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職場のトイレは心身を整える「居場所」 LIXIL×横浜市大がウェルビーイングとの関連性を調査

月刊総務オンライン

職場のトイレは心身を整える「居場所」 LIXIL×横浜市大がウェルビーイングとの関連性を調査

LIXIL(東京都品川区)は11月10日、横浜市立大学と共同で実施した「ウェルビーイングと職場のトイレ環境の関係」に関するウェブ調査の結果を発表した。

この調査では、トイレが単なる生活インフラではなく、働く人のメンタルヘルスやエンゲージメント、ひいては生活全体の幸福感にまで影響を及ぼすことが、データから明らかになった。さらに、満足度を左右する要因には男女で明確な違いがあり、今後の職場環境づくりには「一律対応」ではなく、「配慮の設計」が求められることも明らかになった。

トイレ満足度が仕事と生活に影響 

今回の調査では、統計的手法である変量効果モデル※(Random Effects Model)を用いて、職場のトイレに対する満足度が「仕事の満足度」や「生活全体の満足度(Subjective Well-being:SWB)」に与える影響を分析した。

※変量効果モデルとは

回答者の性別や年齢など、個人の属性によるばらつきを考慮しつつ、全体としての傾向を抽出する統計モデル。「個人差をノイズとして扱わず、分析に取り込む」ことで、より現実的で実践的な知見を導き出せるのが特徴。

この分析により、以下のような結果が得られた。

 ・職場のトイレに対する満足度は、仕事の満足度に有意な正の影響を与える。

 ・さらに、仕事の満足度は生活全体の満足度(SWB)に寄与する。

この「トイレ → 仕事満足度」の影響には男女差が見られず、満足度の形成がその後の働き方に好影響を与える構造が示された。

職場のトイレの満足度が、仕事の満足度に与える影響のモデル(※画像クリックで拡大)

トイレ満足度の鍵は「男女で異なる構造的ニーズ」への対応

分析では、トイレ満足度に影響する要素をランキング化し、男女別の傾向を明らかにしている。

男女共通で重視されるのは「空間のゆとり」と「においの低減」であり、この2点は「基本的快適性」として、性別を問わず最低限クリアすべき条件といえる。

男性は「機能性」と「視覚的快適性」を重視

男性が高く評価した要素は以下の通り。

 ・嫌なにおいがしない(係数:0.191)

 ・空間のゆとり(0.173)

 ・明るさ(0.140)

 ・清潔さ(0.132)

 ・洗面台の広さ(0.117)

 ・洗面台の鏡の大きさ(0.110)

中でも「明るさ」や「洗面台の広さ」は、身だしなみを整える機能的な快適性として、男性の満足度向上に大きく寄与している。

女性は「清潔さ」と「細やかな配慮」を重視

一方、女性が重視した要素は以下の通り。

 ・清潔さ(0.262)

 ・空間のゆとり(0.199)

 ・小物・手荷物の置き場所(0.126)

 ・嫌なにおいがしない(0.125)

 ・コート・上着を掛ける場所(0.096)

 ・室温(0.067)

「清潔さ」は女性の満足度を最も強く左右する要素であり、優先的な改善項目となる。さらに、荷物置き場や室温、コートを掛ける場所といったきめ細かな配慮が、女性特有のニーズとして浮かび上がった。

研究者が語る、トイレから見える働き方と幸福の新しい関係

今回の調査結果について、研究を担当した研究者は以下のようにコメントしている。

横浜市立大学データサイエンス学部 上田雅夫教授

職場のトイレの満足感が仕事や生活の満足感にまで影響を及ぼすという仮説を、データにより裏付けることができました。

職場トイレは改善可能な要素でありながら、その影響が幸福感にまで波及するという点は注目に値します。

ただし、満足度を構成する要因は男女で完全に一致するわけではなく、この違いをどう設備設計に反映するかが次の課題になるでしょう。

横浜市立大学先端医科学研究センター コミュニケーション・デザイン・センター 西井正造助教

今回の調査で、トイレという一見ささやかな空間が、人々の幸福感に深くかかわっていることが確認できました。

トイレは単なるインフラではなく、心と体を整える「身近な居場所」です。

適切な環境整備は「幸福と健康」の両方を高めるイネーブリング・ファクター(促進因子)として機能し得ることを、今回の結果は示しています。

トイレWeekとSDGs 今、トイレについて話す理由

今回の発表日は、11月10日の「いいトイレの日」。この日から19日の「世界トイレの日」までを、日本トイレ研究所(東京都港区)は「トイレWeek」と定め、全国で啓発活動を行っている。

LIXILもこの取り組みに賛同し、2024年のトイレWeekでは、全国の小中学生約2万5千人に「トイレの教科書」や「うんちチェックシート」を配布。排せつや衛生について考える機会を提供している。

世界に目を向けると、2024年時点で約34億人(世界人口の約4割)が安全なトイレを使えない状況にある。こうした衛生環境の未整備は、感染症のまん延、幼児死亡率の上昇、教育格差や女性への暴力といった深刻な社会課題と密接に関係している。

国連のSDGs(持続可能な開発目標)では、「全ての人びとに衛生的なトイレを(ターゲット6.2)」を掲げており、LIXILは低価格製品の提供や国際的な連携を通じて、この課題解決に取り組んでいる。

LIXILのグローバルな衛生課題への取り組み(※画像クリックで拡大)

調査結果の詳細は、LIXIL公式リリースで確認できる。また、LIXILの活動については、同社公式サイトの「トイレWeek2024」や「グローバルな衛生活動」のページで確認できる。

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