Yahoo! JAPAN

外出先で巨大地震が発生したらどうする?「南海トラフ地震臨時情報」について知っておこう!

さんたつ

32027357_m

2025年1月、南海トラフの巨大地震が今後30年間に発生する確率が、これまでの「70%から80%」から「80%程度」に引き上げられました。地震は正確に予測することが難しく、普段からの備えや心構えがとても大事です。昨夏に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」は大きな話題になりましたが、もしも地震の被害が想定される地域で、この情報が発表されたら、どうすればいいのでしょうか?

今後30年以内に80%の確率で発生!いつ起きてもおかしくない巨大地震

近頃、ニュースなどで「南海トラフ地震」が大きく取り上げられ、改めて備えを見直したという人も多いのではないでしょうか?南海トラフ地震とは、静岡県から宮崎県の太平洋沿岸にかけてのプレート沿いを震源域とした巨大地震のことで、この一帯では過去にも、約100年から150年間隔で繰り返し大規模な地震が発生しています。

歴史を振り返ると、安政元年(1854)には「安政東海地震」と「安政南海地震」が発生し、昭和19年(1944)には「昭和東南海地震」、1946年に「昭和南海地震」が発生しました。いずれの地震もマグニチュード8以上の巨大地震でした。直近の昭和南海地震からすでに約80年経過しており、今後30年以内にまたマグニチュード8を超えるクラスの地震が発生する確率は約80%とされています。「今後30年以内に起きる」といっても、いつ発生するのか正確に予測することは不可能です。いつも通りに散歩や外出をしている今、この瞬間にも巨大地震に巻き込まれるリスクはあるのです。

南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とし、広範囲に津波などの被害をもたらす危険がある(画像=政府広報オンライン)。

巨大地震が発生した場合は、静岡県から宮崎県にかけて最大で震度7の揺れが発生し、広範囲で震度6の強い揺れになるおそれがあります。さらに、関東から九州の太平洋沿岸の広い範囲で10ⅿを超える大津波が襲来すると想定されています。

また、南海トラフ地震と並んで心配されているのが、「首都直下地震」です。東京都を含む関東地方を震源として発生する、マグニチュード7クラスの巨大地震も今後30年以内に70%の確率で発生するといわれており、いつ起きてもおかしくない状況です。

南海トラフ巨大地震の震度分布。東海、近畿、四国、九州を中心に広範囲で大きな揺れが想定されている(画像=気象庁)。

「南海トラフ地震臨時情報」とは?私たちはどんな行動を取るべきか

2024年の8月、夏休みまっただ中に「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発表されました。国からは改めて地震への備えを見直すように呼び掛けられましたが、初めての事態に混乱したという人も多かったのではないでしょうか?

巨大地震は予知できませんが、少しでも被害を小さくするために出されるようになったのが、「南海トラフ地震臨時情報」です。

この情報は、地震の発生する可能性がいつもより高まった時に気象庁から発表されます。「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の4種類のキーワードのいずれかを付けて出されます。

被害を少しでも減らすために出されるのが「南海トラフ地震臨時情報」(画像=写真AC)。

想定震源域内で地震や異常な現象が起きた時には発生後、5~30分後に「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表されます。これに伴い、気象庁では観測した異常な現象が南海トラフ地震と関連するかどうか、調査を始めます。この段階では、私たちは具体的な防災行動を取ることを求められていませんが、外出中でもスマホなどで最新の情報に注意をしておく必要があります。

調査後に地震の「モーメントマグニチュード(Mw)」の大きさによって、「巨大地震警戒」もしくは「巨大地震注意」の情報が出されます。モーメントマグニチュードとは、地震を発生させる岩盤のずれの規模を基に計算し、巨大地震をより正確に求めるための基準です。マグニチュードとは数字が異なる場合があります。

大規模な地震が発生した時、海の近く等にいる場合はすぐに大きな津波から逃げ切るということは非常に難しいです。このため「巨大地震警戒」が出された場合は、対象の地域では自治体から「事前避難」の呼び掛けが行われます。対象者は津波のリスクの小さい避難所や知人宅などの安全な場所に移動して、1週間避難をします(お住まいの地域や外出先が「事前避難対象地域」に含まれるかは各自治体のハザードマップで確認してください)。

事前避難の対象以外の人も、地震が発生してからだと避難が間に合わない場合は、自分たちで判断して避難を始めてください。そのほか、避難経路や避難場所、家族との連絡手段を改めて確認したり、家具の固定、非常食の備蓄など普段の備えを見直したりすることも重要です。

普段からの心構え・備えも万全に。

「巨大地震注意」が出された場合は、普段からの備えや地震が発生した時の行動を見直してください。この場合は、直ちに避難をするなどの行動は必要ありませんが、少なくとも1週間はいつ地震が起きても自分の身を守れるように心構えをしておくようにしましょう。

また、「巨大地震警戒」、「巨大地震注意」のいずれにも当てはまらないと評価された場合は、「調査終了」となります。

もしも外出先で地震が起きたら……?

「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるような地震があった時には、すでに津波警報や津波注意報が出されていることも考えられます。もしも海沿いなど津波の被害が想定される場所にいる場合は、すぐに海から離れて、なるべく高い所にある建物に逃げるようようにしてください。津波のリスクがある地域では「津波避難タワー」が設置されているところもあります。もしもの場合に備えて、事前にこうした場所を調べておくのも命を守るための大事な手段です。

高知県黒潮町にある津波避難タワー。町内では、南海トラフ地震の発生により国内最大の34ⅿの津波が想定されている。

また、日頃から外出の際は、地震が発生した時に最低限、自分にとって必要な物を持ち歩くこともおすすめします。いざという時に必要な物は人それぞれ違います。常備薬やホイッスル、マスク、コンタクトなどを持ち歩きやすいボトルやポーチに入れて携帯することで、いつか役に立つことがあるかもしれないですし、普段から役立つものであれば一石二鳥です。

こうした防災ボトルや防災ポーチの中身は、定期的に見直して季節ごとに中身を変えることも大切です。寒い時季は暖を取るためのカイロや風邪を予防するためにのど飴が役に立ちます。暑い時季には冷感タオルや汗拭きシート、塩飴などもあるといいでしょう。

防災ボトルの詳しい作り方などはこちらを参考にしてみてください。

防災ボトルや防災ポーチにあると便利なもの。

繰り返しになりますが、巨大地震はいつ発生してもおかしくなく、正確な予測は困難です。私たちにできることは、臨時情報が発表された時に焦らないように情報の意味を知って、あらかじめ行動を決めておくことです。普段の備えを見直して、外出時も冷静な対応を取れるようにしておきましょう。

文=片山美紀 写真=片山美紀、気象庁、政府広報オンライン、写真AC

参考HP:
政府広報オンライン 南海トラフ地震に備えよう!南海トラフ地震臨時情報が発表されたら?
内閣府 防災情報のページ
気象庁 南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さ

片山美紀
気象予報士
大阪府出身。大学卒業後、放送局での勤務を経て気象予報士、気象キャスターに。街歩きをしながらお天気ネタを探すのが趣味。空を眺めようと上を向きがちです。NHK総合「首都圏ネットワーク」などに出演中。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【友だちに言われて嬉しかった言葉】ええ!相手の未来予想に自分いる喜び#ママスタショート

    ママスタセレクト
  2. 『土佐はちきん地鶏』の産地を訪ねて

    料理王国
  3. あいのり・クロ『シャトレーゼ』で大人買いした品を紹介「お値段以上、想像以上がすごい!」

    Ameba News
  4. 川崎希、妊娠初期からずっと続いている辛い痛み「アレクにマッサージしてもらってます」

    Ameba News
  5. 【家飲みを制する4ヶ条】ゆっくり家飲みのすすめとは?【眠れなくなるほど面白い 図解 内臓脂肪の話】

    ラブすぽ
  6. 【健康立県の実現を目指して】都道府県庁で唯一!新潟県庁が「健康経営優良法人2025」に認定

    にいがた経済新聞
  7. 【海上釣り堀釣果速報】子供たちがクロソイの強い引きを堪能!(三重・愛知)

    TSURINEWS
  8. 【ウマ娘】グランアレグリアで半年ぶりに育成復帰! やあグラン、俺は1.25マイル説を信じて馬券デビューしたんだ…!!

    ロケットニュース24
  9. 新しい家族に『成猫』を迎えるメリット3選 “大人の猫はなつきにくい”はウソ?ホント?

    ねこちゃんホンポ
  10. 40代だけど友達がいないのはやばい? 気の合う仲間の作り方3つ・楽な関係をキープする方法3つ

    コクハク