<春季高校野球静岡県大会予選>沼津商業が春季県連覇の加藤学園に勝利 。エース秋津が強力打線を1失点完投 、独自ルールのリーグ戦で育んだ積極性
春季高校野球静岡県大会予選の代表決定戦が3月30日に行われ、沼津商が春季県大会連覇の加藤学園を5−1で撃破した。沼津商の大久保匡人監督(43)によると、加藤学園には昨春の県予選での対戦を含む公式戦3連敗中で、1年生大会も含めると5連敗。同じ県東部地区で目標としてきたチームだっただけに、達成感もひとしおだ。
この日はエース秋津奏空投手が強力打線を6安打1失点に抑えて完投し、攻めては10安打で5得点。秋津投手は「(加藤学園は)バッティングのいいチームなので、インコースをうまく使って打たせて取るようにした」と内角直球を意識させながら右打者にスライダー、左打者にはシンカーを効果的に使って要所を締めた。3安打の木村翔主将も「秋は変化球を振らされ、緩急にやられたけれど、今日は引き付けて打てた」と納得の表情だった。
<春季静岡県大会予選・代表決定戦>
沼津商 101 210 000=5
加藤学園 100 000 000=1
野球の楽しさ、互いの良さを認め合う
強豪私学に臆さず立ち向かえた理由を、大久保監督が明かした。2022年以来、沼津商が掛川西、掛川東とともに取り組んできたのが、独自ルールのもとで行われるリーグ戦「リーガ・アグレシーバ」。負けたら終わりのトーナメント戦が目先の勝利への固執を生み、偏った選手起用や投手の負担過多などの弊害につながるとして近年、リーグ戦のメリットに目が向けられるようになった。14年に大阪のNPO法人BBフューチャーが中学硬式野球で導入した「リーガ」が全国の高校に広まり、静岡でも22年に沼津商、掛川西、掛川東の3校が活動をスタートさせた。
「本来の野球の楽しさを取り戻し、互いの良さを吸収し合う」が「リーガ」のテーマ。選手の学びやチャレンジ、自主性に重きを置き、木製バットの使用やリエントリー制の採用など、選手の積極性を引き出すルールを採用するなど試行錯誤を重ねてきた。
リーガが始まって約2年半。参加チームが増え、沼津商は今年も3月の対外試合解禁直後に浜名や掛川東と実施したという。「両チームとも積極的な攻撃で、刺激をもらった。リーガの翌週からチームがすごく良くなった」と大久保監督。
指揮官は試合前、打者には「打てなくても振ろう」、投手には「打たれてOK」と伝え、リーガの理念通り、失敗を恐れず、思い切りの良さを発揮するよう求めた。
「応援されるチームに」
秋津投手は「1年生大会で(加藤学園を相手に)投げた時には、相手のガタイ(体つき)がすごくて」と萎縮した。リーガでの交流を通じて、昨夏の全国高校野球選手権(甲子園)に出場した掛川西の投手陣からウエートトレーニングのメニューなどを教わる機会があり、「思ったよりも普通だった。ただ、普通のメニューをしっかりやることが大事だと分かった」と冬のトレーニングに生かした。「今日はいつも通り、思い切ってやることができた」とストライクゾーンで臆せず勝負した。木村主将も「自分たちは挑戦者。積極性とチームワークを発揮して、応援されるチームになりたい」と意気揚々と県大会に乗り込む。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)