ポスタージャックで議論が巻き起こる。「公職選挙法が古すぎる」せい?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、6月24日の放送は「公職選挙法が古すぎる!」というテーマで、『日刊ゲンダイ』第一編集局長・小塚かおるとともにお届けした。都知事選をめぐって様々な議論が起きている中、公職選挙法の問題点について語り合った。
鈴木純子(文化放送アナウンサー)「告示された東京都知事選挙は過去最多の56人が立候補。同じく過去最多だった前回(2020年)の22人を大きく上回りました。ポスターやインターネットの活用など選挙運動や公職選挙法のあり方を問う議論も起きています」
長野智子「まずは掲示板ジャックですかね」
小塚かおる「本当は都政をどうするか、ということをもっと議論する話になってほしいのに、ポスターがどうとか掲示板が足りないとか、そういう話が告示日から毎日のようにあって、それはどうかと思います。ポスタージャックがイベント的に行われているのが衝撃的で。『日刊ゲンダイ』でもそれに関する記事をデジタルで配信しています」
長野「はい」
小塚「ポスター全体の脇から下にかけて、ひとつの政治団体が24人の候補者を立てたことで掲示板をジャックした。寄付をした人に優先的にポスターを貼らせてあげる、ということで各々好き勝手なポスターを貼っている。その中に派手なピンク色で若い女性が並んで『政見放送見てね』みたいなものがあって……」
長野「写真が手元にありますけど、これはいったいなんなんだ、と(笑)」
小塚「SNS上で『選挙制度をバカにしている』『こんなのは早く法改正したほうがいい』という意見とともに、派手なピンク色と若い女性の笑顔がズラリ並んでいるのを見ると『かつて公衆電話に貼ってあったピンクチラシを思い出す』という投稿があって。ちなみにピンクチラシは迷惑防止条例で規制することになって、各自治体が条例をつくって公共の場での配布や掲示を禁止してなくなったんですけど。それに近い状態の選挙の公営掲示板がこれでいいんだろうか、ということで今、いろんな議論があるんです」
長野「はい」
小塚「『公職選挙法が古すぎる!』という今回のテーマですが、そのときそのときで改正はされているんです。でも抜本的な見直しはされていない。インターネットに関しても、ネット選挙解禁というのがあった。あれが法改正したのが2013年なんです。10年でネットの世界は動画がすごいスピード、5Gで見られるようになった。ネット環境自体が変わっているので、表現の仕方も文字から動画、写真などに変わってきた。法改正はそこにも対応できていないのかな、と。ちなみに『これ規制できないのか』という話があるじゃないですか」
長野「掲示板の使い方ね」
小塚「『日刊ゲンダイ』でときどき憲法学者の小林節さんがコラムを書いていて。小林さんは『憲法から考えると』ということで。表現の自由ということを御旗にとってなんでも表現できる、ということになっているじゃないですか。確かに憲法は表現の自由、あと検閲の禁止も認めている。好きにやっていいじゃないか、というのはあるけど、一方で憲法は第12条で人権の乱用の禁止というのもあるんです」
長野「はい」
小塚「目的外利用をしている候補者に対して、資格がないと受付を拒否しても問題ないのではないか、と。ひとつの提案ですね。あとこの政治団体は要するに都知事はひとりしかなれないのに24人も立てていて、非現実的じゃないですか」
長野「ひとつの党なら訴えることは似通っているわけでしょう? 常識的に言うと人数を少なくした方が当選確率も上がる。そもそも受かるつもりないんだろうなと」
小塚「そうなんですよ。それもやっぱり選挙の目的外利用、当選する気がないのに立候補する、ということになって、受付拒否するというかね。そういうことで法律解釈はできるんじゃないか。ひとつの小林さんの考えというか提案です」