歩くだけで心が整う、地元の静かな活力スポット!西宮市の『ニテコ池(貯水池)』 西宮市
西宮での散策といえば夙川公園や苦楽園口周辺がよく知られていますが、少し足をのばして訪れてほしいのが『ニテコ池』です。観光名所のような華やかさはないけれど、日常の延長線上にある心地よい散歩道として、静かに人気を集めています。
ニテコ池は、実は歴史ある人工池で、上・中・下の3つの池からなり、江戸時代初期の古地図にも記録されています。室町時代、西宮神社の大練塀建設のために掘られた土の跡に水がたまり、池ができたとされます。土を運ぶ際の「ネッテコイ(練ってこい)」という掛け声が転じて『ニテコ池』になったという説も残っています。
池の中央にはドーム型の取水塔が立ち、甲山を背景に美しい景観を形成。桜の名所としても知られ、春には花景色が池を囲みます。
もうひとつの見どころは、池の西側の小高い丘にある『名次神社』。
廣田神社の境外摂社で、万葉集にも詠まれた名次山の北端に位置します。主祭神は水分(みくまり)の神。かつては海が見渡せる景勝地で、漁業や水に関する信仰を集めてきました。
名次神社の近くには、アニメ『火垂るの墓』の舞台となった横穴壕(防空壕)が存在した場所もあり、戦時中の記憶を静かに伝え続けています。
池の周りは一周約1キロ。 ニテコ池は上・中・下と3つの池から構成されてるので、その日の気分や体調に合わせて、1周・3分の1周・3分の2周と自由にコースを選べます。朝の散歩や仕事終わりのリセットにもぴったりで、自分に合ったペースで続けられるのがうれしいポイントです。
歩いていると、いつも見かける白髪のおじいちゃんが、少し腰を丸めながらも力強く走っている姿に出会うことがあります。「私も頑張ろう」と、そんな姿にそっと背中を押されたり、アスリートのようなスピードで軽やかに抜いていく、鍛えられた素敵な後ろ姿を見て、自分との力量の差に思わず笑ってしまうこともあります。
スマホを見ず、ただ景色に身をゆだねて歩くと、生活音と自然音が混ざり合い、池のまわりに穏やかな空気が広がります。一人になりたいときもあるけれど、人の気配がなんだか心地よく、挨拶を交わすだけで少し気持ちが軽くなります。朝の光のなかでリフレッシュしたり、夕暮れに水面が染まる景色に癒されたり。そのときどきで違う表情を見せてくれるのも、この池の魅力です。
訪れると、きっと自分のペースで過ごせる時間が待っているのではないでしょうか。
場所
ニテコ池
(西宮市満池谷町12)