注目選手 バスケットボール女子(2) チームを背負うエースの現在地 【大分県】
初めての公式戦を経て、新チームの土台は固まりつつある。チームをつくる上で核となるエースの存在は大きい。今回はバスケットボール女子・県高校新人大会でベスト4チームのエースの現在地をチェックした。
悔しさを力に、新主将の誓い
中島綾香(明豊2年)
得点力3 アシスト力4 リバウンド力4 ディフェンス力5 経験5 ポテンシャル4
1月の県高校新人大会決勝。序盤からチームを引っ張るはずだったエースは、第1クオーターで無念の負傷となった。足首を痛め、ベンチで戦況を見守るしかなかった中島の目には、焦りと悔しさがにじんでいた。エースを欠いたチームは徐々に点差を広げられ、最後まで巻き返せずに敗退。「先輩たちが昨年から無敗を続けてきたのに、途切れてしまった。申し訳ない」。試合後、唇をかみしめ、悔しさを隠さなかった。
昨年のチームでは3年生主体の中、流れを変える6番手として活躍。1年の頃から上級生と肩を並べてプレーし、その経験の豊富さは際立つ。どのポジションでも柔軟に対応し、チームにとって欠かせないバランサーだ。杉山真裕実監督も「派手さはないが、ここぞという場面でしっかり点を決め、アシストもできる。ディフェンスでは相手のエースを封じ込める職人タイプ」と絶大な信頼を寄せる。
その実力とリーダーシップを買われ、新チームではキャプテンを任された。新体制で挑んだ最初の大会では優勝を逃したものの、すでに前を向いている。悔しさを胸に刻み、「もう一度、頂点を目指す」と力強く話す。
強い中津北を取り戻すエースの覚悟
松本彩来(中津北2年)
得点力4 アシスト力4 リバウンド力3 ディフェンス力4 経験3 ポテンシャル4
鋭いドリブル、意表を突くパス、そして正確なシュート。トリッキーなプレーを武器とし、1対1の場面では圧倒的な強さを誇る。その得点力でチームをけん引するが、決して自己中心的なプレーをするわけではない。周囲を冷静に見渡し、チームメートの持ち味を最大限に引き出すアシストもできる。攻撃の中心でありながら、試合をコントロールする役割も果たせる選手だ。
しかし、県高校新人大会の準決勝では明豊の執拗(しつよう)なマークに苦しみ、本来の持ち味を発揮できなかった。思うように得点を重ねられず、試合後には悔しさをにじませた。「どんなにマークされても得点できる選手にならなければいけない」。その言葉には、悔しさとともに成長への強い決意が込められていた。
大津留礎監督は松本の伸びしろに期待を寄せる。「聞く耳を持ち、素直にアドバイスを受け入れることができる。エースとしての自覚を持って、自分のプレースタイルを確立できれば大化けする」。その言葉通り、まだまだ進化の余地がある。
中津北は2022年の全国高校選手権大会(ウインターカップ)以来、全国の舞台から遠ざかっている。「強い中津北を取り戻す」。その強い覚悟を胸に、エースとしてチームを勝利へ導く。
(柚野真也)