『柳川クリーク』でブラックバス連打【福岡】クランクベイトでの日陰狙い撃ちが的中
世間が待ちに待った大型連休ゴールデンウィークまっただ中の5月2日。福岡県柳川市に張り巡らされた掘割、通称「柳川クリーク」にて、陸っぱりバスフィッシングを楽しんできた。
掘割「柳川クリーク」
どんこ舟に乗って柳川城の掘割を巡りつつ水面から歴史や文化に思いをはせる川下り。船頭は長い棒を使い器用に操船して橋や狭い水門をくぐる……一度は目にしたことがある光景ではないだろうか。柳川の掘割の歴史は古く、弥生時代からその原型は存在し、海抜が低く平らな干拓地で真水の確保ができなかったので掘割を掘り、雨水を溜めて生活用水として利用、掘って出た土を使って陸化し住宅を建てるために活用した。
掘割の全長は930mにおよび、これらを緻密に計算しながら手掘りで掘ったという先人の知恵と努力には驚かされる。そんな掘割は、江戸時代には現在の形になり柳川城の防衛として、高度経済成長期の1970年ごろには水道インフラが整備され飲料用水としての役目はほぼ終えた。そのころ、生活排水による水質悪化もあって埋め立てが検討されたが、地域の人々の努力もあり水質は改善され、現在は主に農業用水として形を残している。今回は、そんな歴史と地域の想いが詰まった水郷柳川の掘割「柳川クリーク」で陸っぱりバスフィッシングを楽しんできた。
ポイント&時期を把握
午前8時ごろに到着。メンバーは小倉赤坂海岸店の秦店長、ルアースタジアムの岡井さん、私の3人。「精米所前」という愛称で親しまれている100円駐車場に駐車。地元の農家の方の厚意で釣り人に向けて開放されている駐車場で非常にありがたい。
クリークは基本的にこの駐車場を拠点に釣り歩き、風向きや太陽の角度などを意識しながら攻略していく。南北に延びる筋が良いのか東西の筋が良いのか、石積みが良いのか水門が良いのか……どれも同じに見えるが筋によってそれぞれ特徴があり、その特徴をいかにとらえるかで釣果に結びついていく。
また、どのフィールドでもいえることだが時期ごとのブラックバスの状態を考察することが重要だ。GWの九州の平野部ではバスの産卵行動は後半に差しかかっており、産卵行動の疲れが残っていて早い動きはまだできない。そして産卵行動でついた傷をいやすべく太陽光に当たるように水面に覆いかぶさった木やブイや垂直護岸が形成する日陰などに浮きたがる魚が多い時期だ。そういった産卵行動直後の状態を念頭にルアーや狙う場所を選ぶ。
クランクベイトで日陰を攻略
エントリーしたのは東西に延びる筋。一日を通して太陽光がほぼさえぎられることなく降り注ぐため水温上昇が早く、朝の放射冷却による冷え込みからの回復もはやい。また、攻略のキモとなる日陰も少なく限られるため、逆に魚を絞りやすい。日陰を形成する木やブイや垂直護岸に狙いを絞り、右岸と左岸に分かれて流していく。
選んだルアーは、フラットサイドクランクと呼ばれる細身のクランクベイトと大型の金属リップが搭載されたメタルリップのクランクベイト。一見キワモノな選択に見えるが、非常に理にかなっている。
前者は巻くとパタパタと左右に倒れるようなアクションし、これをシェイクしながらゆっくり巻くことでさらに大きく左右に倒れ込むようにアクションする。ただ巻くより短い距離で多くアピールできる。後者はゆっくりトロトロ巻くことで大型の金属リップをギラギラと反射させながら、メトロノームのようにゆっくりお尻を振って泳ぎ、反射とブンブンというアクションで口を使わせる。ハイピッチとローピッチのこれらのルアーをローテーションし、数少ない日陰に丁寧にアプローチしていく。
読み通りバスをキャッチ
前半から読みが当たり、複数の好条件が重なったスポットでは狙い通りに反応があった。ちなみに産卵行動前か後かの判断だが、額の噛み傷の有無などをひとつの指標にしている。産卵行動時にオスがメスの頭や体を噛む習性があるため、噛み傷の有無が状況をとらえるのに役立つ。
私と岡井さんの後方を釣り歩いていた秦店長は一段下のレンジに落ちている魚をダウンショットで狙い、タイプの違う魚をおさえの釣りでキャッチしていた。おそらくこの日の正解に近いパターンに早くたどり着いたため、連休の渋滞も考えて余裕をもって納竿した。
歴史ある釣り場を残そう
執筆にあたって、形や役割を変えて代々受け継がれていく柳川クリークの歴史を知ることができた。現在は農業用水だけでなく地元の釣り人にとっての「安近短」の釣り場としての役割も担い、また縦横無尽に流れる特異的な形状と安定した釣果から、近年は釣り雑誌やYoutubeで紹介される知名度のある釣り場となった。何より釣り人に向けた駐車場の設立などは稀有な例である。
反面、他の釣り場に比べても地域の暮らしと密接な距離と関係があるため問題が起きやすいということは各々が理解しておく必要がある。今後、柳川クリークの長い歴史の一部としてバスフィッシングという文化が溶け込んでいけるかどうかは私たちバスフィッシャーマンの立ち振る舞いにかかっている。
地域と釣りの共存という良きモデルケースとして進んでいけることを切に願っている。無論、どのフィールドでも「釣りをさせてもらっている」立場の私たち釣り人全員がマナーとモラルある行動を続け、地域と共存できれば、どの釣り場にも明るい未来が待っているだろう。
柳川クリーク釣行の際は、釣具のポイント八幡本店2Fルアースタジアムをぜひご利用を。豊富な品揃えと、親切丁寧なスタッフがみな様の釣りをサポートいたします!
<週刊つりニュース中部版 釣具のポイント八幡本店 フィッシングマイスター 光田/TSURINEWS編>