トランプ大統領の留学生に対する締め付け 学生に影響は
先日、アメリカのトランプ政権が、アメリカに留学を希望する人の学生ビザの面接の予約・受付を一時停止するよう指示したと報じられました。
ビザの面接一時停止 影響は
留学を希望する学生には、どんな影響があるのか、オンラインの海外進学塾 Crimson Education Japan 代表 松田悠介さんに伺いました。
Crimson Education Japan 代表 松田悠介さん
ビザを発給するために面接が必要なんですけれども、その面接業務の停止が発表されました。未来永劫、停止ということではなくて、すでに日本のアメリカ大使館においても、7月や8月の面接は予約ができるようになっていますので、どちらかというと直近数週間の停止ですね。これから留学を考えている受験生については、もしまだ面接が予約できてない場合は、直近数週間、面接の予約がとれない状況にはある。親御さんや生徒さん、不安を感じていて、受講生500名くらいいますけど、そのうちの5、6人が連絡をしてきた感じではありました。中には「この先、米国が不安定な状況で、どうなるか分からない。自分の子どもには、そういった心配はなるべくかけさせたくない」と。そういった場合は、アメリカではなくて、カナダとかヨーロッパを視野に入れていったり、米国を軸に目指していきつつ、選択肢を広げていくという考え方が一般的なのかなと思いますね。
不安な声があがったのはおよそ500人のうち5、6人と、そこまで多くはないそうです。
ビザの面接の一時停止の影響についても、松田さんの海外進学塾では、今年留学予定の学生は、ほとんどすでに面接が終わっている、面接の予約ができている状態なので、影響はない状況だということでした。
今、留学生をめぐる様々な動きがありますが、この海外進学塾では、今回の件でアメリカを完全に諦めるという受講生はいないそう。ただ、アメリカのほかにヨーロッパなども併願する人は出てきているということでした。
ハーバード大学の留学生の様子は
では、留学生受け入れ認定の取り消しなど、トランプ政権が圧力を強めているハーバード大学に留学している人は、今どんな状況で、どんな思いなのか、再びCrimson Education Japan 代表 松田悠介さんのお話です。
Crimson Education Japan 代表 松田悠介さん
あの発表が出たときは、ちょっと驚きましたけれども、右往左往するんではなくてやるべきことに集中していきましょうというメッセージは、うちの受講生には発信していました。現在ハーバード大学で学んでいる元受講生とやりとりをして、話を聞いていたんですけれども、最初はやっぱりみなさん驚いていましたと。すぐに大学側も「留学生のことは守る。留学生あってのハーバード大学である」という力強いメッセージが発信されていたこともあって、すぐにみなさん安心されている状況ではありましたね。自分たちが騒いだり不安になっても、状況が良くなるわけではないので自分たちがやるべきことに集中しようという感じではありましたね。今は留学生本人たちが声をあげると、どこのSNSに引っ掛かるか。捜査員も結構たくさんキャンパス上にいるみたいなので、そこは慎重になっているみたいですけれども、アメリカ国籍の同級生がかなり力強くメッセージを発信したりとか、心強いとも言っていましたね。
留学生たちも落ち着いていて、今は夏休みに入ってそれぞれの研究活動やインターンシップなど、できることをやっているそうです。松田さんは「このゴタゴタはしばらくは続くと思うけれど、留学生の受け入れが完全に今後なくなるということは考えにくいので、落とし所を見つけて進んでいくのでは」と話していました。
1年の留学義務がある大学は
ここまで海外進学塾の話でしたが、秋田市にある国際教養大学では、学生に1年間の留学を義務付けています。この留学をめぐるニュースを受けて、どのような対応をとっているのか、国際教養大学 国際センター長 伊藤美香さんに伺いました。
国際教養大学 国際センター長 伊藤美香さん
その報道があったとき、たまたまアメリカに出張でいたんですが、アメリカに留学予定の学生に「今回留学ビザ面接の新規予約が一時停止となったというニュースが出たけれども、この決定は新たな措置が出るまでの間のことなので、とにかく慌てないように。最新の情報を得るように。そのほかできる手続きを進めるように。とにかく一緒に様子を見ていきましょう。安心してください」というメールを発信しました。学生からは特に不安な様子を書いてくるメールはなくて、淡々とサポートをして、学生も付いてきてくれている感じです。アメリカに留学予定の学生全員と順次面談して、学生の不安の解消に努めるとともに、アメリカへの留学の意思を改めて確認しているところです。留学中の学生180名のうち、アメリカに留学している学生が23名います。留学中も、学生は日本にいる担当者とコミュニケーションが取れる状態なので、必要に応じてアクションを取るようにしています。
(キャンパス風景 写真提供:国際教養大学)
(大学での授業の様子 写真提供:国際教養大学)
国際教養大学は、学生およそ850名が在籍していて、すべての授業を英語で行なっています。提携している52の国と地域の、208の大学に1年間留学することになっていて、特に提携校が多いヨーロッパに行く学生が多いそう。
伊藤さんは「この先どんな展開になるか分からないけれど、考えられるシナリオを立てて、タイムリーに判断して対応していく必要がある」と話していました。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)