思いをしながらも、大好きな弟のお世話を積極的に手伝ってくれる、心優しいお兄ちゃん。
そんな優しさを、ちょっとしたことで壊してしまう可能性があるかも……と猛省。
コブタの絵本のおかげで、立ち止まって大切なことに気づくことができました。
心の運転マニュアル本『ブッダとシッタカブッタ』小泉𠮷宏
それにしても「どこかで見たことのあるブタの絵だな」と思っていたら、著者の小泉𠮷宏さんが描いているブタの漫画が、我が家に2冊もありました!
これは、私が小学生のとき、母が買ってきてくれたものです。
なにしろ私は“ブタ大好き少女”として、家族や友人の間でも有名でしたから(笑)
ただ残念ながら、漫画の内容は、当時の私に全く響かず…。長い間本棚で眠っていました。
あれから約30年!
これを機に読み返してみると、大人になった私の心に響く響く!!
「人生は悲しみがあるから喜びを感じられる」
「そのまんまのきみでいい」
そんな言葉とともに“心の運転マニュアル”として、当時話題になったベストセラーのようです。
まさに“大人のための”漫画だったのですね。
これからは本棚の奥ではなく、手前に置いて、いつでも手に取れる心のよりどころにしようと思いました。
絵本を読んで反省した私が最近変わったこと
毎日大変な育児のひとつ“寝かしつけ”。
これまでは、二男が寝るとすぐに、「お兄ちゃんも早く寝て」と言っていましたが、最近は「ようやく寝たから、ちょっと2人でお喋りしようか」と言って、5分くらい枕トークをするようになりました(笑)
最近は「ママ、今日も寝る前にお話しようね」と言って、その時間を楽しみにしてくれています。
枕トークの内容は、「ママ、小学校って何するの?楽しかった?」など、長男からの質問攻めで、私にとっても楽しいひとときです。
【協力】
札幌市 中央図書館
住所:〒064-8516 札幌市中央区南22条西13丁目1番1号
電話:011-512-7320
交通案内:市電「中央図書館前」下車すぐ
じょうてつバス「南21条西11丁目」から徒歩7分
駐車場:有(82台)
開館時間:月~金:9時15分~20時00分
土・日・祝:9時15分~17時00分
【参考】
ちゅうおうとしょかんの行事(ぎょうじ)/さっぽろ市の図書館キッズページ