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〈対談〉横浜流星(蔦屋重三郎役)×染谷将太(喜多川歌麿役)【NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 完結編】

NHK出版デジタルマガジン

〈対談〉横浜流星(蔦屋重三郎役)×染谷将太(喜多川歌麿役)【NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 完結編】

甘え、時に離れ、高め合っていく

蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)に見いだされ、絵師としての才能を開花させた喜多川歌麿(きたがわ・うたまろ)。両者の濃密で複雑な関係性について、今回が初共演となる2人が、収録の裏話とともに語ってくれました。

今回は、10月18日発売の『NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~完結編』より、主演・蔦屋重三郎役の横浜流星さんと、喜多川歌麿役の染谷将太さんによる対談をご紹介します。

(※NHK出版公式note「本がひらく」から抜粋)

『NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~完結編』表紙

「べらぼう」が初タッグ 共演はお互いに念願だった

横浜流星(以下「横浜」) 染谷さんが出演された映画作品を見てきたこともあって、「いつかご一緒したい。チャンスがあるのは、やはり映画?」と思っていました。それがまさかの大河ドラマ、しかもとても近しい役柄だったので、うれしかったです。

染谷将太(以下「染谷」) 僕も流星君と共演したいと思っていました。今作での喜多川歌麿は、「唐丸(からまる)」と呼ばれた子ども時代が描かれたので、その間に蔦重(つたじゅう)とどんな関係を築くのか、前半の展開を画面越しに見守っていました。

横浜 染谷さんとのシーンは、とある絵を見た蔦重が、「これを描いたのは唐丸にちがいない」とピンときて、その住まいを訪ねるシーンから始まりました。そして会った瞬間、「記憶の中の唐丸が目の前にいる!」と思えたんです。今回が初めましてなのに、そう感じさせてくださったことに感謝しています。

染谷 いやいや。僕も「べらぼう」の現場に入るなり、流星君が蔦重にしか見えなかった。“蔦重義兄さん”としか思えなかったです。芝居をしていても楽しい。流星君が「こんなこともできる、あんなこともできる」と一緒にやってくれるので。

横浜 それは、染谷さんのお芝居あってこそです。大人になった唐丸に対して、兄貴気取りでその頭をなでたり、肩を組んだりできたのも、染谷さんが“昔からの弟分”としていてくださったからです。

染谷 それで言うと、昔はなんの気なしに肩を組んだりしていたのが、歌麿の蔦重を意識する気持ちが強くなることで、触れ合う瞬間一つ一つに意味が生まれてきているのがおもしろいと感じています。以前と同じようでいて、少しずつニュアンスが変わっているという……。

横浜 蔦重も歌麿も史料が少ない分、脚本の森下佳子(もりした・よしこ)先生が書かれるそうした描写がおもしろく、いつも新鮮な驚きがあります。森下先生は、狂歌師(きょうかし)や戯作者(げさくしゃ)たちもおもしろく描いていて、宴席で大集合するシーンなどは、僕自身も楽しかったです。

染谷 みんな好き勝手に動き回っていましたよね(笑)。

横浜 桐谷健太さん(大田南畝)、古川雄大さん(北尾政演)、岡山天音さん(恋川春町)、尾美としのりさん(朋誠堂喜三二)など、それぞれ皆さんが自由気ままに(笑)。

染谷 いちばん盛り上げてくれたのは、桐谷さんでしたね。「そこをおもしろがれるんだ!?」という切り口を見つける天才で、大田南畝の役柄そのもので(笑)。とにかく桐谷さんの言うことがいちいち笑えて、現場がどんどん温まっていった。

横浜 そうでした(笑)。

染谷 おていさんが狂歌師や戯作者たちのふざけた踊りの輪に生真面目に参加するシーンも最高におかしかった。橋本愛ちゃんが「こうかな、ああかな」と必死に妙な踊りを覚えようとする姿がほほえましかったな(笑)。

どう表現すべきか2人で話し合ったことも

横浜 蔦重は世の中がどんなに重苦しい状況になっても、すべてをエンターテインメントに変えていく。その精神性は本当にすごいし、自分もエンタメの世界で生きているだけに、刺激をもらうことが多いです。

染谷 ほんとに“べらぼう”な人ですよね。「これはやるしかねぇだろう」となったら周りが見えなくなるほど夢中で突き進む。しかも肩ひじを張るわけでもなく、自然にそれができてしまう。一つの才能だと思います。

横浜 行動が読みにくいだけに、毎回の台本が楽しみです。

染谷 僕も台本を読むのが楽しくて、それと同時に「この場面を表現するのは難しいぞ」と思うことがよくある。「まさかこんなことになるとは!」という展開が多いし、台本のおもしろさを損なわないよう、自分の役回りをいかに全うしたらいいか、毎回考えさせられます。

横浜 確かに難しいと感じることが多いです。例えば、蔦重は人の想いに鈍感なところがあります。幼なじみの花の井(5代目瀬川)の想いに対してもそうでしたが、歌麿に対しても、吉原時代のお互いを知る仲で、いちばん大切にしなきゃいけない存在なのに、とかく無頓着な言動をとってしまう。そこにはある種の甘えがあって、「俺は歌麿のことを誰よりも分かっている」という過信もあるのだと思います。

この続きは、10月18日発売の『NHK大河ドラマ・ガイドべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~完結編』でお楽しみください。

取材・文=髙橋和子 撮影=山田大輔
ヘア&メイク=永瀬多壱(VANITÉS)(横浜さん)、廣瀬瑠美(染谷さん)
スタイリング=根岸 豪(横浜さん)、林 道雄(染谷さん) 
衣装協力=ジョルジオ アルマーニ ジャパン(染谷さん)

横浜流星(よこはま・りゅうせい)
1996年生まれ、神奈川県出身。2011年、俳優デビュー。主な出演作に、ドラマ「初めて恋をした日に読む話」「私たちはどうかしている」「着飾る恋には理由があって」「DCU」、映画「きみの瞳が問いかけている」「嘘喰い」「流浪の月」「アキラとあきら」「線は、僕を描く」「ヴィレッジ」「春に散る」「正体」「片思い世界」「国宝」など。大河ドラマは初出演。

染谷将太(そめたに・しょうた)
1992年生まれ、東京都出身。主な出演作に、ドラマ「聖☆おにいさん」シリーズ、「ブラッシュアップライフ」、映画「寄生獣」シリーズ、「ベートーヴェン捏造」など。NHKでは、連続テレビ小説「なつぞら」、「17才の帝国」「いちげき」など。大河ドラマは「龍馬伝」「麒麟がくる」などに出演。

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