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Absolute area、10周年公演にみた力強さと積み重ねてきた美しいメロディ

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Absolute area

Absolute area One Man Live 2024 "Beyond" 2024.10.13(sun) shibuya duo MUSIC EXCHANGE

バンド結成10周年を記念した『Absolute area One Man Live 2024 "Beyond"』。様々な時期を網羅した「ALL TIME BEST」な内容でありつつレア曲も随所に盛り込んだセットリストが、活動の軌跡を鮮やかに示していた。東京・shibuya duo MUSIC EXCHANGEで10月13日に開催されたこのライブの模様をレポートする。

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山口諒也(Vo/G)と萩原知也(B)、3人のサポートメンバーを出迎えた大きな拍手。そして「ひと夏の君へ」がスタートすると、会場は穏やかなエネルギーで満たされた。観客の手拍子が爽やかに加わった「ドラマチックサマー」。瑞々しいメロディが躍動した「ビニール傘」。透明感に満ちた歌声を浴びながら観客が一斉に拳を掲げた「がらくた」……序盤の4曲を披露した後、「お元気ですか? 楽しんでますか?」と観客に問いかけた山口。「今日のためにいろいろな準備をしてきました。一昨日髪を切ったり、洋服を買いに行ったり……そういうんじゃないですね(笑)。最近はやっていなかった曲、懐かしい曲、Absolute area をたっぷりと詰め込んでお届けしたいと思っています。最後まで楽しんでください!」と語り、明るい表情を浮かべていた。

山口諒也(Vo/Gt)

萩原知也(Ba)

ライブで披露される機会が少なくなっていた曲も盛り込まれたセットリストは観客を沸かせたのはもちろん、山口と萩原にとっても感慨深い瞬間の連続となったようだ。久しぶりの披露となった「mirroring」。2019年11月にリリースされた「カフネ」。歌い終えた直後に「ずっとこの曲をやりたかったんです」と山口が喜んでいた「記憶の海を泳ぐ貴方は」。「この5人で演奏するこの曲が僕は大好きなんです」と言っていた「MAY」……10年間の軌跡の中で生まれた各曲を心から大切にしている気持ちが、歌声と演奏に満ち溢れていた。

観客が打ち鳴らした手拍子を嬉しそうに浴びながら届けられた「Girl」。そして「遠くまで行く君に」も特別な曲であることを再確認させられた。2019年4月にリリースされた2ndミニアルバム『無限遠点』に収録されたこの曲のMVは、YouTubeで驚異的な再生回数を記録。Absolute areaが幅広いリスナーに知られる大きなきっかけとなった。アコースティックギターを爪弾きながら山口が響かせた歌声が、観客の心を震わせているのを感じた。そして「橋を越えれば」と「グラウンドに吹く風のように」も披露された後、再び迎えた小休止。山口が想いを語った。「今までの10年間はあっという間だったんですけど、振り返ってみた時に“ここまで来られた”という感覚よりは、“まだこんなところなのか”という感覚の方が正直なところ強くて、悔しい気持ちを抱くこともあります。平坦に思える道ほどずっと歩き続けるのがしんどいのを知っているし、代わり映えのしない毎日をこなすのがどれだけ大変なのかもよくわかっています。でも、信じるしかなくて。諦めなければその先に待っている景色があるんです。ずっと続ければ良いことが待っていると思っています。この10年間も良いことがたくさんありました」――この言葉を噛み締めながら耳を傾けた「ノスタルジア」がとても素敵だった。メジャーデビューを飾ったこの曲も、諦めずに活動を重ねた彼らが掴み取ったものの1つだ。Absolute areaのひたむきな姿勢も美しいメロディに刻み込まれているのを感じた。

山口諒也(Vo/Gt)

萩原知也(Ba)

観客の大合唱が加わった「パラレルストーリー」と「いつか忘れてしまっても」。全身を揺らしながら情熱的にベースをプレイした萩原がバンドアンサンブルを豊かに躍動させていた「僕が最後に選ぶ人」。ステージとフロアの間のスペースに降り立った山口が観客とハイタッチを交わしながら笑顔を輝かせた「ただの友達になる前に」……開放的な盛り上がりを生む曲の連発で締めくくられた本編。メンバーたちはステージを後にしたが、アンコールを求める手拍子と歓声がフロアから届けられた。

Absolute area

アンコールを求める声に応えて戻ってきた山口は、萩原とサポートメンバーを1人ずつステージに招き入れて紹介。楽しいライブを共に作れたことを喜び合っていた。そしてアンコールの1曲目に披露されたのは「My home town」。アコースティックギターの弾き語りによる1コーラス目を経て他のメンバーの演奏も合流。故郷への想い、大切な風景、愛しい記憶を映し出すメロディが一際豊かな色彩を浮かべていた。

クリスマススペシャルライブが12月20日、21日に代官山 SPACE ODDで開催される旨が発表された後、「今日という節目を越えて、また続いていく明日へ向かって歌いたいと思います」という言葉が添えられてスタートした「続く明日へ」。力強い足取りを感じるこの曲は、結成10周年という節目を経てさらに前に進もうとしているAbsolute areaの姿を伝えてくれた。演奏が終了した後、観客の笑顔が煌めくフロアを背景にして記念撮影をした山口、萩原、サポートメンバーの3人。ステージに並んでお辞儀をした彼らを温かな拍手が讃えていた。こうして終演を迎えた『Absolute area One Man Live 2024 "Beyond"』。美メロの宝庫であるこのバンドの魅力を再確認できるライブだった。

取材・文=田中大 撮影=さいちょー

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